世界のオンライン音楽ストリーミングの売上、2019年上半期に110億米ドルを超える

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世界のオンライン音楽ストリーミングの売上、2019年上半期に110億米ドルを超える

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、世界のオンライン音楽ストリーミングの売り上げが、2019年上期に前年同期比18%の成長を遂げ、110億米ドル(日本円約1.2兆円)を超えたと最新調査で発表した。

月間アクティブユーザー数は、前年同期比で21%伸び、一方、有料プラン契約者数は前年同期比で32%伸びた。オンライン音楽ストリーミングの売上は、前年同期比20%増のペースでこれからも増え、2019年全体の売り上げは240億米ドル(約2.6兆円)に達するだろうと私たちは予測している。

市場の概況について、リサーチアナリスト Abhilash Kumar氏は「オンライン音楽ストリーミングは、2016年から2018年にかけてCAGR32%の見事な成長を遂げた。これは、こうしたサービスに対する需要が高まったことを示している。この業界の売上の8割はサブスクリプション契約によるもので、残りは広告や、端末メーカーやキャリアとの協業によるものである。この市場はまだピークに達しておらず、少なくともあと数四半期は20%以上の成長率を維持して健全に伸びると私たちは考えている」と述べている。

Spotifyが、売上及び有料プラン契約者数の両方において、2019年上期の市場をリードし、業界の総収入の31%、有料プラン契約者数の35%を占めている。Appleは業界総収入の25%、有料プラン契約者数は20%と遅れを取る形だ。

その中、Tencent Musicは、子会社のQQ Music、Kuwo、Kugouを通じて、グローバルMAU(月間アクティブユーザー数)において最も高いシェアとなる31%を獲得している。ただし、Tencentユーザーの9割は無償サービスを利用している。

業界トップ企業の動向について、Kumar氏は「Spotifyが業界のリーダーになったのは、強力なキャンペーン、新興市場への拡大、他業界との協業、ポッドキャスト重視、といった施策による。また、Appleはサービス事業の売上を極めて重視するようになっており、音楽ストリーミングサービスには大きな将来性をみている。サブスクリプション契約の値下げ、業界他社との協業、アプリのエクスペリエンス向上が、Appleの業績に貢献した。Tencent Musicは自社のSNSプラットフォームを活用することで、手軽に多大なコストをかけることなく、巨大なユーザーベースを得ることができている」と付け加えている。

現在、音楽ストリーミング各社は、お試し期間の設定やプロモーションを通じて、有料プラン契約者数を増やすことに注力しており、それによって自社へのロイヤリティを高め、ユーザーを引き留めようとしている。

Apple Musicの有料プラン契約者数は、2019年上期に前年同期比で55%増加し、同様にGoogle MusicとYouTube Musicを合わせた有料プラン契約者数は、前年同期比56%増加している。ロシアのYandex musicも絶対数は少ないながらも、有料プラン契約者数を前年同期比89%増加させている。

オンライン音楽ストリーミング業界のこれからの課題について、シニアアナリストのHanish Bhatia氏は「世界中で未だに音楽業界はライセンスや著作権の課題を抱えている。どこでも同じようなサービスを提供できるようにする為に、SpotifyやApple、YouTubeなどのストリーミングの巨人たちが果たす役割は極めて重要である。とりわけ、収益化が大きな課題として残る新興市場において、彼らの役割が重要となる」とコメントした。

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