エンタメ×テクノロジーで新たな体験を創造、xR Techカンパニー・Balus CEO 林範和氏インタビュー

インタビュー フォーカス

Balus CEO 林範和氏
Balus CEO 林範和氏

「テクノロジーで世界中の人々が一緒に楽しめる社会を作る」を掲げ、有料コンテンツ配信プラットフォーム事業、xRライブ事業、コンテンツプロデュース事業、MV・番組等の作成事業、運用システム事業を展開するBalus(バルス)株式会社。

2017年10月創業のスタートアップでありながら、オンライン配信・物販プラットフォームサービス事業で、100件以上のイベント実施と流通金額1億円(2020年4月〜5月累計)を突破したことでも話題となっている。

今回、「オンライン、オフラインの違いはあっても、両方ともそれぞれの満足が得られるような体験を作っていくと、楽しむ人の選択肢が増える。そういうサービスを作っていきたい」と語るバルス株式会社・CEO 林範和氏に、会社設立の経緯から、柔軟性の高いサービスを提供できる背景、バルスが目指す未来について話を伺った。

プロフィール
林 範和(はやし・のりかず)


早稲田大学卒業後、大和証券SMBC(現、大和証券)に入社。株式・債権の引受やM&Aのアドバイザリー業務に従事。2012年にPEファンドのフェニックス・キャピタル入社、投資および投資後のバリューアップ業務を担当。2015年、事業会社の経営企画部門で経営管理及び新規事業開発を経て、xR技術(※1)を用いたコンテンツ開発に可能性を感じ、2017年にバルス株式会社を創業。


 

技術×エンタメで新しい体験を作りたい

──バルスは2017年10月創業とのことですが、どのような経緯で設立されたのでしょうか?

林:技術×エンタメで新しい体験を作りたいと思い、設立したのがバルスです。今後来ることが予想されるメディアとしてAR・VRで展開できるサービスを検討して、VRのライブやイベントを楽しめるプラットフォームを作るというのが会社の創業時のミッションです。

バルスは私とKADOKAWAのライトノベルやWEB小説で編集長をやっていた萩原、CGを20年近くやっていた野澤、そして、音楽業界でアーティストのマネジメントをやっていた木戸の4名で創業しました。ちなみに私は一番エンタメとは関係ない業界で、金融からキャリアが始まっていますが、ほか3名は書籍、CG、音楽と皆エンタメ業界出身です。

──「VRのライブやイベントを楽しめるプラットフォームを作る」というミッションは、どのようなきっかけで思いついたんですか?

林:海外のフェス、アニメ等の展示会など、日本のアニメやゲーム・コンテンツを発表する現場を実際に見たときに、ほとんどの人が日本語がわからないにも関わらず、すごく熱狂している姿にすごいなと思ったんです。

僕らも海外のアーティストが来たときに英語がよくわからないけど楽しめるじゃないですか?エンタメや音楽の力は国境を越えるなと思いましたし、今後グローバルに届けられるコンテンツを作ろうと思ったときに、デジタルにライブプラットフォームを作るというのはすごくフィットしますし、海外の人たちも求めているなと思ったんですよね。

──なるほど。


林:ただ、ライブプラットフォームの前に、会社としてライブをやったことがなかったので、ARのライブをちゃんと作ろうという考えがありました。また、ARライブをするためにアーティストを自社でマネジメントしようと。ですから、最初の1年間は自社でアーティストをマネジメントしながら、そのアーティストと一緒にARのライブを作っていきました。

──ライブプラットフォームを作る前に、そこに載せるコンテンツ作りをされたんですね。

林:そうです。そして、1年経ったタイミングでCGライブを作っていくというところに事業として注力していき、去年は毎月何本もCGのライブをやり続けてきました。

今後、リアルなアーティストがVR、ARでライブしようすると、どうしてもCGでやらないといけないので、そのノウハウを貯めようと CGライブでの経験を積み重ねていきました。その中でフルCGのVTuber(※2)に脚光が当たるようになり、外部の方々と一緒に試行錯誤させていただいていたのが2019年です。

MonsterZ MATE

MonsterZ MATE

──実際にイベントを続けてみていかがでしたか?

林:やはり自分たちで実際にやったからこその発見は多いですよね。最初はチケットを外部のプレイガイドで売っていたんですが、例えば、誰が2回目のチケットを買ってくれたかとか、そういった情報を把握できないところに課題を感じていたので、自社でチケット販売の仕組みを作りました。

また、イベントをやっていた会場が8階だったんですけど、物販の列が地下1階までできてしまって、ツイッターでは「修行だ…」みたいに言われる始末で…(笑)。

──(笑)。それだけ、どうしても手に入れたいわけですから。

林:冷静に考えると地下1階から9階分登らせてしまうのは結構なことですので、どうにかしたほうがいいと思って、グッズを先に売り、決済まで終わらせて、当日は受け取るだけにしました。そうすれば、そこまで並ばなくてすみますし、我々も現地で在庫を抱えなくて済みますし、みんなハッピーだと。そうすると、次は配信で見ている人も買えるようにしようとなって、通販もやるようにしました。

──着々と自社でシステムを構築されていったんですね。

林:ええ。そして、配信に関しても最初は外部サイトでやっていたんですが、そこも自社でやることで、お客さんがワンストップで体験できる場所としてプラットフォームを作ろうと去年からずっと取り組んでいました。

そういう機能が我々のサービスにあることは外部の方も知っていたんですが、まだ外部に貸し出すことは積極的にしていなかったんです。それであるとき、取引のあったレコード会社さんから「この機能はほかでも使えますか?」と言われて、「使えますよ」と話をしていたら、新型コロナウイルスの影響でリアルなイベントができないという状況になり、問い合わせを多くいただくようになったので改めて「SPWN」としてリリースしたというのが経緯です。

 

SPWNは表に出ないプラットフォーム

──SPWNは元のシステムがあって、その機能を使えるようにアカウントを付与するような仕組みなんでしょうか?

林:機能としてベーシックなものがあって、オプションを足して使ってもらうということになります。よく「お見積もりをください」と言われるんですが、売り上げに対してのパーセンテージでしかとっていないので、そうご説明すると「えっ!?」と驚かれます(笑)。

ただ、ビッグアーティストだと、デジタル配信チケットが外に流通してしまわないか、コピーされないか、というところを気にされますので、デジタル著作権処理機能を足したり、同時視聴数を制限したいという要望があれば、制限かけられるようにしたり、メインの機能に対して付加機能を足していき、ベーシックな基本料金と追加機能のオプション料金で金額をいただくということになります。

PLATTO朗読劇 「燕京茄子」「放課後都市伝説(令和)」

──その仕組みですと使い勝手がいいですよね。

林:通常、他社さんのプラットフォームはそのプラットフォームが前面に来て、そこにコンテンツが乗るという形になりますが、僕らは色々な方々に裏側の仕組みを提供している立ち位置です。ですから、基本レイアウトはあまり変わりませんが、各主催者さんがイベントページを自社のポータルサイトで作る感じで展開して頂いています。

──自由にアレンジしてくださいと。

林:そうですね。僕らは表に出なくてもいいんです。ファンを囲い込みたいという発想があるとき、プラットフォームにいくと自社のファンがいろんなものに触れて、ある意味流出もしますよね。また、自社のコンテンツがプラットフォームの下にいるという見え方を嫌がる方もいるので、「プラットフォームが表に出ない」というところは評価して頂いています。

最初はサービス名すらつけていなくて「有料配信サービス」としか呼んでいなかったんですが、「流石にそれだとわかりにくい」と言われて(笑)。それで、SPWN portalという名称をつけました。

──SPWNというネーミングはどのように決まったんでしょうか。

林:SPWNは、SPAWN(スポーン)というゲーム用語が起源です。発生するとか出現するという意味で、ARやVRはスペースなんですけど、場所ではないんですね。特定の場所を指すわけではない。いわゆる空間なんです。ここもVR、ARだしどこでもできるんです。どこでも、いろんな場所に発生するという意味で、「SPAWN」という英語の単語から、Aを端折ってSPWNとしました。

──実際にライブハウスで配信を行いたい場合は、何が必要となるんでしょうか?

林:ビデオカメラと、複数のカメラを入れると思うのでスイッチャー、音の収録マイク、あと配信用のPCがあれば完了ですね。それほど特別な機材を必要とせず、やりたいとなればできる状況だということですね。

あとライブハウスで配信する場合はネット回線ですよね。配信をやろうという試みはここ数ヶ月のことなので、ネット回線が弱かったりするんですよね。そもそもADSLのまま更新してないで止まっているとかが結構あるんです。それこそ歴史のある建物すぎて光回線の工事ができないとか、回線を通す場所がないとかということもあったりします。

──フィジカル的な部分での問題ですね。

林:そうです。それがみなさん一番大変で、メインとバックアップの2回線が必要ということで、もう1回線引こうとしていらっしゃいますね。あと、工事が詰まっていてなかなかできないという話も聞きます。備えあれば憂いなしと言いますが、まさか光回線を2つ引いておこうという発想はなかったと思います。

──配信の土壌がまだまだ整っていないわけですね。

林:フィジカル的な側面以外にも、今までの経験上、配信には3つの心理的ハードルがあると思っています。1つめは経験がないからこその、配信をやるということに対するアーティストの抵抗です。ただ、先日、サザンやジャニーズが配信ライブを発表しましたし、その心理的ハードルは次第に下がってくると思います。

次に、客単価が結構下がるので、それをどうカバーしよう、そもそも儲かるの?という疑問です。ライブハウスって今まで箱代+ドリンク代で成立してきたじゃないですか。でも配信ですと、ドリンクがなくなるので、箱代を下げづらい。一方、アーティストからすると極論、客席はいらないので、箱代を考えると「リハスタでもいいじゃん」ということになってくる。絵として問題なければ。そのような事情から、収入が数分の1になったときコスト回収できるのかなというのを結構不安に思われています。

そして最後が、アーティストが舞台に立って一人でやることになるじゃないですか。すると「無観客ライブは寂しいからやりたくない」と。確かにその通りだと思って、バーチャルでやるときは、現地の映像を観られるようにするとか、スマホでお客さんのリアルタイムアンケートをとって一緒に交流していくとかやっていたんですよ。それがないと本当に盛り上がっているのか目に見えないわけです。

ですから、コメント以外でどうやって双方向にするかということはすごく大事だと思っていまして、そこがきちんとできてくると、アーティストもファンも「こういう楽しみかたもありだよね」となり、アフターコロナでも定着すると思うんですよね。

また、今までは地方のアーティストって「首都圏に行かなきゃ」って思いがあったと思うんですが、配信ライブが定着すると、例えば「ずっと離島で活動していてもいいじゃん」と思うようになる人が出てくると思いますし、「東京にいけないから諦めた」って人たちが活躍できるようにもなりますよね。あるいは、地方にいるけど英語がめちゃくちゃ上手いので海外向けに歌うって人も出てくると思います。上手くいけば、新しい転換点になるんじゃないでしょうかね。

──夢のある話ですよね。初期投資もいらないということですしね。

林:はい。使った分だけ払ってもらうという発想ですね。

 

体験を共有することの重要性〜双方向交流の追求

──申し込んでからどのぐらいの期間で配信ができますか?

林:3日あればできます。1日でやることもありますが、券売を考えると3日でお願いしています。初めての方は情報の過不足などもありますしね。

──多くのライブですと3ヶ月前にチケットを発売したりしますが、配信チケットはどのぐらい前から発売されていることが多いんでしょうか?

林:2、3週間前が多いですかね。サザンも6月9日に配信チケット販売開始で6月25日に開催ですよね。

──短いですよね。

林:会場に行かなくていい分、やりやすいんだと思います。あと、その時間はどうしても合わないという人も、アーカイブを1週間残しておけば好きな時間に観られるので、成立はしていると思います。とはいえ、その日の予定が入っているということもお客さんの方ではありますから発売は早めの方がいいです。

──リアルタイムでの視聴の方が多いですか?

林:圧倒的にリアルタイムの方がお客さんは観ていますね。同じアーティストでも録画でやるのか、ライブでやるのかで反応が全然違います。やはりみなさん、そのライブで時空を共有したいんですよね。「体験を共有する」ということはすごく重要だと感じています。

──先ほどもお話に出てきましたが、「双方向の交流をどうするか」というのが今後、追求していく部分になるんでしょうか?

林:そうですね。例えば、リアルタイムでアンケートとって、次に何をやるか決めるとかやっていたんですが、やはりお客さんと一緒に作っていく、つまり一緒にステージを演出していくことができたらいいなと思っていて、お客さんが専用アプリでタップしたりすると星が流れるとか、キャラクターの名前を打つとキャラクターが降ってくるとか、CGだからできることもあるなと思っています。

──自分が何かしたことで好きなアーティストと同じ空間に表現されるのって嬉しいんじゃないでしょうか。

林:やはり、体験の共有なんですよね。僕たちのイベントのグッズを、イベント後に売ろうとしても、家で冷静になったらみなさん買わないですよ(笑)。会場に行って、みんな同じTシャツを着て、そのグルーヴ感が楽しいじゃないですか。

──同じTシャツに、首にタオルを巻いて。

林:僕も日本代表のサッカーユニフォームを買って、それきりで一度も使ってないですからね(笑)。

──でも買いたいんですよね(笑)。

林:あれって同じ体験を共有したいという意思だと思っているので、そう思うと、リアルタイムの方がいいですよ。一度、配信当日までにTシャツが届くので、家でも同じTシャツを着て応援できますよと販売したんです。結果、そのときの方が売れたんですよ。そう思うと、リアルでできた体験をいかにオンラインでも、家でもできるようにするかが一番重要になってくるんだろうと思います。

あと「Fortnite(フォートナイト)」(※3)は参考になると思います。あれがオンラインで楽しむ視点だと思っていて、同じような体験が今後たくさん出てくると思います。

──フォートナイトのどんなところがいいなと思っていらっしゃいますか?

林:ワンタイムイベントですね。同時に1,200万人以上の人々が一緒のコンテンツを観ているということが驚異的で、プロモーション効果は非常に高いですね。しかも、ただ観ているだけではなくて、空間の中で遊ぶということもしています。配信というと受動的に感じますが、コメントするとか双方向性の先では、空間の中で友達と一緒に何かするとか、一緒に何かライブを観ているという感覚になるので、そこが配信ならではの楽しみ方になるのではと思いますね。

──フォートナイトも、あそこまでいくとゲームというよりもオンラインコンテンツのプラットフォームになりますよね。

林:そうですね。小・中学生たちも公園で集まってやっていますよね。僕らの世代はああいうのはPCで観たいって思うんですが、若者たちの7〜8割はスマホで観ているんですよ。しかも、縦で見てるんです。

──ええ!?目がいいんでしょうか?(笑)

林:なんでなのかわからないですが、スマホで観る習慣ができているんです。そうなると絵作りが大変になってくると思います。大画面で観たい人用の絵作りと、YouTubeやテレビとでは絵作り違うじゃないですか。7、8割が小さい画面で観ていると思うと、小さい画面用にわかりやすい絵を作るのか、テレビを観ている人用の撮影をするのかで変わってくるんですよね。アップがバンバンくるとテレビで観ている人は引きの絵をもっと観せて欲しいと思うでしょうが、スマホだとこれでいいって思いますよね。

──ウェブサイト作成の時も、PCとスマホ用にページを作り分けましょうという話がありましたが、映像配信もPCとスマホ用に分けないといけなくなるんですね

林:映像配信もそういうことになっていくのではないかと思っています。

──チャレンジングなことが多いお仕事ですね。

林:やらなくていけないことが多すぎて、さてどこからやっていこうか…という調整が大変です。よく「Zoomみたいにアーティストやアイドルと1対1で話せる場が欲しい」とか言われるんですが、それって僕はコロナが終わったらなくなるエンタメだと思っています。結局、「会いに行った方が楽しいじゃん」ってなると思います。

僕らはアフターコロナでも成立するエンタメを作りたいと思っていますので、1対1のトークよりも、みんなで楽しめるエンタメを作ろうという風にしていきたいと思っています。

 

オンライン、オフラインともに満足のいくサービスを作っていく

──今年3月に東急レクリエーションとの事業提携、4月にはリモート配信劇場「うち劇」にプラットフォーム機能を提供していますね。

「うち劇」

リモート配信劇場「うち劇」

林:オンライン、オフライン、それぞれで満足が行く体験を作れるようなことをやっていきたいなと思っているんですね。僕はVRで全てが完結するとは思っていません。映画『レディプレイヤー1』みたいに、何もせず脳波で全てを感じられるってところならアリだと思いますが、あれはいつ実現する話なんだということですよね(笑)。

その手前では、人が集まって何かするという行為はなくならないと思いますし、オフラインは非常に重要です。一方で、集まらなくても同じように体験できる、それこそ、居酒屋で飲むのとZoom飲みするのとまたちょっと違う体験というか。集まった方が楽しいけど、「Zoom飲みでもまあ、いいか」みたいな(笑)。

──わかります(笑)。

林:これはオンラインが楽しい、あれはオフラインが楽しいって違いはあっても、その両方とも満足度を同じように作っていくと、楽しむ人の選択肢が増えるじゃないですか。そういうサービスを作っていきたいなと思っています。

リモートにいる人たちが、どうやってお互いを認識していけるのかというのがすごく重要だと思っています。それと、リアルなフェスみたいに、偶然の出会いがあって、世界が広がっていくようなものが作れるといいなと思います。ある意味、課金コンテンツって好きなもの観て終わっていくなと思っていて、そこに広がりを持たせたいんですよね。

──ちなみに現在、どのような研究開発をされているんでしょうか?

林:ARを混ぜたライブの研究開発をしています。人はもちろん生身ですが、他のものはCGで良くなるのではないかと考えていて、開発を進めています。僕らはもともとCGの会社ですし、CGの会社が配信をやっているわけですから。

──舞台美術を作り込むよりCGの方が表現できる、というアーティストさんもいらっしゃいますよね。

林:そうですね。先日の東方神起もすごかったですよね。可能性はすごくあると思います。世界中ワールドツアーをして回っていたのが、今は1回のライブで何百万人も課金するわけで、すごいビジネスモデルになるだろうと思いますね。

一方、ライブ配信は挑戦しやすい、でも埋もれやすくもあると思います。今後もますます増えると思いますので。リアルな会場のキャパを埋めることが難しくてライブができなかった人たちが、そのキャパという縛りがなくなった瞬間に、今のYouTubeに映像が乱立しているように、ライブも乱立する可能性があります。

そうすると楽曲やアーティストを見つけてもらって伸ばしていくという過程が大変になると思います。または、テイルが長くなって、「すごく儲かる」とか「すごくたくさんファンがいる」とかではなく、「100人のファンに支えられるバンド」がもっと増えていくとか、そういう構造になるのかもしれません。少なくとも大ヒットアーティストは生まれづらくなるのかもしれないですね。

──では、最後にこれからの展望を教えてください。

林:色々な方々と話していると、リップサービスもあると思いますが、「バルスさんはなんでもできますね」と言われますし、「ここまでできると逆に迷う」とも言われます。例えば、配信期間は他社さんだと2日間、あとは追加料金と決まっていたりしますが、うちは「御社で決めてください」と伝えています。

──柔軟性が高い。

林:はい。物流についても倉庫と提携していますから、ワンストップで配送もできます。サービスとしてできることが多い。そこはいずれ他社さんもできるようになることだと思っていますから、プラスアルファでやろうとしていることは2つあります。

1つは先ほども申し上げました新しいライブ表現としてARの開発をしています。数人でやれる規模のグリーンバックのスタジオを作り、そこで色々な表現ができるようにしていきたいです。また、ライブを観るためのアプリを作り、双方向の体験をどう作っていくかという点で、ウェブ以上のことができるように準備を進めていきたいと思っています。

※1. xR:AR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)、VR(仮想現実)等の技術の総称。

※2. VTuber:バーチャルYouTuber/バーチャルライバー。CGのキャラクターを用いて動画投稿や配信を行う。

※3. Fortnite:Epic Games(エピックゲームズ)が開発・販売するサードパーソン・シューティングゲーム。

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