Spotify、iOSアプリの外部決済システム導入で「契約数が増加」 フォートナイトは米App Store復帰

Spotifyは、iOSアプリで顧客を外部決済リンクに誘導できるようになったことで、 iOSユーザーが有料プランにアップグレードする数が大幅に増加したことを内部データが示したと主張している。外部決済を巡りアップルと係争中のエピックゲームズ支援で裁判所に提出された書類を元に、TechCrunchが5月21日報じた。
米国では4月、アップルに対し、サードパーティによる支払いオプションを認め、デベロッパーの顧客へのオファーの制限をやめるよう命じる判決が下された。これを受け、Spotifyでは5月にiOSアプリをアップデート。料金詳細の表示や決済システムの選択、オーディオブックの直接購入などが可能となった。
iOSアプリの「Premium Destination Page」の改訂から2週間で、iOSユーザーの無料から有料プランへのコンバージョン率は大幅に上昇。一方、かねて基本的な料金情報を提供するAndroid版では「比較的一定」を保っている。
Spotifyは、アップルが4月の差し止め命令を遵守したことによる増加であることを強く示唆していると指摘。オーディオブックでは新オプション導入から3日後に効果が出始めたと付け加えた。
なお、エピックゲームズは5月16日、オンラインゲーム「フォートナイト」をApp Storeに戻す審査が拒否されたと公表。裁判所が承認もしくは命令に従わない理由を説明するようアップルに求めた後、20日に米国のApp Storeで配信が再開された。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「SpotifyのiPhoneアプリで外部決済が使えるようになったら有料会員が激増したという(アメリカ)。Appleが指定するアプリ内課金だけだと定期購入が出来ない、3ヶ月100円のお試しキャンペーンなどが使えない、都度課金できないのでオーディオブックやグッズ、スペシャルコンテンツ等を買えない、ガイダンスが付けられないのでどんなメリットがあるのか伝わらない等々、ユーザー側にも色々デメリットがあった。さらにアーティスト側も月額課金から30%の”アップル税”を売上から差っ引かれるなど大きなデメリットがあった。Spotifyに限らずNetflixやゲームなどサブスク自体が先進国で飽和気味になっているが、今回のアメリカでの判決が確定して他国でも踏襲されると、サブスクの成長を少し戻すことも期待できる」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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