ヒップホップは本当に衰退しているのか? 従来ジャンル分けに問題も

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近年、ヒップホップの市場シェア低下していることを懸念する声が広がっている。これについて、音楽データ分析ツールを手がけるChartmetricは、音楽のグローバル化が進む中、欧米を中心とした従来のジャンル分けを問題視している。

同社は、欧米地域以外のアーティストは「ラテン」や「アフリカ」のような地域用語が加わることで、「ヒップホップ」のような包括的な用語から切り離されていると説明。Spotifyで人気のアフリカン・ミュージック・プレイリストの1つである「African Heat」を分析すると、楽曲の35%が「アフリカン」、15.5%が「ヒップホップ/ラップ」、13%が「アフロビート」に区分される一方で、アーティスト・レベルで見れば、主なジャンルは「ヒップホップ/ラップ」と「ダンス/エレクトロニック」になるとしている。

Chartmetricは、ヒップホップはK-POPやアフロビーツ、ラテン音楽など支配的または新興のジャンルの基本要素となっていると指摘。しかし、全てをヒップホップとしてラベリングすることは現実的ではなく、チャートやプレイリストでその優位性が見過ごされてしまうこともあるとの見方を示した。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「確かにヒップホップは2010年代後半をピークにビルボードチャートから割合を減らしているが、世界全体で見ると話は違ってくるという分析。今一番伸びている『アフリカン』はベースにヒップホップがあるし、K-POPもヒップホップの影響が強い。ビルボードといえばビヨンセのカントリー・アルバムが連続して1位になったのは新しい息吹を感じた」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。