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英国のライブ音楽への消費者支出額、2024年は10%増の1.3兆円 137秒ごとに1公演が開催

ビジネス 海外

英ライブ音楽産業の業界団体LIVEは9月2日、2024年の同国におけるライブ音楽イベントへの消費者支出が前年比9.5%増の66億8,000万ポンド(約1兆3,289億円)だったと公表した。2019年比で約20億ポンド増加。137秒ごとに1公演が開催された。

コンサートの収益が12.2%増の50億ポンドに達した半面、フェスは1.9%増の17億ポンドと、伸びがインフレ率(2.5%)を下回った。フェス運営コストの急騰に伴うチケット価格の引き上げなどが影響したが、それでもフェスの収益は2019年の水準を超えた。

テイラー・スウィフト、チャーリーXCXらメインストリームのポップアーティストによる大規模ツアーが相次いだことも追い風となり、全土の音楽観光客数は2,350万人を記録。昨年に英国で開催された上位2,000公演における消費支出の32.1%をメインストリームのポップアーティストが占め、割合は前年から4.7ポイント拡大した。

ジョン・コリンズCEOは、トップアーティストの公演が好調な一方、小会場の閉鎖やフェスの中止など草の根レベルでは圧力が高まっていると述べた。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「英音楽ライブ売上が前年比9.5%増で復調の報道(LIVE調べ)。今年6月、同国のワナシーフェス(昨年はテイラー・スウィフトやエド・シーランも参加)を手掛ける会社が破産し、10個以上のフェスが急にキャンセルされ、私もライブの低成長化が懸念していたが、フェスは1.9%増の17億ポンドでインフレ率(2.5%)以下だった一方、個別コンサートは12.2%増の50億ポンドでこれがポイントになった。アメリカも世界最大の音楽フェス、コーチェラの売れ行きが昨年に続き今年も不調とBillboardやVarietyなどが報道していた。先進国のライブ産業は近年、チケット単価の高騰に依存していたところインフレで若年層の可処分所得が減り低成長化した傾向がある。しかし今回のイギリスの数字を見ると、個別のコンサートに関してはまだまだ努力と創意工夫の余地があるということかもしれない。ライブ売上は重要な指標なので引き続き情勢を注視したい」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。