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Napster、30億ドルの資金調達計画が頓挫 CEOは「不正行為の犠牲者」主張

ビジネス 海外

Napsterの将来は、30億ドルの資金調達が頓挫したことで完全に不透明となった。ジョン・アクントCEOは自社が「不正行為の犠牲者だ」と主張している。フォーブス誌などが伝えた。

同CEOは、11月20日のオンライン株主総会で、1月に公表していた匿名投資家による33億6,000万ドルの出資計画が履行されない見通しだと明かした。その直後に投資家に送ったメールの中で、当該取引に関連する株式が消却されると同時に、既存株主の一部の持分比率が上がると説明。自社を「不正行為の被害者」とみなしていると伝えた。この取引を資金源としていた公開買付けの計画も中止された。

Napsterは3月、アクント氏の没入型テクノロジー企業「Infinite Reality(iR)」に買収されており、匿名投資家による巨額出資の計画を発表したのはiR時代のこととなる(5月にiRからNapsterに社名変更)。同社は5月に調達先がスターリング・セレクト・グループだと明かしたが、後にこれを撤回。匿名投資家が存在するのかどうか疑問視されていた。Napsterは資金枯渇で未払い訴訟も抱えており、つなぎ資金の調達に奔走し、かろうじて経営を維持している状態だ。

米証券取引委員会(SEC)と米司法省(DoJ)がそれぞれ本件の経緯を調査中で、Napsterが資金が実在しないことを知りながら投資家誘致などをしていた場合、証券詐欺に該当する可能性がある。

(文:坂本 泉)

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「音楽産業への歴史的な投資ブームが起きる中、大規模な失敗例も発生。かつてCDビジネスを破壊したmp3共有の元祖Napsterは破産したが、現在は別会社がのれんを競売で買って音楽サブスクに仕立て直していた。ただSpotify、Apple Music、YouTube Musicなどの台頭でマイナーに。そのNapsterが30億ドルの大規模調達をすると、今年1月に経済誌Forbesが初報を出し、musicmanでも取り上げた。が、これが頓挫したことをForbesが先月、改めて伝えた。3月にNapsterを買収したinfinity Reality社はメタバース系の会社で、Napsterの音楽サブスクサービスを停止。3DバーチャルコンサートやECなど展開をNapsterブランドで再展開するといわれていた。ややこしいが今回の30億ドルの資金調達はこのinfinity Reality社ではなく、匿名の投資家が提案していたもの。NapsterのCEOは「不正行為の被害者になった」と主張している」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。

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