貴水博之、8/22発売アルバム「Gimmick Zone」&9/19発売X21シングル「デスティニー」全曲セルフライナートーク第2回を公開

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貴水博之、8/22発売アルバム「Gimmick Zone」&9/19発売X21シングル「デスティニー」全曲セルフライナートーク第2回を公開

「仮面ライダーエグゼイド」では、仮面ライダークロノス/檀正宗を演じ、挿入歌も歌った貴水。「仮面ライダーエグゼイド」「仮面ライダービルド」を音楽で支えた三人のクリエイターats-、清水、渡辺。「仮面ライダービルド」挿入歌「Ready Go!!」「Evolution」のヴォーカルを担当したAXL21から末永と田中。それぞれの才能が、仮面ライダーを触媒とし、化学反応を起こした。

そして、貴水のニューアルバム「Gimmick Zone」とX21のニューシングル「デスティニー」が誕生した。

先の連載座談会に続き、このメンバーが再び集合。

第2回は、「Gimmick Zone」収録の「Deep×Collage」から「Final Wish」までの5曲を語る。楽曲誕生に隠された、貴水も知らなかった事実も明かされる。

テキスト:藤井徹貫
写真:阿部薫

M6 Deep×Collage
Lyrics:貴水博之 Music:ats- Arrangement:日比野裕史

末永:セクシーな曲ですよね。

ats-:♪Love will never endからのシャウトも圧巻。

貴水:100曲以上の候補曲のなかでもオンリー・ワンだったので即決した曲です。

ats-:仮面ライダークロノスの劇伴は、清水さんが一人で作られていたけど、僕は悪のヒーローが大好物なので、うらやましくもあり、悔しくもありで(笑)。だから、実は、これが僕なりの仮面ライダークロノスのテーマのつもりで作曲しました。

貴水:え!?そうだったの?今、初めて知りました。

ats-:初告白です(笑)。

貴水:そういう思いを知らずに選んだわけだから、何か通じ合っているとしか思えないですね。

ats-:僕が作ったデモ音源よりギター・ソロが激しくなりましたよね。

貴水:そうそう。ジャケット撮影にみんなでスタジオにきてくれたとき話したギターが…とか。もっとガガガガッみたいな、バリバリみたいなソロが…とか。そうしたら、すぐ新しいギター・ソロが入った音源が届いて。レスポンスの速さとクオリティーの高さにビックリ。あの擬音が7割くらいの説明で、よく理解してもらえたなと(笑)。

ats-:逆にわかりやかったです(笑)。

清水:僕は付き合いが長いから、擬音が多いのがHIROだと思っているので、違和感はないけどね。擬音で説明するというと、抽象的みたいだけど、HIROのなかに具体的なイメージがあるから、でき上ったものに対してのジャッジメントは早い。即決だよね。

貴水:せっかちだから(笑)。

清水:頭のなかがクリアーな証拠。

貴水:僕が迷ったら、すべてがブレるからね。自分のイメージに忠実でいないと。何かを決めるときは、たとえ99対1でも押し切るくらいの勢いを大事にしてたね。「2日、3日、時間をください」だと、曲がぬるくなってしまう気がして。鉄は熱いうちに打て。バッ、バッといかなきゃ。

M7 Thin Moon
Lyrics:貴水博之 Music:丸山真由子 Arrangement:清水武仁

貴水:女性作家の作曲で、僕が聴かせてもらったデモ音源も、彼女なのかな?女性の方が歌っていて。その流れで女性目線の歌詞を書いた曲。これ、最近の僕の傾向。女性が主人公の歌詞や女性言葉の歌詞を増やしたいと思ってます。

末永:大人の女性のイメージでした。

貴水:そうだね、二人よりは少し大人かな(笑)。ただ、あくまでも僕がイメージしている女性像だから、実際に女性がこの歌を聴いて、共感してくれるか、反感を買うか(笑)、それはわからない。でも、こういう表現も許されるのがエンターテイメント。たとえば社会的には許されない愛が映画になったり、小説になったりするわけで。だから、男性が女性の心境を歌えたり、日常では許されない愛を歌えたりするのがエンターテイメントだから、もっと挑戦したい。固い言い方だと、表現の幅を広げたいから。

清水:あの歌詞を読んだとき、こっちできたか、と思った。デモを聴き返してみると、確かにこっちの方向性で歌詞を書く要素があったから、HIROが「もっと歌詞に寄せたアレンジを」とリクエストするかと思っていたら…。

貴水:しーちゃんのアレンジにダメ出しするわけないじゃない(笑)。というか、アレンジの方向性がデモと違ったからこそ、面白くなった。ゴージャスになったよね。そうすると、歌詞のなかの女性像も変わるわけで。そこが僕は面白かった。

清水:一応、長い付き合いだから、HIROが好きそうな音は意識したけどね。その点では、仮面ライダー色より貴水博之色を意識したアレンジ。

M8 Avenge Ocean
Lyrics:貴水博之 Music:ats- Arrangement:ats-

貴水:avengeもrevengeも、辞書をひくと、「復讐する」という意味。ただ、avengeは正義の名のもとにみたいなニュアンスで、revengeは個人的な感情みたいな差があるらしいので、この曲にはavengeだなと。

ats-:これも初告白ですが、実は僕なりのrevengeでした。というのは、accessのファースト・アルバム「FAST ACCESS」が発売になったとき、聴かせてもらって衝撃を受けました。

渡辺:僕も聴いていました。

ats-:当時、僕はまだバンドで歌っていた頃でしたが、1曲目の「Sensual Glide」から2曲目の「VIRGIN EMOTION」の流れが格好よすぎて、嫉妬のあまり、そのアルバムを聴けなくなりました。だから、オマージュの意味で、「Sensual Glide」と同じ6/8拍子のリズムを重ねています。あの頃の嫉妬にケリをつけるリベンジも兼ねて(笑)。

貴水:「Sensual Glide」とは…。今の今まで、まったく気づかなかった。でも、呼ばれるものがあったのかな。お互いの25年以上の時を経て、やっと出会えた曲ですね。

ats-:当時は、作家ではなく、アーティストだったので、やられた!と思いました。悔しかったです。同時に、正直なところ、敗北感もありました。そんな自分へのリベンジですね。

貴水:デモの段階で、ほぼ完成されていたので、歌詞のテーマもすぐ決まりました。でも、実際に書き始めると、テーマが決まっていても、なかなか進まないこともあるわけで…。そういう場合、最近は粘らない。何日も同じ場所で悩まない。一旦、辞める。まったく違うことをしてから再開するようにしています。ときには、3曲くらいの歌詞を同時進行させることもあるし。こっちで行き詰まったら、こっちを書き進めようみたいな。

田中:落ち込んでいるときに聴きたい曲です。背中を押してくれるから。

貴水:レコーディングでムカついたときはぜひこれを聴いてね(笑)。

M9 Everyday
Lyrics:貴水博之 Music:大西克巳、日比野裕史、丸山真由子、渡辺徹 Arrangement:清水武仁

貴水:ライブの後半に歌いたい曲です。徹くんを含む、avexのtearbridge production所属のクリエイター陣が共作したメロディ。共作は難しいの?

渡辺:僕は、比較的慣れているほうだと思います。ちなみに名前が書いてある順番が、AメロからDメロまでの作曲者です(笑)。

貴水:ということは、徹くんが作曲したのはDメロだね。そして、しーちゃんのアレンジ。

清水:曲調としては得意な分野。さらにHIROがこれを歌いたいシチュエーションをイメージしながらアレンジした。

貴水:アルバムが完成してから知ったことだけど、tearbridge productionの作家陣の入魂の4曲のうちの1曲みたいだね。

渡辺:はい。1年くらい前にとあるきっかけから作ったはずです。それをディレクターが温存されていて、ここぞ、というタイミングで出したそうです。残る3曲のうち、2曲は…。あ、これはまた後で話したほうがいいですね。

貴水:他の3曲の行方を、僕は知らないから、よきタイミングで話してね。

M10 Final Wish(ats-,清水武仁&渡辺徹Feat.貴水博之&AXL21)
Lyrics:BOUNCEBACK、Mio Aoyama Rap Lyrics:Rina Matsuda
Music:ats-,清水武仁&渡辺徹 Arrangement:ats-,清水武仁&渡辺徹
Sound Produce:Avex Management Inc.,岩渕優輝

貴水:「仮面ライダーエグゼイド」挿入歌だった「Wish in the dark」の続編的な位置づけの曲。なので、世界観もつながっています。

田中:今までX21で歌ってきた高音の出し方と違った出し方をしないと、曲に合わなかったので、そこがポイントだったよね。

末永:うん。X21の発声だと、この曲には可愛すぎるから。無意識のうちに、どうしても慣れている発声になるので、ディレクターさんに客観的に聴いてもらい、方向修正してもらいながらレコーディングしました。

貴水:こういう場でしか、二人とご一緒しないので、普段の姿は存じ上げないけれど、ときどき話のなかにフツフツとした闘志みたいなものを感じる瞬間がある。この世界でやっていくからには、いつかどこかで必要になる要素だから。フツフツを感じるたび、君たちなら大丈夫、と勝手に安心している(笑)。

末永&田中:(笑)。

貴水:X21メンバーの松田莉奈ちゃんがラップの作詞をしてくれているけど、曲に合っている内容だし、メッセージも伝わってきたし、リズムにも乗っていたから、ここまで書けるんだ!?と驚いた。このラップにもフツフツを感じるから、彼女もきっと大丈夫。

清水:これと「Burning My Soul」は、ボーナストラックになるかもしれないと思っていたけど。

貴水:いやいや、アルバムのなかのレギュラー・ポジションでしょ。

ats-:これも「Burning My Soul」同様、まずは渡辺さんに口火を切ってもらいました。

貴水:「Everyday」ではクローザーとして曲を締めるDメロを作曲し、ここではスターターの役をやり、どのポジションでもできる?

清水:誰でもができることではないよ。オールラウンダーの徹ちゃんだから。

渡辺:tearbridge production所属のクリエイターたちは、共作が割りと得意です。というのは、一緒に組む機会も多いので。

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