出展社・規模ともに大幅拡大、新たに6ゾーンが追加 「第3回ライブ&イベント産業展」が7月6日より開催

インタビュー スペシャルインタビュー

左から:岡部憲士氏、近藤純一氏

クリエイターEXPO、日本ものづくりワールドなど年間で140以上もの展示会を開催しているリードエグジビションジャパン株式会社が主催する「第3回ライブ&イベント産業展」。ステージ上の演出面からグッズ販売、集客までライブ、イベント産業に関わる全ての機器やサービスを展示する同産業展は毎年規模を拡大し続け、今年で3回目を迎える。

 今年は新しく6つのゾーンが追加され、前年度から出展企業も150社増加した。多様化が進むライブ業界・イベント業界からも高い注目を集めている。国内最大規模の国際見本市主催会社として、リードエグジビションジャパン株式会社 ライブ&イベント産業展 取締役 統括事務局長岡部 憲士 氏、同産業展 営業責任者 近藤 純一 氏に同産業展にかける思い、今後の展望などを伺った。

2016年6月27日掲載
  1. 業界からの注目の高さを裏付けるように毎年拡大を続ける「ライブ&イベント産業展」
  2. 前回から規模は1.5倍拡大、520社が出展へ 新たに追加された6つのゾーンも
  3. 多彩なラインナップのセミナー スペシャルステージも
  4. 来年以降もさらに拡大予定

 

業界からの注目の高さを裏付けるように毎年拡大を続ける「ライブ&イベント産業展」

——今年で開催3回目とのことですが、改めて「ライブ&イベント産業展」を立ち上げた背景について教えてください。

岡部:まずは今までCD販売を軸に活動してきた音楽業界が、ライブやコンサートに活路を見出して注力していこうとシフトしてきているという現状があります。それを裏付けるように、実際ここ数年でライブやコンサートの開催本数が非常に多くなってきています。また、音楽業界だけでなく一般企業もイベントを開いて、製品やサービスなどのPRを行ったり、地方自治体も人を集めて地元を活性化させるためにイベントを開くというケースが増えてきています。世の中のあらゆる場面でイベントに対するニーズが高まってきているのを実感したのが一つ目の理由です。二つ目は、そうしたニーズが高まる中でイベント自体が多種多様化してきています。そうするとイベントの主催者の中から「イベントを開いてみたいけれどもやり方がわからない」ですとか、「イベントで新しい取り組みをやってみたい」といった意見も出てくるようになりました。その一方で、イベント業界で使われるような最新機器や技術を持っている企業さんの中から「うちにはこんな最新の機器がある。これをイベントに使ってもらえないか」といった声も上がってきました。ライブ、イベントを開くにあたっていろいろなことを提案して欲しい人たちと、提案できる人たちが一堂に集まることができる見本市があれば、双方にとって役立つものになるのではないかと思い、第1回目を開催いたしました。

——過去の開催の反響はいかがでしたか?

岡部:業界の方々にヒアリングをしてみたら、「まさにこんな展示会が欲しかった」という意見を非常に多くいただきました。今までは同産業展のような国際的な見本市というのはほぼありませんでした。ライブ・イベント産業全体を網羅した総合展としては初めてのものでしたし、業界の方々に非常に喜んでいただけました。昨年度のもので特に反響が大きかったものは、アソビシステム株式会社社長の中川悠介さんの基調講演でしょうか。きゃりーぱみゅぱみゅさんのお話を中心に、総合演出ですとか会社の展開のお話をされていたので、音楽業界の方にとっては「なるほどな」と参考になる部分が多かったのだと思います。

 

前回から規模は1.5倍拡大、520社が出展へ 新たに追加された6つのゾーンも

——今年の規模はどれくらい拡大されたのでしょうか?

岡部:今年は新たに出展される企業が150社増え、520社の出展を予定しています。出展の受付は開催日の前日までしていますので、直前までに増減する可能性もあります。また、各種セミナーの会場も拡大して対応する予定です。今年は25,000人の来場者数を見込んでいます。

——新しく増えたゾーンについて詳しく教えてください。

近藤:今回新しく増えたゾーンは、「空間デザイン・装飾ゾーン」「イベント運営本部支援ゾーン」「チケッティング・決済サービスゾーン」「集客プロモーション支援ゾーン」「セキュリティ・安全対策ゾーン」「アトラクション・遊具ゾーン」の6つです。この中でも特に来場者の方からの注目が高いのは「チケッティング・決済サービスゾーン」です。現在ライブ・イベント業界ではチケットの転売が横行しているのが大きな課題となっていて、それを防ぐための顔認証とチケット販売を結び付けたサービスなどが出展します。また、グッズ販売時に決済を素早く行うことができる電子マネー・クレジットカードに対応した機器のレンタルサービスを提供する企業なども出展する予定です。特に顔認証の技術は実際に体験してみると「こんなにスムーズに入場手続きができるんだ」と驚きますよ。また、子ども連れでもライブイベントが楽しめるように様々な工夫を凝らしたサービスを紹介する「アトラクション・遊具ゾーン」や、防犯だけではなく天災などにも対応したセキュリティ対策を提案する「セキュリティ・安全対策ゾーン」もほとんどが新しく展示会に参加する企業なので、見どころがあると思います。

「第3回ライブ&イベント産業展」会場案内図

——中でも見どころのある企業はありますか?

岡部:ステージ上やイベントで使われるような最新のデジタルコンテンツを展示されるということで、「チームラボ」様は見どころがあると思います。デジタルコンテンツに関するイベントを手がけられているんですが、様々な演出をデジタルコンテンツで見せるという演出もあると伺っています。

近藤:チームラボ様は自治体向けに町おこしイベントの一環として「未来の遊園地」といって、紙に子供が船などのイラストを描くと、それが画面にすぐ出て子供が作った街を描けるというサービスも行っていました。そういった技術をイベントの演出に生かしていこうとおっしゃっていたのが印象的でした。

岡部:ステージ演出ということですと、エルテック様や映像センター様も最新のLED機器を展示すると伺っています。業界の第一線で活躍されている方々にとって非常に参考になるものになるかと思いますので、ぜひご覧になっていただければと思います。

——グッズゾーンの出展が多様化してきていると伺ったのですが。

岡部:最初の頃はグッズ販売のゾーンではTシャツのようなグッズを見かけることが多かったのですが、ここ数年で多様化してきているなと身を持って感じます。中でも印象的だったのが、金属加工などを行っている工業デザインの企業がいわゆる「匠の技」を使ったキーホルダーグッズを作っていたことでした。洗練されたデザインでカットされた金属製のものなのですが、それをイベントのノベルティに使えないかという話だったんです。今までイベントのノベルティというと100〜1000円くらいの価格のものが相場であったのが、6000〜7000円のものでも売れていると聞いています。今年はそういうちょっとこだわりを持ったものですとか、変わったものをコンサートグッズとして使っている企業が多い印象です。多様化してきていると言えば、「フード・ケータリング ビジネス ゾーン」もそうですね。昔と違って今はフェスの会場などで全国のご当地グルメの出店が出ていたりしますが、イベントの主催者側がより観客に楽しんでもらえるイベントを作ろうという心意気の表れなのだと思います。

——新しいものに出会えるきっかけの場になりそうですね。

岡部:ステージ演出に関するものからグッズやフード関係まで幅広く展示をしていますので、そういった意味ではコンサートのMD担当者もグッズ担当者も関係なくほとんどの方がいらっしゃっているんですよ。「ここに来ると探していたものや新しいものがいっぺんに見つかりますよ」という産業展です。グッズに関しても製作をしてくれる会社を一個一個自分で調べていたら大変ですし、音楽業界の方からすると欠かせないイベントになっているのではないかと自負しています。

 

多彩なラインナップのセミナー スペシャルステージも

——今回もバラエティに富んだセミナーが開催されますが、中でも注目のものはありますか?

岡部:セミナーですと、コンサートプロモーターズ協会会長の中西健夫さんによるライブ・エンターテインメント業界のこれからをお話ししていただく基調講演が注目です。海外の情勢やライブ以外のエンターテインメント業界のお話も交えつつ、この業界の未来像についてお話してくださるそうです。Zeppライブの関根直樹さんによる「日本のアーティストをどう海外展開していくか」というテーマの講演も業界の方にとっては気になるものになるのではないでしょうか。具体的なノウハウも含めての講演になるそうなので聞き逃せないと思います。またこの他に日産自動車様やロッテ様、サントリー食品インターナショナル様など、ライブ・イベント業界以外の企業によるプロモーションについての講演会も行うのですが、全く別の業界のプロモーションについて知ることができるというのは貴重な体験になるかと思います。

「第3回ライブ&イベント産業展」セミナー
「第3回ライブ&イベント産業展」スペシャルステージ

近藤:昨年のセミナーではアソビシステム社長の中川悠介さんの講演が人気だったのですが、中川さんは昨年参加されてみて同産業展の業界での重要性を認識してくださったようで、今年度の産業展開催に非常にお力添えをいただきました。今年はアソビシステム様と出展社による「スペシャル融合ステージ」も企画しています。こちらはライブ、ファッションショー、DJイベントなどで構成されていますが、ステージで使う機材は出展社様からお借りしているんです。ステージイベントは無料で参加できますし3日間で計4回行う予定ですので、ぜひご覧になってください。事前申込制ですので、HPからお申し込みください。

岡部:講演だけではなく、技術セミナーも行います。最新の照明機器や音響機器の使用方法など、実務を想定してより実践的な技術を学べるセミナーになっていますので、実際に業界で活躍されているプロの方にもご満足いただける内容になっています。

若手の育成も視野に入れた座談会

——学生や若手に向けたセミナーがあると伺ったのですが。

岡部:若い方にどんどんこの業界に入ってきていただきたい、あるいはすでにこの業界に入っている若手の方が生き生きと仕事に取り組めるように元気づけたいという思いで、今回は「学生・若手向け ライブ業界 若手座談会」というトークイベントを開催します。今回はディスクガレージ様、東京舞台照明様、スターテック様、シミズオクト様にご協力いただき、若手の方にどういうことに取り組んでいて、どういった困難があったか、それにどのように対処したかなどをざっくばらんにお話していただく企画です。今年からは学生さんも入場できるようになりましたので、ライブ・イベント業界を目指す学生さんにとっても参考になるのではないかと思います。こちらも事前にウェブサイトからの予約が必要になります。

 

来年以降もさらに拡大予定

——次回の開催は決定しているのでしょうか?

岡部:次回も規模をさらに拡大して開催する予定ですので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

——今後の同産業展の展望をお聞かせください。

岡部:業界の流れに常にアンテナを張り、今回の産業展にもチケッティング・決済サービスゾーンやセキュリティ・安全対策ゾーンを作るなど、最新のトレンドを網羅した見本市を開催しているという自負がありますので、次回以降も業界内で出てきた問題点には即座に対応できるような産業展を作っていければと考えています。現在ライブハウスや劇場などから音響機器や照明、ディスプレイなどの常設機材についての問い合わせが増えてきているので、次回はイベントで使用されるレンタル機器だけでなく「常設機材ゾーン」を作ります。

——ありがとうございました。最後に一言お願いいたします。

岡部:今後も業界内の様々な企業様と協力し合い、よりよい見本市を開催できるように努めていきたいと思っています。「第3回 ライブ&イベント産業展」は一日では見切れないほどのボリュームがありますので、ぜひお時間があれば全日程いらしていただければ嬉しいです。

「第3回ライブ&イベント産業展」岡部 憲士さん 近藤 純一さん

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