Spotify、インディーズアーティストが相次ぎ撤退 ダニエル・エクCEOによるAI軍事企業への投資を受け

Spotifyのダニエル・エクCEOが6月にドイツの防衛AIソフトウエア新興企業ヘルシングに6億ユーロ(約1,033億円)を投資したことを受け、独立系アーティストたちが相次いで同プラットフォームをボイコットしている。音楽業界メディア「The Music Network(TMN)」が7月7日伝えた。
これらアーティストのうち、30年以上のキャリアを持ち、20枚のスタジオ・アルバムをリリースしているディアフーフは「われわれの音楽が人々を殺すことは望んでいない」と、Spotifyから撤退。所属レーベルのジョイフル・ノイズ・レコーディングスも支持を表明している。同バンドのSpotifyの月間リスナー数は7月3日時点で11万3,000人で、100万再生を超える楽曲が複数ある。
エク氏の保有資産は推定100億ドル(約1兆4,800億円)と言われており、2021年にヘルシングに初めて出資した時にも同様の批判が出ていた。同氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、「個人的には(批判を)気にしていない。自分が正しいと思うことをすることに重点を置いており、これが欧州にとって正しいことだと100%確信している」と述べている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「23歳でSpotifyを起業したエク氏の資産は1.5兆円近くあるが最近、Spotifyの株を処分し軍用AIへの投資を進めていることから、抗議としてSpotifyから楽曲を引き下げるミュージシャンが出始めている。欧州の防衛力を上げることが実質的な平和の促進に繋がるという価値観もあるので、その是非はここでは語らないが、時代の移り変わりを感じるトピックスだと思う。もちろんSpotifyは音楽面でAIにも投資・実用化しているが、現時点ではSpotifyの誕生自体と比べれば革命的なインパクトは生成AIに無いのも彼の起業家としての判断材料にあったかもしれない。対して防衛面でのAIはウクライナ戦争でリアルそのものになった」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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