【全文掲載】「音楽産業の予言者」榎本幹朗の「予言の秘訣」【榎本編集長のMusicman大学#12】
MC Tama:今日のテーマは何ですか。
榎本:今日は予言をします。私は自分で言うのも何ですが、音楽業界で予言者のように言われることが多いのです。
何がきっかけかというと、Spotifyが世界を変えるし、日本も変わるということを2012年頃から言っていました。まだ日本ではiTunesにソニーが音楽を出すか出さないか、JASRACがどうかといった話題だった時に、もうそういう時代は終わると言っていたのです。着うたも消えるし、CDの時代も終わるけれど、逆にサブスクというものが出てくると、世界の音楽産業がV字回復しますという話をしました。
その頃はまだCDがずっと売れなくなっていて、iPhoneが出てきて着うたも売れなくなり、どんどんマイナスになっていた時期でした。それを一番最初にみんなに伝えました。これはただのかっこいいサービスではなく、世界を変えるものだと。ビジネスモデルは全く違うのだということを伝えたのです。今は説明不要ですが、当時は全く違うということを伝える必要がありました。
それだけではなく、聴き放題というサービスが始まると、リスナーやアーティストの生活がどのように変わっていくのかということも伝えました。
たとえばサブスクを最初に使った時、みんな検索欄に自分の好きなアーティストを入れたり、気になっている曲名を入れたりしていました。しかしそういう時代ではなくなると。それはレンタルCDやiTunesで曲を買う時の習慣であって、これからはプレイリストで音楽を聴くようになる、人気プレイリストで音楽を聴くようになる、アルゴリズムで自動的におすすめされるようになる、アルゴリズムの時代になると言っていました。Spotifyが日本に上陸する4年前くらいから話していたのです。
さらにその後、サブスクが普及するとどうなるかという話もサブスクが始まる前からしていました。基本無料がベースにあって、今の月額980円とか1080円の聴き放題があって、その上にどんどんビジネスモデルが積まれるようになると。アーティスト単位での月額契約とか、その上に都度払っていくというビジネスモデルが組まれると言っていました。
アーティストごとの契約というのは、スーパーファンプラットフォームとして前回解説したWeverseなどで実現していきました。投げ銭やギフティングといわれているものが出てくるということも言いました。今のサブスクの形がこのままでは終わらない、Spotifyのもっと進化したものが世の中に出てくる、通常の月額プランよりも高いプランが追加されるようになると言っていたのですが、実際に出てきました。
Spotifyが「ミュージックプロ」というプランを来年くらい(収録は2025年12月)に始めるということになっています。その元になったのは、解説した通り中国のテンセントミュージックがスタンダードプランの上にプレミアムプランを設けたことです。先行配信をそこに入れるとか、先行チケットを入れるとか、この先行配信が武器になるということも、サブスクの時代が来ると言い始めた頃から伝えています。
MC Tama:音楽業界の預言者ですね。
榎本:なぜ私が予言できたかというと、音楽産業100年の歴史を大河小説のように書き起こしていたからです。歴史的な法則というものを掴んでいたので、それを当てはめていくと、こういうことが起こるということが分かったのです。
まだTwitter、今はXですが、あとFacebookでしたね。当時はまだInstagramもそこまで流行っていなかった頃、SNSでマーケティングする時代だと言われていました。アーティストもSNSを頑張らなければいけないと。その時に私が言っていたのは、当時のTwitter、Instagram、Facebookというのは音楽に全然向いていないと。音楽に向いているSNSがこれから出てきますと予言しました。それはTikTokという形で生まれました。外れているものもあるのですが、そこまで話すととっちらかってしまうので省きますが、いろいろ当ててきたので予言者と言われることもあるということです。
MC Tama:最後に覚えていたら、予言のコツのようなものを教えてください。
榎本:分かりました。今日は映像として「私はちゃんと言っておきましたからね」というものを残しておこうと思います。すでに文章では書いていますが、伝えておこうと思います。
MC Tama:今日の予言というのは何でしょうか。
榎本:AI自体がメディアになる日が来ます。何を言っているか分からないでしょう。メディアというのは、この場合、レコードとかCDとか、最初に音楽産業が生まれる時に登場したメディアのことです。もう一つ前に行くと、紙に印刷する五線譜に曲を書いて、それが音楽出版の始まりで、そこからクラシックの作曲家などが育つようになりました。そういう紙とかプラスチックとかに自分の作品を複製していたわけです。複製する媒体がメディアと言っているのですが、CDの中にはデジタルファイル、WAVファイルが入っていました。それがMP3になって、今度それがストリーミングされるようになった。この波形ファイルがメディアです。その媒体がAIになるという話です。
MC Tama:難しいですね。
榎本:つまりAI自体を自分の作品として発表する、自分のアルバムとしてAIを発表する、AIでシングルのような感じで作品を出すという時代が来るということを伝えています。アルバムとしてAIを発表すると言うと抽象的に聞こえると思いますが、簡単に言うと、レコードやCD、波形ファイルというのは自分の演奏、自分の歌を複製しているわけです。コピーしているのです。それが技術的な根幹です。AIも自分自身を複製できるのです。自分の声であったり、自分の歌い方であったり、自分のアレンジのセンスであったり、そういうものをコピーできるのです。
このAIが媒体として優れているのは、たとえばSpotifyやYouTubeで曲を聴くと、スタジオで録った一つのパターンの演奏しか聞こえません。一つのパターンの歌い方しか聞こえません。AIの場合は自分のセンスとか自分の歌い方、自分の演奏というものを複製できるので、聴くたびに変わるような作品にできるのです。自分のイメージしたものが形になる、というよりライブのようなものです。ライブはそのたびに歌い方も演奏も変わるわけです。DJなどの話はちょっと置いておいて、それと同じように聴くたびに変わる、あるいは聴く対象や聴く人の気分によって変わるとか、聴く場所によって変わるとか、そういうことが起こせます。
かつ、AIをそのように自分の人格とか自分のセンスをコピーしておくと、AIとAIをコラボさせることもできるわけです。以前、マイケル・ジャクソンとクイーンをコラボさせた事例がありました。ああいうことがオフィシャルでできる、ユーザーが自分の楽しみでできるようになるというのも、AIをメディアにして使う場合の良いところです。
AIブームは2022年から始まりましたが、音楽における生成AIのブームが始まったのは2023年の4月です。「Heart on My Sleeve」という曲が出て、それがドレイクとザ・ウィークエンドのコラボになっているというものでした。それは全部AIで作ったので、本人の認証がなく、著作権的にやってはいけない曲なのですが、それが出てきて音楽でAIブームが始まりました。
そのあたりで私は超メジャーレーベル、名前は出せませんが、そこにレポートを出しています。どういうレポートを出したかというと、AIアーティストの時代が来る、AIがメディアとしても使われるようになると。AIアーティストについては前回解説したように、AIを使って自分のセンスをちゃんと活かした曲を作るアーティストが出てくるという話です。
これは音楽だけではなく、ミュージックビデオにも波及しています。特に私たちが好きなHiggsfieldというものがあって、Musicman編集部では私が勝手に流行らせていますが、「これHiggsfieldのこのエフェクトでしょ」と見ればすぐ分かります。それは非常に細かいプロンプトを書かないとイメージ通りにならないのです。プロンプトエンジニアと言われる新しい職業が映像でも出てきています。同じように、数を使えば誰でも曲はできますが、心に響く曲というのはどのようにプロンプトを打てばいいのかというノウハウがないと、前回紹介したBreaking Lustやザニア・モネとか、ちょっと問題になりましたがHAVENのI Runとか、ああいうものはやはり非常に音楽の知識もいるし、センスもいる、メッセージ性も必要です。そういうものがあって初めて作品になる。これはもうAIが一つの楽器のように使えるということです。これもそのレポートで伝えました。AIが楽器になりますと。
もう一つ伝えていたのが、AIと人間のコラボです。簡単に言うと歌は人間でトラックはAIとか、これはヒップホップで一番相性がいいとか、こういうことも報告しましたし、実際それは起こっています。
それがニコニコのように新しいカルチャーになっていくということも、その頃から書いたりレポートにしたりして伝えています。これはまだ起こっていません。ニコニコは初音ミクを使ったカルチャーが生まれて、そこから育ったそうそうたるアーティストが今は活躍しています。
米津玄師さん、YOASOBIさん、Adoさんも、ある意味そうです。歌い手というカルチャーから生まれているように、同じようにAIでもニコニコのような大きな現象が起こります。これは世界的に起こると思います。ニコニコは日本だけで起こりましたが、初音ミクの話は日本に限定されていました。AIに関しては世界的にそういうことが起こると伝えました。
ここまでは誰でも思いつくことです。2023年からそういう芽になるような現象があちこちで起こっていたので、それは私が文章連載に残してあります。「AIが音楽を変える日」という連載を新潮文芸誌、新潮の方の月刊誌で書きました。矢野編集長という方が私の本を非常に気に入ってくださって、矢野編集長は私のことを作家として評価してくださった。文芸の方の文章力やストーリーテリングの能力をあちこちで高く評価してくださったという縁で、新潮という文芸誌で書いたのですが、これはミュージックマンにも転載していただくようにしてあって、全部残っています。そこに書いたことが次々と現実になっています。
MC Tama:預言者ですね。
榎本:ただ、それは何もないところから預言したというよりも、本当にごくわずかしか知られていないことに目をつけて、これが新しい潮流の雛形だというものをいくつも取り上げて解説していったという形です。それがどういう意味を持つのか。たとえばルーペ・フィアスコというヒップホップのアーティストがいます。Googleが作ったTextFXというAIがあるのですが、これは歌詞を作ることを支援するものです。ただ単にプロンプトを打ってこんな感じの歌詞を生成するというのではなく、ヒップホップだとライム(韻を踏む)を見つけていく、言葉のつながり、イメージとイメージのつながりが非常に大事なのです。それを支援するAIをGoogleとルーペ・フィアスコが作りました。
ここがポイントで、AIに丸投げするのではなく、AIがクリエイティブを支援する、単純な作業効率化ではなく、歌詞を作るという本質的な創作を支援するということがここから始まるということを伝えました。当時、SUNOが有名で、とにかく誰でもプロンプトを打てば曲が作れてしまう、音楽の民主化だという話が一番盛り上がったのですが、それよりももっと先に行きますということを、最初の1年目で私は予言したわけです。
MC Tama:すごいですね。
榎本:それが実際に残っているという形です。だからこの連載「AIが音楽を変える日」をよかったら読んでおいてください。音楽にとっての生成AIに関連して、いろいろな予言をしています。
その中で私がそこでは書ききれなかったのが、AIをメディアとして使うということです。それだけ言っていると、「絵空事だ、そんなのいつできるんだ」となるでしょう。
最近、それが起こりそうだというニュースがありました。クレイ(KLAY)というものです。今年の11月に、急に3大メジャーレーベル、ユニバーサル、ソニー、ワーナーが揃って提携を結びました。しかも包括契約で、すべての楽曲を理論的には使っていいという、これはとんでもないことです。史上初です。AI企業に3大メジャーレーベルが、市場の6割を持っているわけですから、ほぼ3大メジャーレーベルが応援したことはその世界になるのです。
たとえばSpotifyがそうでした。ダニエル・エクという若者がそれを持ち込んで、ユニバーサルミュージックのスウェーデン支社で「これはすごい」となって、ヨーロッパのメジャーレーベルのみんなが合意したのです。これを育てていこう、そうすればCD崩壊を解決する鍵になるかもしれないと、みんなで楽曲を提供してあげた。そして、Spotifyは立ち上がったのです。
同じことはiTunesでも起こりました。当時は5大メジャーレーベルでしたが、みんながiTunesをメジャーレーベルが支援すると決めたらその通りになるのです。
実は、Spotifyの聴き放題サブスクは実はSpotifyが最初ではありません。2000年から2001年に、当時の5大メジャーレーベルが音楽サブスクをやろうと決めました。聴き放題でないとMP3やファイル共有に敵わない。当時はメジャーレーベルにITのことが分かっている人がいなかったので大失敗になりました。それから大体7年後くらいに、ようやくSpotifyという非常に使いやすいアプリをスウェーデンのダニエル・エクという若者が作って、「これならいける」となったのです。聴き放題はみんなで進めていくことがずいぶん前から決まっていたから実現しました。
一方KLAYは少し謎な部分があります。去年の段階でユニバーサルミュージックが部分的に契約を結んだのですが、その段階では完全にステルスモードで始まっていて、ちょっとチラ見せがありました。どういうことかというと、読み上げますね。「プロンプトベースの音楽生成エンジンではなく、偉大なアーティストを称え、その技術を高めるマジック。全く新しいサブスクリプション製品」となっています。謎ですよね。
ただ、ここまでの私の話を聞いていてピンときた方もいらっしゃるはずです。偉大なアーティストをAIで多分復活させるのではないか。クイーンとかマイケル・ジャクソンとか先ほど名前を出しましたが、これをAIで復活させて、AIでコラボさせることもできるし、あるいはマイケル・ジャクソンの作風で新曲を生成できる、そんな匂いがぷんぷんします。
MC Tama:伝説のエンジニアとアーティストのコラボがAIで再現できると?
榎本:それもあるし、なんなら新曲もできます。そもそもクイーンとマイケル・ジャクソンはコラボしている曲が1曲だけありました。思い出しましたが、その後は出ていません。どちらも亡くなっているので。出た曲もフレディ・マーキュリーが亡くなった後に出ているのですが、そういう夢の共演が実現できる。それは偉大なアーティストと今のアーティストでもいいわけです。今のアーティストがマイケル・ジャクソンとコラボして何か作るということもAIでできる。その作品をAIとしてリリースするということができるのです。
サブスクリプション製品と書いてあったので、月額で使えるようになって、音楽ファンがいろいろなアレンジにできるとか、自分とデュエットしてみるとか、そういうこともできるようになる。
MC Tama:思い出しました。昔、3年くらい前に、美空ひばりさんがNHKの紅白に突如登場したことがありました。あれもAIでしたよね。
榎本:そうです。そういうことがどんどんできるような取り組みをおそらくKLAYは考えている。これはまだ何の発表もないというか、チラ見せの状態なので、私の予測です。私が2年前から立てている予測通りにメジャーレーベルの皆さんが進んでいるので、おそらくそれなのではないかと。この謎のプロジェクトですね。
MC Tama:ノストラダムスですね。
榎本:ノストラダムスは世界が破滅するという話ですが、私はどちらかというと復活する話をしています。毎回、Spotifyで音楽産業が復活するとか、AIもそうです。AIは破壊をもたらす面もあるけれど、復活をもたらす面もある。まさにマイケル・ジャクソンが復活するという話です。今言ったのは本当に一例です。ほんの一例ですが、いろいろな使い方が実はAIにはあって、それはAI自体にマイケル・ジャクソンやフレディ・マーキュリーの歌い方、あるいは曲作りのセンスやアレンジのセンスを学習させることで、それが誕生し得るのです。
これは今生きている人たちでもできます。自分のセンスを、その曲をAIに複製すれば、ワンパターンの再生ではなくなるのです。その中で最高の演奏が出てくるかもしれません。みんなが遊んでいるうちに、投稿しているうちに、すごくいいバージョンのようなものが勝手に伸びてくるかもしれない、ということも起こり得る。これがAIをメディアにする時代が来るということです。
ここまでいくと、実はこれは私が5年前に書いた本「音楽が未来を連れてくる」で書いた世界です。実際に原稿を書いていたのは5年前ですが、そこで本の結論として書いておいたのです。未来の若者たちはもう、いつ聴いても同じ音しかしないアルバムやシングルには飽きてしまうだろうと。AI時代が本格的に到来すると、何度聴いても変わっているから、ますます深みにはまっていく。そういうものに慣れていく世代が、我々の子孫はそうなるだろうと言っていました。
いつなるかというところで、そこでは10年後、20年後、30年後と書いたかな。ちょっと見てもいいですか。間違っていました。2020年ではなく2021年でした。4年前ですね。だから5年前に書いていたのです。私の記憶が混同していました。
ここを最後にちょっと読んでみましょうか。「30年後の未来予測は人知をもってしては不可能かもしれない。だがある程度イメージできることもある。我々人間の頭脳を構成する神経細胞の規定では、量子力学的な現象が起きていると。量子の理論を解く量子コンピューティングが生む新たなニューラルネットワークは、物事の意味を理解し、自意識すら用いる強いAIを誕生させ得る。そして我々は脳に直結したブレイン・ユーザー・インターフェースを通じて強いAIとネットでつながるようになるかもしれない。その時、スマホやサブスクアプリもあるいは蓄音機やカセットテープと同じく博物館に並ぶものになっているだろう。おそらく強いAIとBUIで育った未来の世代は、録音した何度聴いてもどこも変わらない曲に退屈してしまうだろう。彼らにとって、聴くたびに演奏と歌声を微妙に変え、様々な表情を見せる楽曲こそ、シングルやアルバムとして聴くべき作品になっていくのかもしれない。確実に言えるのは、100年後も1000年後も人類は技術革新で社会を変え続け、音楽産業はその荒波に飲まれつつも、キラーコンテンツの主としていち早く新たな答えを示していく立場になるだろうということだ。音楽は未来永劫、人の社会を動かす魔力を放ち続けるだろう。人々の魂を動かすのは、魂の花つく輝きの軌跡と、その結晶であるからだ」と書きました。
30年後と予言したのですが、もう来そうだということです。これが、私は外すこともあると言ったことですね。これは本当にびっくりしました。これが2021年で、AIブームが音楽で始まったのがその2年後ですからね。30年後から2年後に、「あれ、もう始まってしまうかも」と気がついたのです。
予言のコツがあると伝えましたね。今、部分的に外れていたでしょう。30年後と言っていたけれど、「Heart on My Sleeve」を聴いた瞬間に気がついたのです。これが予言になるのです。
最初に予測を立てていると、それがずれていることにいち早く気づけるのです。自分がビジョンを描いていると、なにかずれているところがあるわけです。それがなぜ起こったのか、一体何が起こっているのか、予想より早く始まりそうかと、そこで気がつくのです。そうすると人よりも早く「次はこうなります」と自信を持って言えるのです。
だから2022年に「Heart on My Sleeve」があった後に、AIをメディアで使う、AIアーティストが出てくる、AIがニコニコのようにもなるし、AIが楽器にもなるということがバーッと浮かぶわけです。これが予言の一つです。
つまり予言というのは、まず予測を立てます。そうすると世の中がその通りにいっているなと見ている時に、「あれ?なにか俺の予想と違う」というのにすぐ気がつくのです。そうしたら、それがどうして起こったのか、何が起こったのかが分かる。ただなんとなく見ていたら小難しいニュースなのですが、流行りものとして「Heart on My Sleeve」のようなものがYouTubeで再生回数が回っているぞと。それだけなのですが、そこに隠された裏の意味、新しい潮流というのがパーッと浮かぶのです。それを言葉にして伝える。これが予言になるのです。
実は私は2000年からライブ配信をやっています。ストリームライブ配信が世界でブームになったのはコロナが始まった2020年です。私は2000年からやっていました。その頃はスマホもありません。今や死語ですが、ブロードバンドですらない。電話の固定電話のソケットから、その回線速度はテキストが表示されるのが精一杯、画像が表示されるのが精一杯という世界でした。2000年くらいの時にストリーミングを仕事でやるようになって、そのことを分かっていたし、聴き放題というのも2000年、2001年にメジャーレーベルが結託してそれを起こそうとしているということも知っていたわけです。
それはただの業界の裏情報的なものです。けれど「これしか方法はないな」と分かる。でもメジャーレーベルの人はアプリとか作れるだろうかと考える。iTunesが出てくると、「これは聴き放題になっていないな、根本的には解決しないな」ということが分かるわけです。そのうちにジョブズがiPhoneを発表します。そうしたらそれでYouTubeを見られてしまうわけです。「これは着うた終わった」というのが分かるわけで、もうYouTubeの時代になるぞとか、これだと無料だと、全部これで聴けるなら基本無料で聴き放題のようなものをつけるアプリがiPhoneで動けば、今までダメだった聴き放題音楽サブスクというのは超メジャーになるかもしれないなと、なんとなくイメージするのです。そうしたらSpotifyというものがある時ニュースになって出てくるわけです。「これだ」となるわけです。
MC Tama:興奮しますね、聞いているだけで。
榎本:そういうことが秘訣です。だから別に超能力者ではありません。
MC Tama:そういう話でしたね。今日は非常に勉強になりました。聞いていて私もすごく興奮しました。
榎本:これはおそらく再生数はそんなに回らないと思いますが、非常に価値がありますので、これを見た人は本当にラッキーです。自分で言うのも何ですが、あなたはお目が高いです。
プロフィール

榎本幹朗(えのもと・みきろう)
1974年東京生。Musicman編集長・作家・音楽産業を専門とするコンサルタント。上智大学に在学中から仕事を始め、草創期のライヴ・ストリーミング番組のディレクターとなる。ぴあに転職後、音楽配信の専門家として独立。2017年まで京都精華大学講師。寄稿先はWIRED、文藝春秋、週刊ダイヤモンド、プレジデントなど。朝日新聞、ブルームバーグに取材協力。NHK、テレビ朝日、日本テレビにゲスト出演。著書に「音楽が未来を連れてくる」「THE NEXT BIG THING スティーブ・ジョブズと日本の環太平洋創作戦記」(DU BOOKS)。『新潮』にて「AIが音楽を変える日」を連載。
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「Musicman大学」は世界の音楽業界の最新トピックスを解説。講師は『音楽が未来を連れてくる』の著者、Musicman編集長・榎本幹朗。「Talk&Songs」は月間500組ものアーティストニュースを担当するKentaが選ぶ、今聴くべき楽曲と業界人必聴のバズった曲を解説。
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