Pヴァイン、1969年に発表した「To Be Young, Gifted and Black」の作詞者としても知られるウェルドン・アーヴィンの原盤権・著作権を取得

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ウェルドン・アーヴィン

Pヴァインは、アメリカ合衆国のアーティストであるウェルドン・アーヴィンの作品のうち、彼が設立した「Nodlew Music」の作品を中心に、関連作品や未発表作品も含め、遺族が権利を所有する全楽曲の原盤権、並びに彼の全ての著作権において、所有者であった遺族で妻のポーリーン・コール氏との間で取得する契約を締結したことを発表した。

70年代に活躍したウェルドン・アーヴィンはジャズの分野において先鋭的なスタイルで活動し、その結果、彼の残した楽曲は90年代以降にカテゴリーを超えて広い範囲で高く評価された。

Nodlew Musicにて発表したレアグルーヴ屈指の名盤「Time Capsule」は時代を超越したクラシックとして君臨し、また「Liberated Brother」に収録の「Sister Sanctified」はスタンリー・タレンタインやブレイケストラ、メイシオ・パーカーなど多くのミュージシャンにカヴァーされている。ジャズのみに留まらず、「Sinbad」に収録された「I Love You」はニュー・ソウルの名曲としてブラック・ミュージックのリスナーに広く愛されるなど、ジャンルを跨いで名作を数多く残し、現在でもジャズ/ソウル/レアグルーヴを象徴するアーティストとして語り継がれている。

また、スタンリー・タレンタインによる「Sister Sanctified」のカヴァーがのちにブギ・ダウン・プロダクションズ「My Philosophy」においてサンプリングされたように、特にアメリカのヒップホップシーンにも多大な影響を与えており、彼を師と仰ぎ敬愛したQティップが所属したア・トライブ・コールド・クエストの代表曲「Award Tour」において彼の楽曲「We Gettin’ Down」がサンプリングされていたり、マッドリブがMONK HUGHES & THE OUTER REALM名義で「A Tribute To Brother Weldon」を、またYESTERDAYS NEW QUINTET名義で「Suite For Weldon」を発表していたりと、多くのアーティストからリスペクトされている。さらにクラブシーンではセオ・パリッシュが「Black Music(I Love You)」という曲でウェルドンの代表曲「I Love You」をサンプリングしているなど、ジャンルやシーン、そして世代を超えて広く愛されているアーティストと言える。

ウェルドンの作品の中でもとりわけ重要な意味を持つのが、1969年に発表した「To Be Young, Gifted and Black」だ。ニーナ・シモンの音楽監督としても活動した彼は、ニーナが60年代の黒人公民権運動の中で発表し、のちにアレサ・フランクリンやダニー・ハサウェイもカヴァーしたこの曲の作詞者としても知られている。この曲は、ブラック・ライヴス・マター(BLM)運動が熱を帯びる中で公開された映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』のクライマックスにおいてもフィーチャーされており、60年代から現代に至るまで、ブラック・パワーを象徴する曲として社会的にも世界中で認知され、さまざまな人に歌われ続けている。50年間ブラック・ミュージックの魅力を世に伝え続けてきたPヴァインにとっても特別な意味を持つ曲であり、今回同社が取得したウェルドンの著作権の中に、この曲の作詞も含まれている。

このように世代を超えて支持されるWELDON IRVINEの楽曲の魅力をより多くの人に伝えていくべく、未発表曲も含む全作品、楽曲、付随するアートワークについては今後、株式会社Pヴァインは今後、ウェルドン・アーヴィンの楽曲の魅力をより多くの人に伝えていくべく、未発表曲も含む全作品、楽曲、付随するアートワークについて管理し、レコード、CDの製造および関連するアパレルなどを手がけていく。まずは順次、カタログのリイシューを発売するとのこと。

Pヴァイン 代表取締役社長 水谷聡男氏コメント

たくさんのレコードをコレクトしてきた個人的な体験、そして我々Pヴァインが50年、世界中の良質な音楽を紹介してきた組織としての経験をもって、最高峰に位置するとの確信があるWELDON IRVINEの音楽。
ご遺族から我々Pヴァインへとリレーすることで、より世界中に世代を越えてWELDONの素晴らしい音楽が聴かれるようにPヴァインは努力し続けます。
現代においてもジャズ、ソウルそしてヒップホップにまで多大な影響を与え続けるWELDON IRVINEの音楽を広めていくことに、我々Pヴァインが携われることを大変光栄に思っております。

ウェルドン・アーヴィン(WELDON IRVINE)プロフィール

作曲家、キーボード奏者。
1943年10月27日、バージニア州ハンプトンで生まれ。1965年にニューヨークに移り住み、ジャズ・ファンク、ジャズ、ヒップホップ、ファンク、リズムアンドブルース、ゴスペルなど様々な音楽ジャンルに関わった。
60年代後半からジャズ・シンガー、NINA SIMONEの音楽監督とツアー・バンド・リーダー兼、オルガン奏者を務め、彼女の代表曲の1つ「To Be Young, Gifted and Black」の作詞を担当。この曲は、公民権運動の「公式」賛歌と呼ばれている。
1972年に1stアルバム「Liberated Brother」を発表。以後、70年代にかけて数々の作品をリリース。90年代にヒップホップをはじめとした最前線の音楽シーンで再評価され世代を超えて絶大な支持を獲得し、
晩年はQ-TIPやMOS DEFなど多くのニューヨークのヒップホップ・アーティスト達とも共演。彼らが師と仰ぐ存在であった。
2002年4月9日死去。

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