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indigo la End 川谷絵音 ×Omoinotake 藤井怜央が対談ーー初の2マンライブ『SOUND CONNECTION』を前に心境を語る

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Omoinotake 藤井怜央(Vo.Key)、indigo la Endの川谷絵音(Vo.Gt)

Omoinotake 藤井怜央(Vo.Key)、indigo la Endの川谷絵音(Vo.Gt) 撮影=森好弘

2025年7月4日(金)、大阪城音楽堂で開催される『SOUND CONNECTION -SUNSET PARTY-』で、indigo la EndとOmoinotakeの初のツーマンライブが実現する。夏の夕暮れ、そして野外でindigo la EndやOmoinotakeの音楽を、各50分のロングセットで堪能できるとは、またとない機会だろう。SPICEではライブの開催を記念して、indigo la Endの川谷絵音(Vo.Gt)、Omoinotakeの藤井怜央(Vo.Key)の対談をセッティング。互いの音楽に対する印象からセットリストの話まで、会話の内容は多岐にわたった。そして当日、2人は人見知りにとって最大のハードル“2回目の対面”を乗り越えて、仲を深めることができるのか。対バンを経た、2組の今後の交流にも期待したい。

お互いの印象や共通点、それぞれの作曲について

藤井怜央(Omoinotake):はじめまして。Omoinotakeの藤井です。よろしくお願いします。

川谷絵音(indigo la End):川谷です。今日はよろしくお願いします。

――完全に初対面ですか?

川谷:そうですね。でも、Omoinotakeのことは昔から知っていました。蔦谷(好位置)さんが『EIGHT-JAM』でよく名前を挙げているのを見ていたし、僕自身も曲を聴いてたので。頑なにギターを入れず、3人でここまでちゃんと作り上げているピアノボーカルのバンドってなかなかいないし、カッコいいなと思ってました。

藤井:ありがとうございます。「絶対にギターを入れないんだ」というこだわりがあったわけじゃないんですけど、ピアノトリオという形で始めた以上、この編成で成り立つやり方を考えたいなという気持ちがあって。あとはまあ、僕がそんなにギターを弾けるわけでもないので、曲を作る時に、ギターをどう入れようかっていうイメージがそんなに湧かないので。だったらギターがいない分、ピアノや他の楽器にどう置き換えればいいのか、それを考えるしかなかったんですよね。

川谷:でも、途中で飽きそうじゃないですか。それをどう解消してるのかなと思って。

藤井:本当に探り探りですよ。いろいろな人のやり方を「あっ、こういうふうにやるんだ」って見ながら、シンセサイザーや弦楽器、管楽器の取り入れ方を身につけてきたというか。

川谷:それがすごいし、珍しいバンドだなと思いました。あと、Omoinotakeはちゃんと信念を持ってポップスをやってる感じがして、リスペクトしてます。

藤井:ありがとうございます。僕のindigo la Endに対する印象は……僕らの場合、切ない曲を作ろうとすると、どうしてもバラードっぽくなっちゃうんですよ。だけどindigoは、メロは切ないけどバンドサウンドもすごくしっかりしてるから、疾走感があって、しっとりしすぎていない。切なさと疾走感が共存した曲って僕はあんまり書けないので、すごくいいな、カッコいいなと思っています。

川谷:ありがとうございます。それはギターが入っているからこそかもしれないですね。

藤井:あと僕はメロディアスな曲が好きなんですけど、indigoの曲はサビのメロディが必ずサビ然としているというか。サウンドの方向性は一旦置いておいて、メロディ単体で考えた時に、しっかり「サビだな」と思えるというのも、ポップスたる所以な気がするので。そこは僕も曲を作る時に意識しているポイントなので、勝手ながら、indigoとOmoinotakeの共通点なんじゃないかと思ってますね。

――先ほど川谷さんが「Omoinotakeは信念を持ってポップスをやってる感じがして、リスペクトしている」とおっしゃっていましたよね。そのリスペクトというのは、シンパシーとは別ベクトルですか?

川谷:僕らは信念があんまりないというか、もうちょっと適当なので。ポップスをやりたい時もあれば、やりたくない時もある。「バンドだから、どっちでもいい」みたいな考えなんですよ。それに僕の場合はアウトプットが一つでは完結しないから、例えばゲスの極み乙女がポップスをやってる時は、indigoはオルタナティブに行こう、ということもあるし、いろいろなバンドがあって、立ち位置みたいなものがどんどん変わっていくので、そういう意味では信念はあまりないかもしれないです。だけどOmoinotakeは、信念を持ってポップスをやっている方々なんだろうなと思って。僕が勝手にそう思っているだけなので、間違っていたら申し訳ないんですけど。

藤井:いやいや、全然。

川谷:それで実際にね、ヒット曲も出して。

――「幾億光年」のヒットを川谷さんがどのように見ていたのかも聞きたいです。

川谷:去年TikTokから出てきたヒット曲はリズム重視な感じがあったと思うんですけど、やっぱり日本人はみんなメロディで、メロディがいい曲がヒットする流れは往々にしてあったから。「幾億光年」はすごくいいメロディ……特にサビとかはキーが高いからみんなが「歌いたい」「挑戦したい」と思うメロディということで、その流れの中でストレートにヒットしたなっていう印象でしたね。まっとうなヒット曲がみんなの心を掴んだ、みたいな感覚があります。

藤井:嬉しいです。Omoinotakeは僕が作曲をしていて、ベースが作詞をしているんですけど、「幾億光年」のサビに関しては、詞が先にできていて、メロディはあとからつけて。

川谷:確かに、詞が先っぽいメロディですもんね。ハマりがいいというか。

藤井:今はわりとメロから先に作ることが多いんですけど、やっぱり詞が先にあると、その詞をどう生かそうかと常に考えながら、メロディを作ることになるので。その掛け算もあって、あのサビメロが生まれたのかなと思います。

――なるほど。いいメロディを書けた時は、やっぱりテンションが上がるものですか?

藤井:そうですね。制作中「このメロディいいかも」と思えた時は、やっぱりテンションが上がります。僕ら「踊れて泣ける」というのをキーワードにしていつも曲を作ってて。「 踊れる」はサウンドやアレンジの面も大きいけど、「泣ける」に関してはメロディによるところが大きいので、メロディが涙腺に来るかどうかというのは、自分の中の判断基準にしています。

川谷:僕は長くやってきている分、制作中にテンションが上がることが、最近はあんまりないんですよね。けっこう淡々と作っているというか。

藤井:自分がどういう感情になったら、「この曲いい感じにできた!」って思えるんですか?

川谷:それも分からなくて。いつも「大丈夫なのか?」と思いながら出してます。 自分が「本当に大丈夫か?」と思って出したものが意外と反応よかったりするし、逆に「いいな」と思っていたものがよくなかったりするから、もう自分でジャッジしないようになった感じですね。だからとりあえず委ねる。

藤井:なるほど。じゃあ、「この歌詞じゃない」「このメロディじゃない」って何度も吟味するようなことはあんまりしないですか?

川谷:すごい速度でやってはいるんですけど、 あんまり時間はかけないですね。時間をかけて100点目指そうとしても、100点にならない時の方が多いので。それに、何点かは僕らが判断することじゃなくて、聴く人が判断するものだと思っているので。だから、80点だろうが70点だろうが出す。僕はそんな感じでやってます。

藤井:川谷さんは本当に多作ですからね。いつもすごいなと思ってます。

川谷:いやいやいや。僕なんて、適当に作って出してるだけなんですよ。

藤井:いやいやいや……。

川谷:適当に作ってはいないけど、わりと気楽に出してる。量を出していかないと暇になっちゃうし、暇になると堕落しちゃうので。どんどん作らないと、音楽家であることがブレちゃう気がするんですよね。

藤井:なるほど。

夏の大阪城音楽堂で初ツーマン!各50分のロングセットを野外で

ーー7月4日(金)の『SOUND CONNECTION -SUNSET PARTY-』では、indigo la EndとOmoinotakeの初のツーマンライブが実現します。夕暮れの野音っていうシチュエーションも最高ですね。

藤井:僕らは去年、大阪城音楽堂でワンマンライブをやったんですけど、その時は4月末で、日が落ちるくらいにライブが終わるようなスケジュールだったから、昼間の爽やかな風を感じながらのライブだったんです。だけど今回は夏の夜、しかもindigoとの対バンということで、いつもよりも切ない曲をたくさん演奏できそうだなとワクワクしてます。

川谷:野外で聴けるっていうのがいいですよね。本当にいいイベントだなと思いました。

藤井:僕らずっと芽が出ない状態だったので、第一戦でずっと活躍されているindigo la Endと対バンさせていただけるなんて、恐れ多いです。

川谷:いやいやいや。 僕らなんて本当に何もないですよ。何事もなく、ただ長くやってるだけのバンドなので。

藤井:いやいやいや……!

川谷:むしろ、僕らが申し訳ないですけどね。この日はみんなが知ってるような曲は本当に1曲もやらないつもりなので、おそらく、お客さんを置いてけぼりにすると思います。ファンの人たちにも「ドープな曲しかやらない」って公言してて。だから、さっきメロディの話をしましたけど、この日やる曲はストレートに良いメロディの曲はほとんど無いと思う。この日はずっと轟音が鳴ってる可能性が高いです。僕ら自身も「これってどうなのかな?」と思ってるような曲をやる、変な日なんです(笑)。

藤井:あははは!  対バン相手から「こういう曲をやります」って事前に聞く機会はなかなかないので、これを受けてどんなふうにしようか、また考えたいと思います。普段はそういうセットリストは、あんまり組まないんですか?

川谷:あんまりないですね。だけどOmoinotakeがポップさを担ってくれるので。あとは気まぐれですね。僕ら今15周年で、この1年でできるだけいろいろな曲をやろうと思ってるんですよ。だからドープな曲をやる日を設定してみようかなと思って。今やっているワンマンツアーも、セットリストを毎回ガラッと変えてます。

藤井:そうなんですね。昔作った曲に対する想いって、どういう感じですか?

川谷:いや、すごく恥ずかしいですよ。「恥ずかしいな」と思いながらやってるんですけど、やっぱりファンの人が求めてる部分もあるので。15周年の機会だし、と思いながらやってますね。

藤井:当時とアレンジを変えたりしているんですか?

川谷:好きなバンドのライブに行って、アレンジが変わっていたらちょっと嫌だなって僕は思うタイプなので。だから昔の曲も、そのままのアレンジでやってる。聴いてくれる人のためにそうしていますね。

藤井:偉いですね。僕ら、初期の曲は最近ライブであんまりやらないんですよ。結成当初は未熟だったから、昔作った曲を今聴くと、サウンドメイクがショボいなと思っちゃって。最近の曲と一緒にセットリストに並べても、そこだけへこんじゃう気がする。それがちょっと嫌だなと思って、ライブでやらなくなっちゃったんですよね。だから僕の場合、自分がやりたいか、やりたくないかで、曲をけっこう選んじゃってます。

川谷:でも、お客さんの中には聴きたいって思ってる人もいるってことですよね?

藤井: そうですね。だから折り合いをつけていかなきゃいけない。

川谷:僕も昔はそうだったんですけど、13年目くらいから考え方を変えました。前までは、歌詞が特に……。

藤井:「今の自分はこういう詞を歌いたくない」みたいな?

川谷:うん。ちょっと若いなって。indigoの初期ってめちゃくちゃ喋ってる曲が多いから、今でも「恥ずかしいな」と思いながらやってるんだけど、喜んでくれる人がいるから、「そういうことだよな」と思って。

藤井:あー。我々がまさに結成から13年経ったところなので……そろそろ切り替えなきゃいけないのかもしれないですね。

川谷:多分、 15周年のタイミングで直面するんじゃないんですか? 今までの曲もさらっていかないといけないという機会がやってきたり。「そろそろ昔の曲をやらないとクレームきそうだな」と感じたり(笑)。

藤井:あー(笑)。なるほど。勉強になります。

――今日話してみて、いかがでしたか?

川谷:当日が不安で不安でしょうがないですね。

藤井:えっ?

川谷:僕、対バンの日はいつも緊張しちゃうんですよ。人見知りだし、「相手の人たちに嫌われてないかな」とか、そういうことばかりいつも気にしていて。しかも他のメンバーは、僕より更にコミュニケーション能力が低かったりするので、MCで話を振っても、マイクを反らして無視されるし。当日も楽しみにしていてほしいです。挨拶の時も多分、誰も人の目を見ていないと思うので(笑)。

藤井:その前情報を聞けてよかったです(笑)。「そういう人たちなんだな」と分かっていれば、「嫌われてるのかな」と不安にならずに済むので。

川谷:そう。コミュニケーション能力がないだけで、悪い人たちじゃないんです。4人の中では僕が一番コミュニケーション能力があるんですよ。これでも、一応。

藤井:逆に僕は、メンバーの中で一番コミュニケーション力が低いですね。

川谷:そうなんですね。僕の場合、初対面は得意なんですけど、2回目からはダメになっちゃう。人見知りって、そういうところありません?

藤井:確かにそうかもしれないです。多分、このライブの当日が、僕らは会うのが2回目になりますけど……。

川谷:そうなんですよ。危ないかもしれません(笑)。2回目が上手くいかなかったせいで、仲良くなれなかったバンドマンがほとんどなんですよ。僕が勝手にシャッターをピシャーッと閉じちゃうんですけど。

藤井:そのシャッターは、なぜ閉じちゃうんですか?

川谷:いやー、 何故か気付いたら閉じちゃうんですよね。そうしていたらどんどん友達が減っていくんですよ。しかもフェスに出る時は最近ずっとタイムトライアルをやってるから、新しい友達もできない。それで今は猛者だけが残ってて……。

藤井:タイムトライアルというのは?

川谷:どれだけ早く帰れるかっていう。この前『アラバキ』(『ARABAKI ROCK FEST.25』)に出た時は、13時半にライブが終わって、16時半に家にいました。

藤井:『アラバキ』って宮城ですよね? で、3時間で都内の家に? すごいですね(笑)。

川谷:ライブが終わったら楽屋エリアに戻らず、ステージ裏に停めておいたタクシーに乗って、駅まで行って、新幹線に乗るっていう。俺らもう中堅なので、フェスに出ると、自分より若い人がほとんどなんですよ。楽屋エリアに残ってずっと酒を飲んでる先輩って、後輩から見たら嫌な感じがするだろうから、自分はそうならないようにしている。それを徹底した結果、最近ではタイムトライアルに……。

藤井:あはは。なるほど。仲良くなる人には、共通点とかあるんですか?

川谷:裏表がない人ですかね。あと熱い人が苦手だから、プライベートで仲良くなっても、対バンした時に「オラァ!」って感じのテンションで来られたら、スッとシャッターを閉じちゃう。キュウソ(ネコカミ)の(ヤマサキ)セイヤくんは、あっちからこじ開けてくれたんですけど、全然嫌な感じがしなくて、仲良くなれました。

――リズムが合う人だったら、シャッターをこじ開けられても嫌な気はしないと。

川谷:そうですね。

藤井:いやー、僕はどう行けばいいんだろう……(笑)

川谷:本当に申し訳ない。でも、「オラァ!」って感じの人ではないと思うので。……まあ僕が直せばいいだけの話なんですけどね(笑)。

藤井:今日の対談があって本当によかった(笑)。 2回目を乗り越えて、仲良くなりたいです!

川谷:よろしくお願いします!

取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=森好弘

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