フェスバブル崩壊。英フェス運営ワナシー破産で10以上のフェスがキャンセルに

ワナシー(Wannasee)・フェスティバルなどを主催する英国のワナシー・リミテッドは、イベントを「継続することができない」として、清算人と協議中であることを明かした。これに伴い、10以上のフェスがキャンセルされた。公共放送BBCなどが5月29日伝えた。
チケットの払い戻しについては、チケット会社またはカード発行会社に問い合わせるよう呼びかけているが、事業者やファンらからは不満が噴出している。
中止となったのは、キュービクス・フェス、モニュメント・フェス、ワナシー・ペンリス、ワナシー・サウス、ジュークボックス・サンダーランド、ジュークボックス・ビングリー、サイン・オブ・ザ・タイムズ・フェス、ストーンバレー・サウス、ストーンバレー・ミッドランズ、ストーンバレー・ノース。リンディスファーン・フェスとノーザン・キン・フェスは存続に向けて、前向きな話し合いが行われているという。
DIgital Music News(DMN)によると、継続的なコスト高騰などを背景に、2024年には170以上の大規模イベントが中止された。米コーチェラのような確立されたフェスでさえ、売り上げ低迷に陥っている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽フェスバブルが崩壊しつつあるという報道を昨年、紹介したらバズったが、今月に入ってイギリスでワナシーフェス(昨年はテイラー・スウィフトやエド・シーランも参加)を手掛ける会社が破産し、10個以上のフェスが急にキャンセル。社会問題化しつつある。ライブとサブスクは先進国で飽和気味と長らく伝えてきたが、コンサート市場は近年、観客数が限界に達し、チケットの値上げ頼りになっていたところをウクライナ戦争やトランプ関税によるインフレが直撃。ライブ離れが置き、このような事態になっている。なお日本に関してはサブスクがたとえばこの記事のイギリスよりも5年ほど立ち上げが遅れたこと、大規模コンサート会場が足りずようやく解決しつつあることでサブスク、コンサートともにしばらくは伸びる。だが先を行く欧米を見ていても”その日”は近いと見ておいたほうがいい。実際、サブスクの成長率は目に見えて落ちており、次へ向かうのにもう迷っている時間はない」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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