YouTube、コンテンツID経由の支払い額が120億ドル突破 「申し立ての9割超が収益化選択」

YouTubeの最新の「著作権透明性レポート」によると、同社が自動コンテンツ識別システム「コンテンツID」を通じて、他の動画内で使われている自らのコンテンツに対して申し立て(収益化)を行った権利者に支払った広告収入の累計金額は、2024年12月時点で120億ドル(1兆7,400億円)以上だった。
2023年末時点では90億ドル超だったことから、昨年には30億ドルの支払いがあったことが示唆されている。なお、コンテンツIDの権利者(「7,700以上のパートナー」)には音楽会社だけでなく、映画スタジオ、ゲーム会社、その他のメディアやエンターテイメントも含まれている。
権利者はコンテンツIDにより、収益化のほか、ブロックなども請求できるが、2024年には申し立て全体の90%が収益化を選択。また、請求の99%以上が自動検出によるものだった。
2024年1月までの3年間で、YouTubeがクリエイター、アーティスト、メディア企業に支払った金額は700億ドルを超えた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「YouTube、コンテンツID経由での収益化が120億ドルを突破。コンテンツIDというのは例えば楽曲が誰かの動画で勝手に使われた場合、YouTubeのAIがこれを検知して著作権所有者に自動で連絡。削除を申請するか広告収益を動画作成者とシェアするかを選べる仕組み。メジャーレーベルの要請を受け実現されたものだ。昨年は30億ドル(約4300億円 音楽以外含む)で、9割以上が収益化を選択。YouTubeで事実上、音楽が無料なこと、その広告売上がサブスク等と比べて低いことは10年以上前から課題視されてきたが、YouTube側はこのコンテンツIDの精度向上、音楽サブスクのスタート、短尺動画の長尺並みの広告売上単価の実現、アーティストと提携した生成AIの開発など音楽産業側と強い連携を取る姿勢を続けており、評価を得てきた」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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