アップル、フォートナイトのApp Store復帰を拒否 法廷闘争が激化

エピックゲームズは5月16日、運営するオンラインゲーム「フォートナイト」をApp Storeに戻す手続きを巡り、アップルが審査を拒否したと発表した。これに伴い、欧州でのEpic Games Storeを経由のインストールもできなくなり、「アップルが決定を覆すまで」全世界のiOSデバイスでアクセス不可となる。
アップルはEU(欧州連合)におけるフォートナイトを特にブロックしたわけでなく、むしろエピックに対し、米国のApp Storeへの提出と関連付けずにアプリのアップデートを再提出するよう求めたと説明。対するエピックは、アップルが4月の裁判所命令を無視しているとして、裁判所に差し止め命令の執行を申し立てた。
米国では4月、アップルに対し、サードパーティによる支払いオプションを認め、デベロッパーの顧客へのオファーの制限をやめるよう命じる判決が下された。これを受け、先にはSpotifyで決済システムの選択が可能となった。
両者の法廷闘争は、App Storeでの購入に課される最大30%の手数料(アップル税)を回避するため、エピックが2020年にフォートナイトに独自の決済システムを搭載したところ、利用規約違反として同アプリが削除されたことが発端。アップルはアップル税により、世界で270億ドル(約3兆9,100億円)を得ていると試算されている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「”アップル税”はご存知だろうか?iOSでアプリ課金をするとその30%をアップルが手数料で取る。その総額は年間3兆9千億円にも達しており、我々消費者あるいは音楽ファンも事実上払っている。この”税率”30%があまりにも高すぎるということでNetflixなど様々なところが文句を言っているが、フォートナイトなど人気ゲームを抱えるエピックが自社の決済をゲーム・アプリに搭載したところ、App Storeからアプリごと削除された。これがアメリカの地裁判決にて認められないこととなったが、Appleはエピックのアプリの再審査を拒否。事実上、App Storeへの復帰を許していない。先日、記事にしたようにSpotifyはAppleを通さない決済をアプリで用意。アメリカではAppleはそれを認めたが、4兆円近い売上が関わっているだけにすべてのアプリで認めるつもりはない印象を受ける。サブスクが音楽売上の8割を占める時代なのでアップル税が廃止されるとiOSでのサブスク売上は3割近く音楽側は増えることになるのでアーティストの売上的にもかなりでかい」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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