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「プロモーターのように考え、エージェンシーのように遂行」マスタード・メディア共同設立者が語るフェス・マーケ

ビジネス 海外

米国の音楽興行業界誌ポールスターが、英国のマーケティング・エージェンシーであるマスタード・メディアのロブ・マスターソン共同創設者にフェスティバル・マーケティングの極意を尋ねた。同社はマンチェスターのクラブイベント「ウェアハウス・プロジェクト」や「パークライフ・フェスティバル」を巨大イベントに育て上げ、デジタル時代におけるマーケティングの在り方を示してきたことで知られる。 

マスターソン氏は「全てにおいて重要なのは、顧客のためにチケットを売ることができるかどうかだ」と主張。マーケティングに関して他にどんな派手な指標があろうともパフォーマンスが全てで、「社内では『プロモーターのように考え、エージェンシーのように遂行してほしい』と伝えている」という。 

どのイベントでも共通して必要なことは「自分たちのストーリーを伝えること、そしてそれを正しく伝えること」。また「人は人から買う」ため、アーティストが前面に出るほど購買意欲は高まり、人々が「本物だという証拠を求めるようになる」AI時代にはその傾向が増すと予想する。 

イベント主催者が最も犯しがちな過ちは「始める前に、関心とコミュニティーとハイプ(ハイプ(旬で勢いがある)を作らないこと」。人々が話題にしなければ、人を集められず、マーケティングで最も過小評価されているツールは口コミで、今後もその力は衰えないとみる。 

デジタル・マーケティングの大きな利点は、適切なオーディエンスを見つける点でも、キャンペーンの成功を測定する点でも計算できることだが、屋外広告看板などのレガシーメディアの役割もなお存在するため、マーケターとしてその割り振りが難しいと説いた。 

マスタード・メディアの顧客は2024年、200万枚のチケットを販売し、1億800万ポンドの収益を上げた。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「音楽フェスのマーケティングで伝説的な実績を上げたマスタード・メディアのロブ・マスターソン共同創設者がその秘訣を語っていたので記事化。昨年、同社の顧客はチケット200万枚、約210億円を売ったが「ストーリーを正しく伝えること」が鍵で、AI時代が進むほど人は本物を求めるためアーティストが全面に出るほど売れるという。マーケッターがよくやる間違いとして、看板などを使ったリアルな口コミを過小評価すること。そして始める前に話題、コミュニティーをしっかり作っておかないから人が集まらないと指摘。米ポールスター誌はライブ関係で勉強になるデータやインタビューが多いので今後も紹介していきたい 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。