ゴールドマン・サックス、2025年の世界の音楽ソフト市場の見通し引き下げ

米金融大手ゴールドマン・サックスは6月3日、世界の音楽産業の予測レポート「Music in the Air」の最新版を公表。世界の音楽ソフト市場は、2025年に314億ドル(約4兆5,400億円)になるとの見通しを示した。前年の成長率が4.8%と予想(8.9%)を下回ったことを受け、前回予想(339億ドル)から引き下げた。一方で、音楽業界は今後も健全な成長を遂げると強調している。Music Allyなどが伝えた。
他部門の見通しを見ると、音楽出版は107億ドルと前回予想を維持。ライブ音楽は377億ドルから382億ドルとわずかに上方修正した。音楽ストリーミングについては、サブスクリプションを従来の330億ドルから313億ドルに、広告収入を従来の134億ドルから113億ドルにそれぞれ引き下げた。
同社は「構造的、循環的、単発的な要因の組み合わせ」により、世界の音楽産業が2024年に著しく減速したと指摘。しかし、音楽市場は不透明なマクロ経済の中でも回復力を維持し、特に新興市場においてサブスクを拡大する大きなチャンスがあるとの見方を示した。
世界の音楽市場は、2035年までに1,968億ドルに達し、2024年の水準(1,050億ドル)からほぼ倍増する見通し。
ストリーミング配信における有料会員数は、現在の7億5,200万人から2035年には15億1,100万人に増加すると予測。新興市場が占める割合は昨年の57%から2035年には75%に拡大するとみている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ゴールドマン・サックスが世界の音楽産業の成長予測を下方修正。昨年の成長率が8.9%予想だったのが結果は4.8%だったため。以前も書いたがゴールドマン・サックスの音楽産業の予測はいつも後追い傾向なので、トレンド予測よりトレンド確定の指標として使った方が良い。ここで言えばストリーミング市場は新興国のシェアが昨年57%で2035年には75%になる予測。先進国で音楽サブスクの普及が終わったことが理由だが、世界の音楽ソフト産業はすでにサブスクの次のビジネスモデル構築へ向かっている。日本はサブスクの普及が5年ほど遅れたため、そこにあまり目が行っていないのが懸念点だ」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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