ライブ・エンタテイメント関連企業が一堂に会する初の大型見本市が誕生 — 「第1回ライブ&イベント産業展」が7月9日より開催

インタビュー スペシャルインタビュー

天野桂介氏
天野桂介氏

東京国際ブックフェア、日本ものづくりワールドなど、様々な産業の見本市を主催しているリードエグジビションジャパン株式会社が、今年7月に「第1回ライブ&イベント産業展」を開催する。ソフトからハードまで220社もの出展企業と15,000名以上の来場者という、ライブとイベントに特化した最大級の見本市となる。

メディアの発達によって、より一層重要視されていくであろうライブ産業とイベント産業。その2つをこの展示会で融合させることによってマーケットの可能性はどのように広がっていくのだろうか。日本最大の国際見本市主催会社として、リードエグジビションジャパン株式会社ならではのこだわりや業界への思い、展示会の今後の展望などを、事務局長 天野桂介氏、主任 小林愛実氏に伺った。

 

  1. “ライブ”重視に変わってきたコンテンツ産業
  2. 「将来的に国際化を打ち出していきたい」
  3. プロジェクションマッピングからグッズまで、多種多様な出展企業
  4. アーティストの来場も大歓迎!ライブ演出のヒントにも
  5. 開催前から大好評、来年は3倍規模での開催が決定!

 

“ライブ”重視に変わってきたコンテンツ産業

── まず基本的なところからお伺いしたいのですが、「ライブ&イベント産業展」開催のきっかけとは?

天野:まず1つ目に、コンテンツ産業がライブ重視になってきたという動きがあります。私自身が長年「東京国際ブックフェア」という本の見本市の事務局長をやっておりまして、その中で、どうも音楽産業だけではなく、いろんなコンテンツ産業やパッケージソフトが構造的変化を受け、“ライブ”というものを重視するようになってきているなと。こうした動きから、いつか展示会で訴える必要が出てくる時期がくると5年ほど考えていたことがそもそもの背景です。

2つ目は、「東京国際ブックフェア」をはじめコンテンツビジネスに関連する展示会をやってる中で、イベントの“ネタ探し”に来られる方がすごく増えていることが分かったんです。例えば「プロダクションEXPO東京」という様々な種類の制作会社が出展する展示会をブックフェアと同時開催しているのですが、商店街の集客アップのためのお祭りで一緒にネタを考えてくれる企画会社を探しているとか、巨大団地の活性化のための大きなイベントを手伝ってくれる会社がないかといった声が挙がってきて、これは面白いなと思いまして。では、そういった方々をサポートする展示会があってもいんじゃないかと。

3つ目に、そんなことを考えてる間に東京オリンピックが決まりまして、これはイベント需要もライブ需要も増えるだろうし、だったら今こういう展示会をやるべきだなと思ったのが去年の秋だったんです。

「第1回ライブ&イベント産業展」公式サイト
▲「第1回ライブ&イベント産業展」公式サイト

── 今回は実施まで半年強ぐらいですが、一般的な展示会や見本市も構想から立ち上げまでに同じくらいの期間で動くものなのでしょうか?

天野:さすがに通常ですと発表から1年半後になります。それでもスケジュール的にはちょっと厳しいので、半年強というのはかなり異例のスピードですね(笑)

 

「将来的に国際化を打ち出していきたい」

── 今後、こういった展示会を開催する企業も出てくるかと思います。御社としての独自の強みや、こだわりがあればお聞かせください。

天野:会社としての強みというよりも、このライブ&イベント産業展のチームが“何を想って動いているか”という点をお話させていただくと、色々ありますが、やはり業界の活性化に貢献したいということですね。昨秋いろんな方にお話をお聞きしたところ、ライブ業界の方とイベント業界の方ははっきり分かれていて、お互い違う業界と認識していることが分かったんです。一方で、お互いの“島”に行きたいと思っている方々も多かった。ならば、この展示会を通じて相互に融合/活性化できたらすごく良いんじゃないかと。それから将来的な話なんですが、国際化は強烈に打ち出していきたいですね。今年は海外の出展社さんもいらっしゃるんですが、数年以内にはアジア中のプロモーターの方々が「ネタや機材、サービスを探す時は日本のライブ&イベント産業展だ!」と言って集まってくれる、そんな国際的な場にしたいと思っています。

── 海外に打ち出す上で、日本企業の強みはどこにあると考えていらっしゃいますか? このイベントのトピックや特色があったら教えてください。

天野:いま感じているのが、そもそも日本はコンテンツ産業、あるいは音楽産業ひとつとっても、おそらくアジアにおけるリーディングカントリーだと思うんです。優れたアーティストも揃っていますし、それに関わる演出家やスタッフの方々も多い。そういった意味で、ソフト面ではアジア諸国に非常にアピールできるのではないかと。さらには音響や機材の技術的分野は日本のお家芸ですから、その実力でアジアの方々をお呼びできるのではないかと思っています。

ライブ・エンタテイメント関連企業が一堂に会する初の大型見本市が誕生 — 「第1回ライブ&イベント産業展」が7月9日より開催

── 10年前に1000億ほどだった市場規模が昨年は2300億円と、2倍強に膨らんでいるというデータが出ています。そういったビジネス的な可能性も産業展の成り立ちと関係はあるのでしょうか。

天野:長らく続いてきたパッケージソフトの時代が大きな変化に向かいつつあるということでしょうし、やはり“ライブ”なんだと。それは音楽産業だけでなく、例えば出版業界でもトークショーをすごく重視する作家さんが増えてきたように、様々な分野でマーケットが拡大しているということだと感じています。

── まだライブ業界/興行業界には伸びしろの可能性がある?

天野:需要は相当あると思います。「いくらでもニーズがあるのに器がない」という問題をよく聞くんですが、逆に言えば「器さえあればいくらでもできる」ということですよね。実は私どもの展示会産業も全く同じ構造にありまして、例えば、東京ビックサイトなどは常に満杯なので、展示会のアイディアがあっても会場の問題ですぐには開催できない場合が多いという状況です。それを自分たちで身に染みてわかっているので、音楽産業/ライブ産業の構造も肌で感じるところはあります。

 

プロジェクションマッピングからグッズまで、多種多様な出展企業

ライブ&イベント産業展 事務局長 天野 桂介氏

── 来場者はどんな対象で、呼び込みはどのようにされているのでしょうか。

天野:来場対象者は、まずライブを主宰するプロモーターの方々や、宣伝販促イベントを行っている企業の宣伝部/広報部の方々、株主総会や入社式といった式典関係の方々、地域活性化イベントをやっている自治体・観光課・商店会・NPO法人、そしてスポーツイベントを行っている方々など。それからもちろん、企画・制作・運営会社、音響・照明・舞台・美術に携わる方々、また施設の方々ですね。私たちはこういった方々に、訪問をしたり、電話をしたりという地道な活動を通じて来場の呼びかけをしています。もう1つは、年間110本の展示会を行っている中で相当数のデータベースを持っているので、その中からご来場いただきたい対象の方々に招待状をお送りしています。

── 今回は非常に幅広い出展企業さんがいらっしゃるとお見受けしました。中でもユニークだったり、斬新な商材をお持ちの企業さんはいらっしゃいますか。

天野:昨今のライブはビジュアルを重視していることもあって、映像機材系の企業さまがものすごく力が入っていますね。例えばプロジェクションマッピングを手がける企業さまなども、第1回目の今回から相当大きなブースでご出展くださっています。面白いのが、企画運営の企業さまがたくさん出展されてるんです。他にもライブ配信やクラウド技術に強い企業さまなどは時代を反映しているかなと思います。想定以上に集まったのがグッズゾーンです。グッズを収益になさってる主催者の方が非常に多いと聞きますので、ここで売り込みをかけたいという企業さんが非常に目立っているなと感じます。あと「私たちの施設をライブ/イベントで使ってください」という会場施設の企業さんですね。また、キャスティングゾーンには円谷プロダクションさまが出展されているんですが、こちらも大変おもしろい展示になると聞いておりますので、ぜひご覧いただきたいです。

ライブ・エンタテイメント関連企業が一堂に会する初の大型見本市が誕生 — 「第1回ライブ&イベント産業展」が7月9日より開催

 

アーティストの来場も大歓迎!ライブ演出のヒントにも

── それは見ものですね。個人で足を運びたい方も入場が可能なのでしょうか。

天野:ライブやイベント産業に関わっている方であれば、ウェブを通じて招待券をご請求いただけます

小林:例えばアーティストさんなどには、ぜひお越しいただきたいですね。ご本人に「こんなステージ演出や照明を使って、こういうライブをやりたい」と参考にしていただければ嬉しいです。実は天野が矢沢永吉さんの大ファンで、この展示会の構想のきっかけでもあるんです。

天野:展示会場を歩いている矢沢さん…その表情や目線をイメージしながら構想していました(笑)

── 最近はインディーズで活動されている方がとても多いので、こういった展示会にアーティストさんと共に来ることができればイマジネーションも膨らみますよね。

小林:先日、サカナクションさんのライブに行ったんですが、お客さんに対して「自分たちがいかにライブ演出にこだわっているか」というお話をされていて。アーティストさんご本人がライブ演出に能動的になっていることを感じました。

天野:そのため今回、アーティストさんやそのマネージャーの方にも徹底的に招待券をお送りしました。“イベントやライブを自分たちの手元に引き寄せること”がすごく重要だと思ったんですね。

── “引き寄せる”というところで、今回開催される基調講演やセミナーも業界の方々に気付きを与える場になると思います。様々な講演が行われますが、こちらのセレクションの意図は?

天野:コンテンツ産業がライブにシフトしていく動きを捉えています。そこで参考になるのが基調講演を行って頂くエイベックス・ライヴ・クリエイティヴの黒岩克己社長のお話だったりするわけですね。また横浜マリノスの嘉悦朗社長のように、企業が売り上げ拡大/集客のために一生懸命イベントを行おうとしている事例をご紹介したいと思っています。他にもドワンゴ、チームラボをはじめ、第一線でご活躍される8名の方にご講演いただきます。展示会のウェブサイトから申込みを受け付けておりますので、ぜひご聴講頂けたらと思います(基調講演・セミナー詳細:http://www.live-event.jp/seminar/)。

ライブ&イベント産業展 事務局長 天野 桂介氏 主任 小林 愛実氏
左から:ライブ&イベント産業展 主任 小林愛実氏、事務局長 天野桂介氏

 

開催前から大好評、来年は3倍規模での開催が決定!

── 今後はどれくらいの頻度での開催を想定してらっしゃいますか?

天野: 1年に1度、開催する予定です。すでに来年の会期も決まっておりまして、2015年7月8日〜10日となります。来年2回目の出展については、前評判が上がってきていることもあって「次回はぜひ」という企業さまが多く、3倍程度の規模になりそうです。そのため十分なスペースが確保できた幕張メッセで開催いたします。

── 3倍になると、どのような出展者さんの変化や流動がありますでしょうか。想像の範疇を超えるジャンルの出展者さんが現れる可能性もありますよね。

天野:そう思います。例えば、今年は「落雷抑制システム」を作ってらっしゃる企業さまが出展するんですが、音楽フェスなど山奥でイベントを開催するとなると、確かに落雷を防ぐ技術は必要だなと。出展対象としては本当に様々な可能性がありますが、後から気づくことも多くとても面白いです。

── これだけ明確に区分しているわけですから、融合することで出展者側、来場者側もそれぞれがそれぞれで違う気付きというのはあるかと思います。

天野:今までライブ産業、イベント産業の方々が一堂に集まるということはあまりなかったかなと思うんです。ここで新しい出会いというか、化学反応が起きれば嬉しいですね。

── 幅広いイベントに成長していきそうですが、今後の展開、意気込みなどを聞かせてください。

天野:ひとつは先ほど申し上げた国際化を早く実現したいですね。国際化を通じてマーケットが拡大して潤うということと、ライブ/イベント産業に新規参入したい方に向けた“場”としての役割を担うことも重要だと考えています。新規参入者が多いということは新しい考え方で動く方が増えるということですから、業界全体の活性化に貢献できるのではないかと思っています。まずは、ぜひ皆様でご来場いただければと思っております。

ライブ・エンタテイメント関連企業が一堂に会する初の大型見本市が誕生 — 「第1回ライブ&イベント産業展」が7月9日より開催

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