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ライブ音楽ファンの9割、「ダイナミックプライシングを違法に」 英調査

ビジネス 海外

英国ではライブ音楽ファンの91%が、チケット購入で、需要に応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング(変動価格制)」を違法とすべきと考えているーー。英国8都市の自治体から委託を受け、米調査会社ニールセンが作成した調査レポート「Music Fans Voice」により、こうした実態が明らかとなった。 

この調査は英国の音楽ファン約8,100人を対象に、2月3日〜3月4日にかけて実施された。 

それによると、82%は販売条件が明確に伝えられていたとしても、ダイナミックプライシングの使用に同意しないと答えた。 

97%は額面価格でのチケット転売は認められるべきと考えている。91%は高額転売を禁じるべきで、97%はチケットの自動購入・転売(ボット)の防止策が必要だと答えた。 

また、93%は大規模会場のチケット購入時に、小規模会場の支援で1ポンドを徴収するアイデアに賛成。このうち43%はチケットの額面料金に含まれるべきで、8%はサービス料のように上乗せしても良いと考えている。 

回答者のほぼ全員(99%)がライブ音楽イベントは英国の文化の重要な一部だと考え、95%は英国の国際的な評判に関連して重要だと感じている。68%は英国が同分野で世界をリードしていると答えた。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「GW中、神宮球場の外野チケットが価格変動制(ダイナミックプライシング)で1万円超えして話題になったが、英国では音楽ファンの91%がダイナミックプライシングを違法にすべきと考えている。昨年、国民的バンドのオアシス復活でダイナミックプライシング(価格変動制)を導入したところ一時、転売により2400万円の値付けがされたり、被害額平均7万円以上のチケット詐欺が横行して社会問題化。英国政府が腰を上げるになり、規制法案が検討される事態になった。その結果、バンドの意向もあり、アメリカでも一度ダイナミックプライシングで販売されたチケットを取り消して売り直すなど、世界的な社会問題に発展した。ダイナミックプライシング自体はミュージシャンの興行売上を伸ばしてくれるが、転売や詐欺を防がないとファンの心象を壊して元も子もなくなってしまう。事件が先行したイギリスを日本政府も参考にしていくことになるだろう」

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。