スペインの原盤市場、2025年は13.7%拡大 2003年以来の水準に回復
スペインのレコード音楽産業団体プロムシカエ(Promusicae)は3月5日、同国のレコード音楽の卸売売上高が2025年に4億950万ユーロ(約753億4,498万円)となり、前年比13.7%増加したと発表した。2003年以来の水準に回復している。
内訳を見ると、全体の73.8%を占めるデジタルは3億200万ユーロ。このうち、ストリーミングは3億ユーロと13.0%拡大した。有料サブスクリプションは2億1,400万ユーロと19.2%伸び、広告付き無料オーディオ・ビデオストリーミングは計8,600万ユーロだった。
フィジカルは31.6%増の4,170万ユーロで、このうち69%を占めたアナログレコードは44.9%拡大。CDは9.1%伸びた。
音楽販売に加え、スペインの著作権管理団体AGEDIを通じて管理される知的財産権は、前年比9.2%増の6150万ユーロを同業界にもたらした。シンクは2.2%増の430万ユーロだった。
同国のオーディオストリーミングサービスの利用者は2,100万人以上。この中で有料契約者は800万人超と1年前から18%拡大したものの、プロムシカエのアントニオ・ギサソラ会長は「スペインでは有料サブスクによる音楽消費の普及率が低いため、依然として苦戦している」とした。
国際レコード産業連盟(IFPI)によると、スペインの音楽市場規模は2001年に世界で7番目に大きかったが、デジタル海賊版の影響もあり、2024年には14位まで順位を落としていた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
かつてスペインは世界最悪の音楽海賊版大国のひとつだった。P2Pが全盛だった2000年代、スペインの音楽産業は壊滅的な打撃を受け、世界7位から14位へ転落した。その同じ国が今、13.7%増・2003年以来の売上水準を記録した。皮肉なのは、回復の立役者がかつての「敵」の後継者だという点だ。「音楽はタダ」という文化を育てたのはP2Pだが、Spotifyのフリーミアムモデルはその文化を合法化しながら市場に取り込んだ。有料サブスク800万人・普及率38%は低いようで、海賊版時代と比べれば革命的な変化だ。翻って日本を見ると、世界第2位の音楽市場はデジタル増がフィジカル減を補う形で微増を続けてきたが、成長の鈍化は否めない状態が続いている。ストリーミング比率は約40〜45%と世界平均69%に大きく遅れを取っているが、2025年に日本もデジタル(サブスク+広告+DL等)がCDを初めて上回っている。ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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