ソニーCSL、AIで作曲をアシストするiOS向けアプリ「Flow Machines Mobile」の提供を開始

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Flow Machines Mobile

ソニーコンピュータサイエンス研究所(以下ソニーCSL)は、iOS向けAIアシスト楽曲制作アプリ「Flow Machines Mobile」(以下FM Mobile)の提供を9月9日より日本と北米で開始した。価格は無料。

ソニーCSLではAIを主軸にした研究テーマの1つとして、2012年よりアーティストのクリエイティビティを拡張する「Flow Machinesプロジェクト」を展開している。2019年にはデジタルオーディオワークステーション(以下DAW)上で機能するプラグイン型のツールである「Flow Machines Professional」を開発し、ソニーグループ内で活用することで、国内外で数多くの楽曲が制作されてきた。この度、新開発したiOS向けモバイルアプリFM Mobileは、各種DAWプラグインとも連携して機能するクラウド型の楽曲制作用AIツールとなる。

FM MobileはAIを活用し、クリエイターの望むスタイルに合わせたメロディー、コード、ベースラインを提案する。曲のスタイルを表現するため「スタイルパレット」という独自の概念を採用している。スタイルパレットは音楽データを解析した機械学習モデルで、ソニーCSLが開発した各種プリセットの他、アプリ内で作曲者自身が新たにオリジナルのスタイルパレットを作成することも可能だ。自分の音楽スタイルを残しながらも、新たな発想につながるメロディーをAIに生成させることができる。

作りたい曲のジャンルとコードに合わせてスタイルパレットを選択し、「compose」ボタンを押すと、選択したコード進行に合わせてAIにより8小節ごとにメロディーが生成される。音符の長さやメロディーの複雑さを調整するパラメータを変更することでより意図に沿った提案をAIから受けられる。気に入ったメロディーを保存し、FM Proを使ってDAWに取り込むことができる。なおFM MobileのデータはMIDIデータのため、iPad上で気に入ったメロディーをAppleの楽曲制作ソフトウェア「GarageBand」に取り込み、素材としてそのまま使うことも可能だ。

本アプリのリリースに合わせて公開したFMのブランディングムービーでは音楽家 江﨑文武氏(WONK/millennium parade)がFMを用いて書き下ろした楽曲Obscura(feat. HANA)を使用している。また、本楽曲には、注目を集める15歳のシンガー HANAがボーカリストとして参加した。同時に公開したチュートリアルムービーでは江﨑氏による楽曲の制作過程を公開している。

そしてアーティストQiezi MaboによるFMを使った新曲「Midnight Calling」が配信リリースされた。ソニーCSLのYouTubeではQiezi MaboへのFMに関するインタビュービデオ「Qiezi Mabo meets Flow Machines」を公開している。

FM Mobileは今後、欧州各国においても提供予定とのこと。

また、ソニーグループが9月23日〜26日の4日間、ソニーのオンラインプラットフォーム「ソニースクエア」にてオンライン開催する未来共創型イベント「UNLOCK with Sony」(アンロック・ウィズ・ソニー)開催1日目には「作曲家とAIの共創 Flow Machines」と題して、若手クリエイターの楽曲制作過程を紹介し、音楽制作の未来を語るトークセッションを行う。また、一般公募する「FM Pro」で制作された楽曲について、音楽プロデューサーによる講評を公開する。

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