第一興商、22年4月~23年3月期は純利益60.1%増 コロナ影響が縮小しカラオケ事業は回復傾向で推移

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第一興商

第一興商は5月15日、2023年3月期の連結業績(2022年4月1日~2023年3月31日)を発表した。

当連結会計年度のカラオケ業界においては、前期に新型コロナウイルス感染症によるまん延防止等重点措置とそれに伴う要請等が解除されたことにより、ナイト市場・カラオケボックス市場ともに多くの店舗が通常営業を再開した。ビジネス立地や深夜帯の集客など一部にはコロナ禍の影響が継続したほか、第7波・第8波といった感染の再拡大もみられたものの、行政による営業制限等は当期を通じて行われず、全体として回復傾向で推移した。

当期の業績は、売上高は1281億5,600万円(前期比35.2%増)となり、営業利益は129億5,400万円(前期は2億8,900万円の損失)、経常利益は136億100万円(前期は8億8,800万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は83億2,000万円(前期比60.1%増)となった。

なお、前連結会計年度を対象とした雇用調整助成金や時短協力金をはじめとする各種給付金を「助成金収入」として、29億2,800万円(前期は152億600万円)を特別利益に計上したほか、カラオケ・飲食店舗の固定資産等の減損損失として31億3,000万円(前期は18億6,200万円)を特別損失に計上している。

業務用カラオケ事業においては、各種営業制限の無い状況が継続したことに伴う顧客店舗の再開や新規開店の増加により、主力市場であるスナック・バーなどのナイト店舗を中心に、事業環境は回復傾向で推移した。売上高は577億3,100万円で前期比8.5%の増収となり、営業利益は135億9,300万円で前期比11.6%の増益となった。

カラオケ・飲食店舗事業においては、カラオケ15店舗、飲食14店舗の出店、及びカラオケ10店舗、飲食18店舗の閉店を行ったことにより、当期末の店舗数はカラオケ508店舗、飲食171店舗となった。コロナ禍に伴う各種要請が前期で解除されたことにより、店舗の集客は期初から回復傾向で推移した。ビジネス立地や深夜帯の集客など一部でコロナ禍の影響が継続したほか、第7波・第8波といった感染拡大:00には回復基調の一時後退もみられたものの、当期を通じて通常営業ができたことにより、既存店売上高はコロナ禍以前に比べカラオケ店舗で約25%減、飲食店舗で約15%減の水準まで回復し、前期比ではカラオケ店舗で約105%増、飲食店舗で約135%増となった。売上高は515億8,400万円で前期比111.4%の増収となり、5,900万円の営業損失(前期は112億9,900万円の営業損失)となった。

音楽ソフト事業においては、イベント・コンサート等が再開され始めるなど、音楽業界にも活気が戻りつつあるなかで、CD・DVD等の商品販売が緩やかに回復傾向で推移したほか、TV番組制作事業も堅調に推移した。以上の結果、売上高は64億3,000万円で前期比6.6%の増収となり、営業利益は2億2,800万円で前期比186.0%の増益となった。

その他事業においては、新たな収益の柱とするべく「ザ・パーク」ブランドで展開するパーキング事業が堅調に推移し、当期末時点で約2,000施設、約26,000車室の規模となった。以上の結果、売上高はパーキング事業収入の増加などの影響により124億1,100万円で前期比11.1%の増収となり、営業利益は15億8,100万円で前期比57.0%の増益となった。

今後の経済見通しについては、海外での政情不安や、燃料価格をはじめとする物価の高騰などが継続していることから、先行き不透明な状況で推移するものと予想される。しかしながら、5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が引き下げられたことなどにより、市場環境は引続き回復傾向で推移するものと考えられ、当カラオケ業界においても、コロナ以前の状態に近づいていくことが予想されるとして、2024年3月期の業績予想は、売上高1,410億円(前期比10.0%増)、営業利益150億円(同15.8%増)、経常利益160億円(同17.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益107億円(同28.6%増)を見込んでいる。

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