米国のコンサートチケット、インフレ率の4倍のペースで拡大 過去3年で80.5%上昇

米国において、インフレ調整後のチケット価格が、かつてないほど高くなっている。米国のクーポン検索サイト「CouponBirds」の分析によると、コンサートチケットの価格は2021年比で80.5%上昇。1996年比で見ると、チケット価格はわずか平均25.81ドルから136.46ドルへと428.7%も跳ね上がっており、インフレ率(92.7%)の4.6倍のペースで値上がりしている。
インフレ率に合わせると、1996年のコンサートチケット(25.81ドル)は、現在のドルの価値では49.74ドルとなる計算で、ファンが実際に支払っている金額(136.46ドル)の3分の1近くとなる。
チケット価格は、1996〜2000年の間に57.8%上昇。2000〜2010年は139.2%増、2021〜2025年は80.5%増と、近年になって上昇ペースが急加速している。
アーティスト別で見ると、値上げ率のトップは、ザ・ウィークエンドで320.6%のプラス(2015年比)。これにケニー・チェズニー(317.8%)、U2(190.5%)、レディー・ガガ(179.6%)、コールドプレイ(159.6%)、テイラー・スウィフト(114.3%)が続く。
これら数字は、公開されている米国主要ツアーのチケット価格の情報や、同国の音楽興行業界誌ポールスターから入手したデータなどを基に算出。基本のチケット価格を反映したもので、VIPやスペシャルパッケージは含まれていない。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「アメリカのチケット価格はかつてないほどで2021年から80.5%も高騰。しかもインフレ調整した数字でこれだ。2021年のコロナ禍を勘案してもこれは高い。これまでサブスクとライブが音楽産業の成長を支えてきたがアメリカやイギリスは、サブスクは普及が終わり、ライブもチケット単価を上げるしか成長できない段階に入っているがいよいよ限界が近い。日本は大規模会場の不足が続いたことがあるがコストの高騰について現場の危機感は強く、おそらく5年遅れで同じ状態がやってくる。その際、また新しいビジネスモデルが必要になるわけで、そのために私は本を二冊書いたので興味があれば一読いただきたい」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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