世界のエレクトロ・ミュージック産業、2024年はチケ販売数減も売上6%増の1.8兆円

最新のIMSビジネスレポートによると、世界のエレクトロニック・ミュージック産業の市場規模は2024年に129億ドル(約1兆8,400億円)となり、前年比6%拡大した。フェスティバルとクラブが伸びをけん引した。
ライブイベントの収益は、ライブネーション・エンターテインメント、CTSイベンティム、HYBE、エスエム・エンタテインメント、JYPエンターテインメント、エイベックスを合わせて270億ドルと、前年(258億ドル)を上回った。2024年は特に2025年のツアーの前売りによって押し上げられたが、チケットの販売枚数よりも価格上昇が主な成長要因となった。
イビサ島(スペイン)のクラブチケット収入は、前年比6%増の1億5,000万ユーロ(約242億8,000万円)。この数字にはVIPは含まれていないため、地元経済にもたらされる総額はさらに高くなる可能性がある。チケット平均価格の上昇により増収となったものの、1会場当たりの平均公演数は右肩下がりで、チケット販売量は縮小している。
世界のフェスティバル(トップ100)のラインアップにおけるエレクトロニック・アクトが占める割合は18%に達し、2021年の13%から上昇した。
IMSビジネスレポートは、エレクトロニック・ミュージックの国際サミット「インターナショナル・ミュージック・サミット(IMS)」の委託を受け、英国の音楽専門コンサルティング・ファームであるMIDiAが作成している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「サブスクと共にライブも低成長に入っているが、それを如実に表すデータ。世界のエレクトロ・ミュージック産業の昨年売上は6%増の€1.5億(1.9兆円。比較として日本の音楽ライブ市場は当年5,000億円)も内実を見ると、チケット額の値上げ打寄りでチケット数はマイナス。5年前に拙著で指摘したとおりに動いている。エレクトロの人気低下といえばそうではなく、音楽フェスTOP100での比率は13%→18%と伸びている。EDMはブームが終わったがロックのように安定した地位を確立したと私は見ている。なお日本は会場不足問題があったのでその解決でコンサート市場はもう少し伸びそうだ」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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