ライトな音楽ファンにも “プレミアム” な音楽体験を、Amazon「Prime Music」日本でスタート

インタビュー スペシャルインタビュー

左から:ジャスパー・チャン氏、スティーブ・ブーム氏

11月18日、Amazonのプライム会員向け新サービス、「Prime Music(プライムミュージック)」が国内でもスタートした。Amazonプライム会員(年会費3,900円)であれば、追加料金なしに洋邦100万曲以上の楽曲を楽しむことができる音楽ストリーミングサービスだ。専用のアプリも用意されており、幅広い端末に対応、独自のプレイリストやレコメンデーションを通じて、ライトな音楽ファンも気軽に楽しめるサービス設計になっている。サービスについて、アマゾン ジャパン代表のジャスパー・チャン氏と米Amazonからデジタルミュージック部門 バイスプレジデントのスティーブ・ブーム氏に話を聞いた。

(JiRO HONDA)
2015年11月18日 掲載

 

プライム会員であれば、フルで楽しめる音楽配信サービス

——Amazon「Prime Music(プライムミュージック)」の特徴を教えてください。

ブーム:Prime Musicは、オンデマンドサービスで求められる機能を全て兼ね備えた、音楽ストリーミングサービスです。

プライム会員であれば、追加料金を払うことなく、100万曲以上から好きな楽曲を選んで楽しむことができます。ダウンロードもできるので、オフラインでの再生も可能です。広告の表示もありません。加えて、日本のエディターが独自に作成しているプレイリスト「プライムプレイリスト」を通して、様々な音楽に出会うことができます。

——ターゲットとするユーザーは?

ブーム:そこは少し他のストリーミングサービスとは違っていまして、たくさんの楽曲にアクセスできるというプレミアムな部分は楽しみたいけれど、音楽配信に月額1,000円を支払うかといったらそこまでではない、というような方々に対して新しい音楽体験を提供できればと考えています。

——邦楽と洋楽の割合は?

ブーム:具体的な割合は公表していませんが、できるだけバランスを取って扱っています。

チャン:我々は日本国内でこれまで14年にわたり音楽を扱ってきました。その中で蓄積してきた顧客ニーズのデータを読み取り、ユーザーが求めているものをライセンスし、提供していきたいと思っています。

——サービスのローンチがこのタイミングになったのは?

ブーム:Prime Musicは2014年6月にローンチしていまして、非常に大きな成功を収めています。米国においては、ストリーミングの中でもトッププレイヤーの一つとなっており、このサービスを世界各国のプライム会員に対しても提供していきたいということで、今年に入ってイギリスとドイツでもサービスをローンチしました。

今年日本では、ストリーミング市場に大きな変化がありましたし、恐らくこれからもっとフィジカルからデジタルやストリーミングサービスへと移行していくのではないでしょうか。ですので、今回、日本においてローンチする時期としては非常にいいタイミングだったと思います。

——先日は「Prime Video」もスタートしましたが、Fire TVでもPrime Musicを楽しむことは可能でしょうか?

ブーム:はい、できます。Prime Musicは、iOS、Android、ウェブ、Fire TV、Fireタブレットなど、幅広い環境で楽しむことができます。

——音質については?

ブーム:ストリーミングは基本的に256kbpsのAACですが、ネットワーク環境によってお客様ご自身で音質を高・中・低から選ぶことができるようになっています。

——キャッシュ機能は?

ブーム:備えています。日本の市場を調査した結果、キャッシュでの再生もユーザーが最も求める機能の一つであることがわかっていましたからね。

 

フィジカルがメインの市場でも受け入れられるサービスモデル

——日本の音楽市場は世界的に非常にユニークです。レーベルとのライセンス交渉はいかがですか?

チャン:先ほども申し上げたように、日本のレーベルとは14年間ビジネスパートナーとして共に歩んできたこともあり、非常に良い関係を築くことができています。レーベルそれぞれで求めることは違いますが、現状に関しては良好だと思います。

ブーム:日本のレーベルにとって、Prime Musicは無料ではなく、プライム会員=有料会員に提供されるサービスであるということは大きいと思います。また、Amazonは全ての音楽のフォーマットを提供しているので、そこもレーベルやアーティストに評価いただいている部分だと思います。

——ブームさんは、日本の音楽市場に対してどのような印象をお持ちですか?

ブーム:おっしゃる通り私もユニークだと思います。未だにフィジカルが市場の80%を占めていますし、デジタルも爆発的な拡大はしていません。そういった中で、今後日本のユーザーはフィジカルとストリーミングの両方で、音楽を消費するようになると思います。音楽を所有することによって、アーティストと繋がりを持つことができるので、フィジカルは今後も日本の音楽市場の大部分を占めることになると予想しています。また、ストリーミングはパッケージと違って、たくさんの音楽を楽しむことができるという意味で、こちらも主な音楽の消費方法になるだろうと考えています。

ちなみに、ドイツも日本と同じようにフィジカルの市場シェアが70%と非常に高いんですね。そのドイツで、2週間前にPrime Musicをローンチしたんですが、そういった市場にも関わらず非常にポジティブな反応を得ています。音楽を楽しむ選択肢が増えるということで、とても喜んでいただけているようです。

——レコメンデーションエンジンは、やはりAmazonがスクラッチから作った独自のものなのでしょうか?

ブーム:そうです。ユーザーが過去どういう楽曲を試聴したか、好みを反映したレコメンデーションでプレイリストが表示されます。これはAmazon独自のアルゴリズムを元にレコメンデーションを引き出していますし、あわせて、過去に購入したパッケージの音楽嗜好も反映されます。

——今まで音楽ストリーミングサービスに興味がなかったカジュアルな音楽ユーザーにも関心を持ってもらえそうですね。

チャン:まずはアプリをダウンロードしてみてください。新しい音楽の発見があると思いますし、熱心な音楽ファンでなくても楽しんでいただけると思います。プライム会員の30日間の無料体験もありますので、ぜひ試していただきたいですね。本当に素晴らしいサービスだと自負していますし、今後もさらなるサービス向上を図っていきますのでご期待ください。

Amaozn「Prime Music」サイトより
Amazon「Prime Music」サイトより

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