オンキヨー、ホームAV事業譲渡へ シャープら2社と協議

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オンキヨーホームエンターテイメントは、4月29日付の取締役会において、自動車関連機器、オーディオ製品などの設計、製造、販売会社を営むVOXX International及び電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売等を営むシャープとの間で、同社グループのホームAV事業の譲渡に向けた本格的な協議を行う旨の基本合意書を締結することを決議した。

オンキヨーは、2019年5月21日付にてDENON/Marantz/Polk Audio等のオーディオブランドを持つSound UnitedグループとオンキヨーのホームAV事業の譲渡契約を締結し、譲渡対価で得た資金によって支払遅延の解消及び既存借入金の返済を速やかに進めることによって財務状態の改善を図る計画を準備していたが、本事業譲渡の実行に必要な契約の締結や資金調達の確保など、様々な条件を達成することが両当事者間で難航し、本事業譲渡を中止した。

2021年3月期においては、2020年5月には支払いが遅延している営業債務の一部に対応する金銭債権についてのデット・エクイティ・スワップによる株式発行、2020年7月には包括的株式発行プログラム(“STEP”)による全8回の新株式発行を決議し、資本の増強を図ってきた。事業活動においては、2019年11月から実施したホームAV事業における固定費の削減を目的とした合理化策において、大幅な固定費の削減が見込めることに加え、2020年7月には米国における販売代理店をVOXX Internationalの子会社である11 Trading Companyへ変更したことにより、米国市場での販売強化をすることができたため、ホームAV事業について、営業債務の支払い遅延を解消し、従来から強みのあったビジネスに注力することができれば、利益を確保できる体制が徐々に整いつつあると判断し、2020年10月にはグループ再編を行い、主力のホームAV事業に再注力して経営を立て直す体制を整えきた。

しかし、株価に連動したSTEPによる新株発行の調達金額は、第4回まで実施した段階で、大きく下回り、各取引先との支払遅延の十分な減少や2021年3月末までの債務超過の解消が困難と見込まれる状況となったため、オンキヨーは、STEPによる新株式発行(第5回乃至第8回割当)の中止を決議し、2020年12月16日付にて、EVO FUNDを割当予定先とする第三者割当による第10回新株予約権、第11回新株予約権及び第12回新株予約権の発行を決議し、また、同日付にて、A種種類株式、B種種類株式及びC種種類株式の新設等に関する定款変更も決議し、2021年3月末までに債務超過を解消し、上場廃止を回避することを目指していた。その後、第10回新株予約権は2021年2月中にすべての行使が完了した他、2021年3月15日には各債権者との交渉を経て、2021年3月15日付「第三者割当によるC種種類株式の発行(現物出資(デット・エクイティ・スワップ))等に関するお知らせ」のとおり、金銭債権や有価証券を現物出資してもらい、C種種類株式を発行することを決議し、3月30日にはその払込も完了した。しかしながら、第11回新株予約権及び第12回新株予約権の行使について、EVO FUNDとしては、最終的にその行使をしない判断をされた。

その結果、2021年3月31日付「2021年3月期通期連結業績予想の公表及び純資産の状況並びに営業外費用及び特別損失計上見込みに関するお知らせ」にて公表したとおり、支払遅延の解消の遅れや部品の供給状況の逼迫などによる売上及び利益の減少が見込まれることに加え、旧米国販売代理店の経営状況悪化による貸倒引当金の計上を見込んだことなどにより、当該業績予想における当期純損失は59億8,000万円となり、結果として債務超過解消のための不足額が23億1,900万円残る見込みとなり、東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触する見込みとなった。

上場廃止の見込みになったことを受け、オンキヨーは事業継続のためにあらゆる選択肢の検討を開始。その中で、昨年よりオンキヨー米国販売代理店となった11 Trading Companyの親会社であるVOXX International及びオンキヨーとの合弁工場であるS&O Electronics(Malaysia)Sdn. Bhd.を通じて以前より取引のあったシャープ株式会社と本譲渡に関する協議を行った。両社とは、ホームAV事業のビジネスにおいて、既にオンキヨーと協力関係にあり、事業譲渡のパートナーとして、適任であると判断し、本譲渡の正式契約締結に向けた基本合意書締結を決議したとのこと。

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