Apple Music責任者「音楽が無料で提供されるのはクレイジー」 無料の音楽配信を批判

Apple MusicやApple TV+などを率いるアップルのオリバー・シュッサー氏が6月11日、全米音楽出版社協会(NMPA)の年次総会で登壇。SpotifyやAmazonなど、他のストリーミングサービスが提供する広告付き無料プランを批判する発言を行った。
デビッド・イスラエライトNMPA会長兼CEOの「もう一度やり直せるとしたら、音楽業界の何を変えたいか」という問いに「20年経った今でも、音楽を無料で提供しているのはクレイジーだと思う」とコメント。自社は企業として、音楽をアートとして見ており、アートを無償で提供したいとは決して思わないと述べた。
シュッサー氏の発言は、ストリーミングによる印税の減少に不満を抱いている音楽出版社の聴衆から喝采を浴びた。
Spotifyはかねて、より多くのリスナーを有料プランに誘導することで、このアプローチ(無料提供)が業界に利益をもたらすと主張している。ただ、イスラエライト氏は、作詞家や出版社は、自らの意思に関係なく、無料サービスにライセンス供与することが法的に義務付けられることが多いのが実態だと指摘。有料プランのバンドル化が、ロイヤリティー減少に拍車をかけている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「Apple Music責任者が「20年経った今でも、音楽を無料で提供しているのはクレイジー」と答え、喝采を浴びた。Spotifyの無料プランだけでなく、YouTubeやTikTokでも音楽は無料で聴ける。かつてネットの普及でmp3ダウンロードが席巻し、無料は止めようが無かったため、音楽業界はYouTubeへのライセンスやSpotifyの基本無料を認めてきた。言葉を選ばずに言えばそれはしかたなしの妥協の産物だった(その歴史は拙著を参照されたい)。しかし音楽サブスクも普及した現在、メジャーレーベルからはSpotifyもそろそろNetflixのような広告付き廉価版を検討すべきという声が高まっている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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