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「バンドを続けてきてよかった」YOUR SONG IS GOODがBillboard Liveに初挑戦、未来を見据えた大事な一歩に

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撮影=大橋祐希

2004年にリリースされた1stアルバム『YOUR SONG IS GOOD』のLP盤が、6月4日(水)にリリースとなるYOUR SONG IS GOOD。6月1日(日)にはBillboard Live OSAKAで、6月7日(土)にはBillboard Live TOKYOで『YOUR SONG IS GOOD “Good Mood”』が開催される。東京・大阪で各日2回、合計4本のステージは、バンドにとってキャリア初のBillboard Liveでの公演だ。新鮮な要素が満載となりそうなライブへの意気込み、1stアルバムのLP化への想いを、YOUR SONG IS GOOD(以下、ユアソン)のサイトウ”JxJx”ジュン(Key)が語ってくれた。

Billboard Live 初登場「登場から最後まで全部を見逃せない」ステージに

ーーBillboard Liveでの公演は、初めてなんですね。

初めてです。個人としてもBillboard Liveのステージに立つのは初なんですよ。「まさかBillboard Liveでライブをやることになるとは!」と。周りのバンドがBillboard Liveでのライブをやり始めてるなあと思ってたんですけど。

ーー数々のライブハウスがある中、Billboard Liveに対してはどのようなイメージがありますか?

「選ばれし者が立つステージ」というイメージです(笑)。「大丈夫かな?」って思ってるんですけど……。

ーー間違いなく大丈夫です。

ありがとうございます(笑)。

ーーお食事とお酒をゆっくりと楽しみながら音楽を鑑賞することもできる会場なので、普段のライブとはアプローチが変わってくるのかなと思っているのですが。

「どうしようかな?」と思っているところです。食事をしながら楽しめそうな曲を選ぶ感じになるのかなと。このライブハウスに合ったことをどこまでできるのか、しっかり考えたいですね。最初からお客さんに立っていただくライブにするのは、さすがに違うでしょうから、「メロウな曲をいろいろ集めてやってみようかな」とか考えたりもしています。持ち時間が決まってる中、どういう組み立て方をするのか? そこはバンドとしても挑戦ですし、やりがいがあります。

ーーお客さんもドキドキしていると思います。

そうでしょうね、「大丈夫か?」って(笑)。物珍しさを期待して楽しむお客さんもいるのかなと思っています。いずれにせよすごく面白いシチュエーションです。バンドの僕らだけじゃなくて、観に来てくださるみなさんと一緒に楽しみたいです。

ーー最前のお客さんとの距離がものすごく近いですし、各テーブルにお料理や飲み物が並んでいるというのは、ロック系のライブハウスではなかなかないことです。

普段見たことがない景色の中でライブをやるということですよね。すごく不思議な気持ちになるのかもしれないですし、そこも楽しみなんです。

ーーユアソンはお酒が美味しくなる音楽をやっているバンドですから、合っている会場だと思います。

お酒との親和性は自信があります。なぜかそうなっちゃったんですけど。

ーーお酒はもちろん、美味しいお料理とも親和性が高いバンドであると証明できる公演なのかも。

そうですね。そうなったら最高です。

ーーお食事に合いそうな曲って、何かありましたっけ?

まだイメージできてないんですけど。「どういう曲が合うのかな?」って考えています。食事に合いそうなちょうどいい感じって……何かありそうですよね。ギリギリまで探りたいです。

ーータイトルに食べ物の名前が入っている曲はありますよね。「YAKINIKU MADNESS」とか。

なるほど。でも、Billboard Liveは、焼き肉という感じじゃないのかも(笑)。難しいのはそこなんですよ。

ーー他に食べ物系の曲はありましたっけ?

食べ物系は「YAKINIKU MADNESS」だけかも。「YAKINIKU MADNESS」をやるのは面白いかもしれないですね。

ーーセットリストは、まだ考えている段階なんですね。

はい。大まかなプランは作ってみたんですけど、「YAKINIKU MADNESS」は入れてなかったですね。良いヒントを頂きました。

ーーアイディアは、いろいろ広げられるんだと思います。

そうですね。さっきGentle Forest Jazz Bandのリハーサルを見て、いろいろイメージが湧きました。Billboard Live TOKYOは楽屋から出て、客席側の階段を下りてステージに向かうじゃないですか? 京都の磔磔もそういう感じですけど、ああいうのは面白いんですよね。

ーーちなみにBillboard Liveで公演をするアーティストは、オリジナルカクテルを用意することがよくあるんですけど、何か考えていますか?

いろんな人たちがされてますよね。あれはここで何回かやるとできるシステムだったりするんですか?

ーーそんなことはないそうです。今からでも相談できるみたいですよ。

おっ! ぜひオリジナルカクテルも考えたいですね。あったら面白いですから。僕らが普段やってるライブハウスやフェスとかとはまったく違う世界なので、できることは全部楽しみたいと思っています。

ーーライブに関して、他に何か考えていることはありますか?

ちょうど1stアルバムのLPが出るタイミングなので、時を越えた感じの曲も入れたりしながら、普段やらないレアな曲もやりたいなと思っています。

ーー「SHINYURIGAOKA 3A.M.」は1stアルバムの曲ですけど、音源ではメロディが口笛だったじゃないですか。Billboard Liveの規模感だったらホーンじゃなくて口笛でやってもありなのかなと妄想したりもしています。

こういう会場だからこそやれることもあるので、そこはじっくりと考えたいですね。せっかくなので、いろいろトライしたいです。

ーー東京と大阪、それぞれ2ステージずつ。トータルで4ステージとなりますが、セットリストは少しずつ変えるんですか?

変える人もいるんですか?

ーー大幅に変える人もいますよ。毎回変える旨を事前に告知する公演もあるので。

なるほど。いろいろなやり方があるんですね。なんだかこの取材、打合わせみたいになってますけど(笑)。Billboard Liveならではのスタイルをめちゃめちゃ楽しんだ方が僕らにとっても、お客さんにとっても良いってことですね。各ステージが70分なので、そこに関してもいろいろ考えてます。全体の流れも含めて良い70分にしたいです。

ーーこれはBillboard Live 東京だけになってしまいますが、ステージの背景のカーテンを開く演出ができるんですよね。六本木の夜景が現れるのが、とても綺麗です。

あれは盛り上がりますよね。カーテンを開くタイミングは間違えないようにしないと。「この曲で開くの⁉」ってなっちゃいますから(笑)。普段の僕らのライブに遊びに来てくださるみなさんは、Billboard Liveのステージで僕らがやってるだけでもかなり面白いんだろうなあ。登場から最後までの全部を見逃せない感じになるんじゃないかなと思っています。

ーー新鮮な要素が満載になりそうですね。

キャリアが長い先輩はいっぱいいらっしゃいますけど、僕らもなかなかの長さになってきているんです。そういう中で「初挑戦」というのはなくなってきているんですよね。そこもバンドにとってありがたいです。Billboard Liveのステージと僕らでどのような化学反応があるのか? そこも想像しながらわくわくしています。普段なかなかライブに来られないお客さんも、「Billboard Liveだったら久々に観てみようかな」ってなるかもしれないですよね。昔から聴いてくださっているみなさんは、僕らと同世代だったりしますから。「お互いに大人になって再会」みたいなことにもなるのかもしれないです。

ーースタンディング形式で踊りまくるライブもすばらしいですけど、ゆっくり音楽と向き合うのも音楽の楽しみ方の1つですからね。

うちのレーベルのスタイルとして「一緒に年を取っていこう」みたいなのがあるんですけど、そういったことも体現できそうです。これから先の何十年かを見越した大事な一歩にもなるのかもしれないです。

Billboard LiveでBEAMSコラボの新衣装お披露目も

ーー当日、新しい衣装のお披露目もされるとお聞きしているのですが。アロハシャツは、今回もBEAMSとのコラボですか?

そうなんです。そこに関しても張り切っちゃいました。BEAMSとのコラボで、今回で4枚目ですね。「アルバム出す前にアロハ4枚出して、どうなってんの?」というのがありますけど(笑)。

ーー(笑)。今回もヨシザワさん(ギタリストのヨシザワ “モーリス” マサトモ)のデザインですか?

そうです。今日の写真撮影で着たのは去年のやつですけど、Billboard Liveでのライブの時は一番新しいシャツで登場します。

ーーアロハシャツはユアソンのトレードマークになっていますが、そもそもどういった経緯でそうなったんでしょうか?

僕がハワイが好きだという個人的な理由がありまして(笑)。昔、みんなで着ていた時期もありつつ、だんだん自由な服装になっていったんです。そういう中、僕は1人でアロハを復活させていたんですけど、バンドが20周年を迎えたタイミングで「せっかくだからバンドのオリジナルのアロハを作ってみようか?」と。それでBEAMSさんと一緒にやらせていただくようになって以来、「アロハ、いいな」ってみんなでなったんです。そして気がついたら4枚目になっていました。アロハって、ハワイに行くとおじいちゃんたちが普通に着てるんですよ。散歩してる時とかに着てるその感じがすごく良くて、僕もそういう付き合い方ができたらいいなあと思っています。

ーー日本の着物の生地を利用して生まれた西洋スタイルのシャツですよね。音楽のミクスチャーみたいです。

ハワイのそういうミックスカルチャーみたいなのも面白いと思っています。バンドでオリジナルのアロハを作れるのは、本当にありがたいことですね。

ーー衣装に関しては、パンツもオリジナルですよね。

はい。mas.という大阪のかっこいいインディペンデントブランドに作っていただいています。これも毎回、型や素材を変えているんですよね。今年も上下、新しくなります。

ーーみなさんとお揃いの服の新コレクションを購入するのが恒例になっているお客さんもいらっしゃるはずです。Billboard Liveでの公演は、新作発表のファッションショーでもあるのかも。

そういうお披露目の場でもあるのかもしれないですね(笑)。そう考えると、ますます張り切っちゃいます。

ーーつまりステージはランウェイ?

そういうことになりますね(笑)。

「新しい音楽をやっていく」という第一歩となった1stアルバムがアナログ盤に

ーー先ほども少しお話が出ましたが、2004年にリリースされた1stアルバム『YOUR SONG IS GOOD』のアナログ盤が発売されるのも楽しみです。

アナログは今までにいろいろ出してきたんですけど、1stアルバムだけずっとアナログになってなかったんです。タイミングがなかったというのもあって。それがついに20年以上の時を経て実現することになりました。去年がリリースしてから20年だったので、「そろそろ出そうか?」ってなってたんですけど、1年遅れちゃって(笑)。僕らにとって特別な作品ではあって。他のアルバムはどんどんLPを出したり7インチにしたりしてたんですけど、大事な作品だからこそ、なかなかタイミングがなかったんですよね。

ーー歴代のアルバムをアナログ盤のジャケットで飾ったら壮観ですよ。

そうですよね。1stアルバムは、ジャケットも好きな作品なんです。「LPになったらいいなあ」と僕も思ってたんですよ。サンプルのジャケットを見たんですけど、すごくいい感じになってます。

ーーCDでリリースした時も、たしか紙ジャケでしたよね?

紙ジャケでした。物としての良さみたいなことはCDで出した時から意識はしていたんですよね。

ーーLPのジャケットの裏側にライナーノーツのテキストが印刷されているこの感じ、音楽ソフトがレコードだった時代を彷彿とさせます。

CDのジャケットの時も、そういうのをデザインに落とし込んでいたんです。今回のLP化で、ついに本来の形になったということですね。ライナーノーツは僕が書いたんですけど、そういうのも含めて楽しんでいました。今読むと「いろいろ若いな」っていう感じなんですけど、音に関してもそういうのがありますね。アルバムの全部がドキュメンタリー作品みたいな感じというか。冷静には聴けない感じもあるんですけど、「20年前の自分たち、こんなだったなあ」ってなります。笑っちゃうくらいテンポも速いし。もともと「パンクバンドがルーツミュージックをやる」みたいなコンセプトというか、バンドの成り立ちもそんな感じだったので。

ーーパンクの残り香があったのも、幅広い層に支持されるバンドになる上で大きかったんだと思います。

あの当時はそうだったんだと思います。僕らのレーベルのカクバリズムもパンクシーンから始まっていて、「新しい音楽をやっていく」という第一歩がこのアルバムだったんですよ。それがあって今があるという感じがあります。

ーーパンクバンドとの対バンも多かったですよね?

めちゃくちゃ対バンしてました。周りの友だちはみんなパンクバンドだったので。パンクバンドがやってる中でルーツミュージックみたいなのをやるインストバンドがいるという感じだったので。当時はインストのバンドがいっぱい出てきた時期でもあって。僕らはパンク出身ですけど、ジャズから出てきた人たちもいましたし、ジャムバンド的な人たちもいましたし、クラブミュージックの人たちもいましたから。面白いタイミングでやれたんだなと、今になって思います。

ーールーツミュージック、スカ、ラテンとかを「どこか勘違い」という言い方をすると語弊があるのかもしれないですけど、そういう独特な風味がこの1stアルバムにもあります。

僕らはラテン、スカ、カリプソ、ファンク、オルガンジャズとかが好きでありながらもパンクのやり方しかわからなかったので、無理やりやってたんです(笑)。我流も我流で、アイディア勝負みたいなところでやってました。だから不思議な感じになってるんでしょうね。

ーー最近、またちょっとアナログ盤が盛り上がってきていますけど、レコードとはどのように付き合ってきましたか?

DJもしていたのでアナログのレコードはずっと買ってたんです。僕の世代はカセットテープからサブスクまで、いろんなメディアを体験できているんですよね。MDが登場した時からなくなるまでも、ずっと知ってますから。1stアルバムを出した2004年頃なんて、MDをめちゃくちゃ使ってましたよ。リハスタの録音がカセットテープからMDになっていった感じも覚えてます。

ーーユアソンの1stアルバムのLPを手にすることで、アナログ盤の魅力を知る人もいるのかもしれないです。

せっかくなので、そういうことにも繋がったらいいですね。僕はダンスミュージックが好きなんですけど、音が良い作品をアナログで聴くのが大好きなんですよ。DJをやりながら「アナログってめちゃくちゃいいなあ」っていう体験をしてきました。やっぱり独特なすごさがあります。

ーージャケットもアナログ盤の魅力ですよね。

はい。昔、渋谷にアップルストアができた時に、いろんな作品のジャケットが飾られていたんですけど、その中にうちのバンドの1stアルバムもあったんです。CDよりも大きいジャケットになってて、「いいなあ」と。ついに手に入れられることになりました(笑)。アップルストアでそれを見た時、嬉しかったんです。当時から「でかいといいぞ!」と思ってました。

ーーこのジャケットの裏面にいるキャラクターもグッズ化されるんですよね?

そうなんです。ついに時を経てTシャツとトートバッグになりました。このCDが出た当時、タオルくらいにはなってたのかな? 僕の中でグッズになってた記憶がないので。

ーーBillboard Live公演とLPのリリースがある6月の後も、ライブの予定がいろいろ発表されていますね。

久しぶりに『フジロック』(『FUJIROCK FESTIVAL』)に出ますし、いろいろなフェスとかもあります。このBillboard Liveで体験した何かをバンドに持ち込んで、今後のライブで出していきたいですね。

ーーBillboard Live公演で良い手応えを感じられたら、恒例になっていったりもするんじゃないですか?

そうですね。周りのバンドにもBillboard Liveでのシリーズを大切にやっている人たちがいますから。「恒例の初夏のBillboard Live」とか、お馴染みのライブのシリーズになったら嬉しいです。楽しみが広がっていくのを感じると、バンドを続けてきてよかったなあと改めて思います。

取材・文=田中大 撮影=大橋祐希

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