今年も記録的な年となるか? 音楽業界の資金調達額、2026年第1四半期は50億ドル弱
Digital Music News(DMN)は、独自のデータを基に、2026年第1四半期(1〜3月)の音楽業界の累計資金調達額(「業界隣接」分を除く)が46億6,000万ドル(約7,373億円)に達したと発表した。前年同期の20億ドル弱から大きく伸びている。
2026年第1四半期に大きく貢献したのは、ソニー・ミュージックグループ(SMG)とシンガポールの政府系ファンドGIC(20億ドル規模のカタログファンドと報道)、ドメイン・キャピタル・グループ(7億6,800万ドルの第2号エンターテインメントファンド)、イレブンラボ(5億ドルのシリーズDの資金調達ラウンド)、クリエイト・ミュージック・グループ(4億5000万ドルの株式・債務による資金調達)だった。
コア資金調達件数は18件と、前年同期の12件を上回った。1件当たり数億ドル規模の資金調達が相次いでいる中、ライブイベントブランドのBreakaway(3,000万ドル)、Mozart AI(600万ドル)、Mogul(500万ドル)といった新興企業も、それぞれ大規模な資金調達に成功した。
DMNは、業界内および業界周辺の資金調達に関するデータベース「音楽産業資金調達トラッカー」を展開。「コア(中核)」と「業界隣接」(※AIのアンソロピックや短編動画アプリTrillerなど)で区分している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
46億6,000万ドル——この数字が示すのは、音楽業界への資金の性質が変わったということだ。かつての音楽投資は主にレーベルやベンチャーキャピタルが担っていた。今や機関投資家、政府系ファンド、プライベートエクイティが主役だ。ソニーとシンガポール政府系ファンドGICによる20億ドルのカタログファンド、ドメイン・キャピタルの7億6,800万ドルのエンターテインメントファンド——これらは「音楽が安定した長期投資先」という確信を持つ大型資本の動きだ。ストリーミングが生み出す予測可能な月次収益と、AI時代に高まるコンテンツIPの価値——この二つが組み合わさることで、音楽は不動産や株式と同じ「運用する資産」になった。前年同期比で倍以上に膨らんだ背景には、2025年にIFPIが記録した11年連続の市場成長という実績もある。音楽産業の「回復」は終わり、「成長資産としての確立」という新しい章が始まっている。ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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