発信者情報開示請求訴訟、KDDIに対し違法アップローダーの氏名等の開示を命じる判決下る

ビジネス 音楽業界

日本レコード協会

10月28日、東京地方裁判所はインターネットサービスプロバイダ・KDDIに対し、ファイル共有ソフト「BitTorrent」を利用してインターネット上に大量の音楽ファイル(以下、音源)を継続して違法にアップロードしていたIPアドレスの利用者の氏名、住所等(以下、発信者情報)を、音源の権利を有する日本レコード協会会員レコード会社に開示するように命じる判決を下した。

同裁判所はインターネットサービスプロバイダ・東京ベイネットワークに対して8月10日、ソフトバンクに対して9月30日、ソニーネットワークコミュニケーションズに対して10月14日、それぞれ同様の判決を下している。また、10月6日には、千葉地方裁判所がインターネットサービスプロバイダ・ジャパンアクセスに対して同様の判決を下した。

本件は同協会会員レコード会社がインターネットサービスプロバイダ16社を対象に、自らが権利を有する音源をファイル共有ソフトBitTorrentを利用して許諾なくアップロード(公開)している者に対し、著作隣接権(送信可能化権)侵害に係る損害賠償請求等を行うため、「プロバイダ責任制限法」第4条1項に基づき、インターネットへ接続していた37のIPアドレスについて、各利用者の氏名、住所および電子メールアドレスの開示を今年3月から9月に求めていたもの。

そのうち31のIPアドレスについてはインターネットサービスプロバイダから任意に発信者情報が開示されたが、上述のインターネットサービスプロバイダ5社がそれぞれの会社のサービスを利用するIPアドレスの発信者情報の開示に応じなかったため、本年6月から7月にかけて東京地方裁判所および千葉地方裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起していた。

今回の5つの判決により発信者情報の開示を求めていた37のIPアドレスのうち、ログの保存が無かった1つのIPアドレスを除いた全てのIPアドレスについて発信者情報が開示された。

同協会会員レコード会社は今年3月から9月の発信者情報開示請求によってインターネットサービスプロバイダから任意に開示された29のIPアドレスの発信者情報に基づき、代理人弁護士を通じて違法アップローダーとの間で「今後著作権侵害をしない旨の誓約」および「損害賠償金の支払い」に関する協議を随時進めており、本日までに18名のアップローダーと合意(損害賠償金の平均金額は約40万円)している。

なお、本件訴訟により情報が開示された違法アップローダーに対しても速やかに損害賠償請求等を行う予定とのこと。

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