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AI訓練データセットの新興企業レッドパインが2億円調達 Spotify出身者が創業・出資

ビジネス 海外

スウェーデン新興企業Redpine(レッドパイン)は9月23日、130万ドル(約1億9,000万円)を調達し、AI企業向けトレーニング用データセットのプラットフォームを立ち上げたと発表した。

このプラットフォームは、AI開発企業に、高品質でマルチモーダルかつ特定の専門分野(ドメイン)特化のデータセットへのアクセスを提供。これには、医療、法律、科学、コーディングなど、様々な分野にわたるテキスト、画像、動画、音声、コードが含まれる。

著作権者、独自データセット所有者、出版社と直接ライセンス契約を結んでおり、無許可のAI訓練への法的圧力が高まる中、必要不可欠な代替手段を提供する。

Music Allyは、レッドパインのデイビッド・オースターダール共同創業者がかつてSpotifyで著名な製品開発者として活躍した人物であり、今回の資金調達ラウンドにSpotify出身者50人超が関与するファンド「Greens Ventures」が参加したことから、将来的に同社の事業範囲が音楽分野にも拡大することが期待できるとみている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Spotify出身者がライセンスをクリアしたAIの学習素材を提供するプラットフォームを開発。Spotify出身者50人以上が参加するファンドも出資している。本日、別記事で取り上げた通り、アメリカ・イギリスで著作権者の許可なくAIが著作物を学習できる法改正案が進行しつつある一方、こうしたAIの透明性に真正面から取り組む企業も出てきている。ソニーミュージックやユニバーサルミュージックもAIの生成した楽曲の元ネタを追跡し影響度を割り出せる技術に協力しており、AI学習の速やかな進展のために学習材料のブラックボックス化を進めようとする勢力と、学習材料の透明性を高めてAIの利用価値を高めようとする勢力との激突が始まっている。歴史的な一般則、資本主義の原則としては、透明性を確保した方が結局は経済発展に寄与するし、技術も進む。実際、AIがどれだけ制作に便利でも巨額訴訟が成立しそうな雰囲気のなかでは、コンテンツ産業は活用に躊躇せざるを得ない状況にある。音楽産業はファイル共有のブラックボックスから始まった聴き放題の権利処理を透明化して合法なサブスクにしたことで、他のコンテンツ産業に先立ってネット時代に適応した歴史を持っている」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。