オリコン2015年映像ソフト年間 マーケットレポート発表、総売上額が前年比91.6%の2304.8億円

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オリコンは1月29日、「2015年映像ソフト年間マーケットレポート」を発表(対象期間:2015年1月12日付〜2016年1月4日付(※2014年12月29日〜2015年12月27日))。映像ソフト年間総売上額は前年⽐91.6%の2304.8億円となった。

※以下、売上金額は売上枚数に定価・希望小売価格(税込)を乗じて算出。
※プレスリリース中の作品別売上枚数・金額については、一部を除いて昨年発表の「2015年度発表 オリコン年間映像ランキング」(集計期間:2014年12月22日付〜2015年12月21日付)とは異なる集計期間になる。

【全体売上】

一大ムーブメントを引き起こした前年の大ヒット作「アナと雪の女王」が底上げした市場をどこまでカバーできるかが課題となった当年の映像ソフト市場だが、DVD売上の急速な低下などの要因もあり厳しいものになった。2015年映像ソフト市場の総売上額は2304.8億円で前年比は91.6%、総売上枚数は3798.6万枚で前年比は87.3%となった。

2009年の当レポート発表開始以来、次世代映像ソフトメディアとして着実に売上を伸ばしてきたBlu-ray Disc(以下BDと略)が、当年初めて総売上額でDVDを上回ることになったが、同時に初めて前年売上を割り込むことにもなった。BDの総売上額は1200.4億円で、前年比は97.1%。総売上枚数は1519.8万枚で前年比は89.0%となり、売上枚数は売上額より減少幅が大きい。減少の要因として考えられるのは、やはりムーブメントの不在。前年、音楽市場をも巻き込み旋風を巻き起こした「アナと雪の女王 MovieNEX」の2014年の売上は232.3万枚、100.3億円(集計期間は当レポート準拠)であったが、当年の「アニメ」ジャンルの売上でほぼ同規模分の金額と枚数がマイナスとなった。またBD総売上額の前年比97.1%に対してBD総売上枚数の前年比は89.0%と差が生じているが、これは映画タイトルで主流になりつつあるBDとDVDをセットした形態や、ボックスなどの高額商品の展開がBD商品において活発化したことが要因とみられる。

一方、DVDの総売上額は1104.4億円で前年比は86.3%。総売上枚数は2278.8万枚で前年比は86.2%となった。

映像ソフトの主力メディアがBDへ移行していく過程で、DVD売上が減少していくことは自然の成り行きだが、BD売上の減少幅よりも金額、枚数ともに大きくなっている点は懸念材料といえる。また、DVDの状況とともに今後気になるのはNetflixやAmazonプライム等の新規参入が相次いだ定額制動画配信サービスの存在だろう。少なからず影響を及ぼすことも予想され、2016年市場はDVDのみならずBDの売上動向にも注目したい。
 

過去5年の映像ソフト市場規模推移(単位:億円)

年度 DVD Blu-ray Disc 映像ソフト計
2011年 1,995.7 724.6 2,720.2
2012年 1,701.2 843.3 2,544.5
2013年 1,456.9 1,088.3 2,545.2
2014年 1,280.0 1,236.7 2,516.7
2015年 1,104.4 1,200.4 2,304.8

 

オリコン「2015年映像ソフト年間マーケットレポート」過去5年の映像ソフト市場規模推移グラフ
各年毎の集計期間
2011年:2010年12月27日(月)〜2012年1月1日(日)
2012年:2012年1月2日(月)〜2012年12月30日(日)
2013年:2012年12月31日(月)〜2013年12月29日(日)
2014年:2013年12月30日(月)〜2014年12月28日(日)
2015年:2014年12月29日(月)〜2015年12月27日(日)

【ジャンル別・盤種別シェア】

前年「アナと雪の女王」と「あまちゃん」「半沢直樹」といった映像作品のヒットに沸いた「アニメ」と「邦ドラマ」ジャンルは、BDとDVDともに売上金額と枚数のどちらも減少となったが、それ以外のジャンルではBD売上額の増加とDVD売上額の減少という傾向が強まっている。特に「その他」ジャンルでもBD売上額増加の傾向が顕著になっていることから、BDへのシフトが全ジャンルに及んできた印象は強い。しかし、金額および枚数いずれもBD売上が拡大する以上にDVD売上の減少が進んでおり、BDとDVDを合計した映像ソフト全体の売上額をみると、映像ソフト主要8ジャンルのうち大部分となる6ジャンルが売上を落とす結果となった。

唯一、ジャンル全体売上で金額および枚数ともに増加となったのが「音楽」。特にBD売上額は303.2億円で前年比は118.0%、売上枚数も373.9万枚で前年比は120.1%となり、BDとDVDを合計したジャンル全体でも、売上額が727.2億円で前年比101.7%、売上枚数も1055.8万枚で前年比100.3%となった。前年に続いて嵐のライブ映像作品「ARASHI BLAST in Hawaii」と「ARASHILIVE TOUR 2014 THE DIGITALIAN」の2作がけん引しつつ、年末の12月16日にリリースされたばかりの三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEのライブ映像作品「三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2015「BLUE PLANET」」も2週分の集計ながら売上32.5億円(集計期間は当レポート準拠)を記録し、市場の底上げに貢献している。

また当年の邦画と洋画を合計した「映画」ジャンルの総売上枚数は前年比90.6%となる1173.1万枚だったが、総売上額は前年比100.5%となる425.2億円と、ほぼ横ばいではあるものの微増となった。

ヴィン・ディーゼルの主演作「ワイルド・スピード SKY MISSION ブルーレイ+DVDセット」や、嵐主演作の映画『ピカ☆★☆ンチ LIFE IS HARD たぶん HAPPY』などが当ジャンルをけん引した。総売上額の前年比100.5%に対して総売上枚数の前年比90.6%の差については、当年相次いだ人気シリーズの最新作の公開に連動したボックス商品が比較的好調だったことや、BDとDVDをセットにした形態の高単価商品が増加したことが要因だったと考えられる。

オリコン「2015年映像ソフト年間マーケットレポート」2015年映像ソフト売上実績(売上⾦額)(売上枚数)
【メーカー別シェア】

ソニー・ミュージックエンタテインメントが2008年から8年連続の首位を獲得している。売上額は225.0億円で前年比は91.8%と売上を落としつつも、2位のエイベックス・グループに25億円以上の差をつけた。そのエイベックス・グループは三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEが売上を伸ばし、前年3位から2位に浮上。売上額は199.5億円で前年比は119.6%である。3位のジェイ・ストームは、前年に続いて高い伸び率を維持し、2年連続で売上金額および枚数ともに前年比増となった。売上額は155.0億円で前年比は147.7%、売上枚数は2503.7万枚で前年比は138.2%となり、音楽映像のみならず映画作品も好調だった嵐の売上が大きく貢献している。

オリコン「2015年映像ソフト年間マーケットレポート」2015年映像ソフトメーカー売上上位10社

オリコンランキング・データについて
音楽・映像ソフトを販売している全国約23,480店の調査協⼒店(CDショップ、レンタルや書籍などを扱う複合店、家電量販店、コンビニエンスストア、ジャンル専門店、インターネット通販)の店頭、またイベント会場等での販売実績をもとに、全国の週間推定売上枚数を算出。

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