ACPC、2023年上半期のライブ市場調査データを発表 公演数・動員数・市場規模はコロナ禍前を上回るも大都市圏以外では回復に至らず

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コンサートプロモーターズ協会(ACPC)は12月18日、2023年上半期のライブ市場調査データを発表した。同協会では全国の正会員社を対象に、ライブ・エンタテインメント市場の調査を実施している。この調査報告は1989年より始まり、コンサートプロモーターの事業活動およびライブ市場の動向をデータ化した国内唯一の資料として、調査を重ねているものだ。

2023年上半期 ACPC基礎調査概要

調査対象期間:2023年1月1日~6月30日
会員社数:76社(前年上半期からの増減 2増1減)
総公演数:16,375本(前年上半期からの増減+2,092本/前年上半期比114.6%)※2019年上半期比109.6%
総動員数:27,352,563人(前年上半期からの増減+7,098,057人/前年上半期比135.0%)※2019年上半期比121.6%
総売上高:2,389億6,034万円(前年上半期からの増減+827億6,237万円/前年上半期比153.0%)※2019年上半期比151.8%

※ACPC正会員社が調査対象のため、日本全体のライブ市場データとは異なる
コロナ禍前の2019年との比較が可能なPDFをダウンロードすることができる

2023年上半期の市場概況

  1. 公演数・動員数・市場規模はいずれもコロナ禍前の2019年上半期を超えたものの、関東・東海・近畿の主として大規模会場公演の増加が主な要因であり、関東・東海・近畿以外の地域ではなおも市場の回復には至っていない
  2. スタジアム・アリーナは 海外アーティストの大規模公演の増加により、公演数・動員数ともにコロナ禍前を大きく上回る
  3. K-Popアーティスト公演の増加が顕著で、市場全体の14.8%を占める
  4. ホールは公演数・動員数ともにコロナ前と同等の水準にあるものの、ライブハウスの動員数はなおもコロナ禍前の9割程度

エリア別の動向

関東・東海・近畿エリアの市場拡大が進む一方で、関東・東海・近畿エリアにおいて従来より公演の多い中核都市で公演が集中し、それ以外のローカルな公演が増えづらい状況が続いています。コロナ禍以降、中核都市に公演が偏る傾向は全国的に見られる。

会場規模別の動向

2023年はスタジアム・アリーナにおける大規模公演が前年より増加した。アリーナ公演は関東圏の新設会場の稼働(約230公演)もあり、公演数・動員数が大きく増加している。

  • スタジアム:公演数160 動員数537万人(2019年上半期:公演数120 動員数369.0万人)
  • アリーナ:公演数979 動員数763万人(2019年上半期:公演数728 動員数571.5万人)

海外アーティスト公演の動向~K-Popの拡大

大規模会場での海外アーティスト公演が多数開催された。動員数では、2019年上半期との比較でスタジアム253.5%、アリーナ183.3%だが、ホールは67.7%、ライブハウスは63.7%に留まった。また、なかでもK-Popアーティストの大規模公演の増加が顕著で、市場の拡大に繋がっている。

2023年上半期のK-Popアーティスト公演

※複数アーティスト出演イベント含む

  • 公演数:312(全体の1.9%)
  • 動員数:2,755,118(全体の10.1%)
  • 売り上げ:352.4億円(全体の14.8%)
  • チケット平均単価:12,793円(K-Pop以外の公演の平均単価:8,282円)

調査方法の変更

従来の基礎調査において、動員数と市場規模のデータは「その公演を開催した会員社の所在する地域」で計上していたが、会員社が所在する地域以外で実施する公演が増加しているため、2022年下半期より、動員数と市場規模のデータは「その公演が開催された地域」で計上している。

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