ザ・ウィークエンド、リリック・キャピタルと10億ドル規模の「ユニークな」カタログ契約締結
ザ・ウィークエンドは、音楽著作権事業に特化した米投資会社リリック・キャピタル・グループと10億ドル(約1,547億円)以上の規模となる音楽カタログ契約を交わした。両者は合弁事業を立ち上げ、ザ・ウィークエンドとそのチームは共同出資企業の一員として、自身の楽曲カタログに対するクリエイティブ・コントロールを保持することとなる。米エンターテインメント業界誌バラエティー(Variety)が12月13日伝えた。
契約対象は、2025年までのザ・ウィークエンドの原盤権および出版権。ザ・ウィークエンドは今後も、XO/リパブリック/ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)との提携を継続。出版カタログはこれまで通り、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループ(UMPG)が管理を続ける。
ザ・ウィークエンドの広報担当者は「このユニークなカタログ契約は、アーティストの所有権と支配権に関する新たな基準を打ち立てた」とコメント。ザ・ウィークエンドとリリックの広報担当者はいずれも契約金額を明らかにしなかったものの、情報筋らによると資産価値は最低でも10億ドルになると見積もられている。この金額が正確であれば、今回カタログ取引は個人アーティストとして史上最大規模となる。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
ザ・ウィークエンドが米投資会社と10億ドル規模(約1,550億円)のカタログ契約。ストリーミングの普及で音楽カタログは例えばアメリカの年金基金からの投資対象になるほど一般化が進んでいるが、ABS(証券化)が基本だった。今回の契約が画期的なのは、アーティスト個人との契約であり、かつアーティストも共同出資、クリエイティブ・コントロールはアーティストに帰属という理想的な音楽フィンテックの契約が史上初で実現したこと。Spotifyでの総再生数880億超(kworb調べ)、すべての音楽配信とYouTube動画再生では推定3,000億超再生を誇るスーパーアーティストだからこそ切り開けた地平といえよう。Spotifyの総再生数で言えば、1位Drakeの1,249億回、2位Taylor Swiftの1,172億回、3位Bad Bunnyの1,113億回とさらに上のアーティストもいる。10位のKanye Westが554億回だ。音楽フィンテックは既に実験段階を過ぎ、音楽産業を大きく変えようとしているのかもしれない」ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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