(c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)ARGONAVIS project. (c)2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 (c)2022 プロジェクトラブライブ!スーパースター!! (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
2023年5月27日(土)に山梨県富士急ハイランド・コニファーフォレストにて『BUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2023』が開催された。こちらは2021年に開催が予定されていたが中止となってしまっていた『BUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2021』のリベンジマッチとして、よりパワーアップして2年越しに再スタートを切る形となった。全9グループが繋いだアツく激しい空間は、時間にすれば約5時間だったが、きっと来年・再来年の開催にも繋がったことだろう。
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今年もこの季節がやってきた。全てのブシロードフリークたちがそう思ったことだろう。
富士急ハイランド・コニファーフォレストの地を踏みしめると、ひと足早く夏の到来を感じるのは自分だけじゃないはず。
さらに言えば今年はそんな真夏の大型野外フェスを踏襲したような形で“ロックフェス”としての開催だから、余計にそう感じざるを得ない。
今回の出演アーティストは全9組で、オープニングアクトのLyrical Lilyを筆頭にFantôme Iris、Morfonica、Peaky P-key、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、燐舞曲、Liella!、GYROAXIA、RAISE A SUILENの面々が集結した。
Lyrical Lily (c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
この日のオープニングアクトを務めたLyrical LilyはTVアニメ『D4DJ All Mix』のOP主題歌「Maihime」から、つかみバッチリのスタートを切ると、そのまま勢いをつけて「創傷イノセンス」「太陽のflare sherbet」とカバー曲を淀みなく繋げていく。最後は「みんな!富士山に負けないくらい大きな声で!」と「人間合格!!!!」鉄板の3・3・1・1・3・7拍子を声出しOKとなった会場をほぐすように響かせ、場内のギアを一気に加速させてくれた。
Fantôme Iris (c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)ARGONAVIS project. (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
まさに合格点以上の、最高のオープニングアクトからバトンを受け取ったFantôme Irisは「銀の百合」で登場。「ザクロ」「Into the Flame」と序盤から容赦なく激しめの曲で畳み掛けてきたが、演奏レベルが非常に高く、彼らほどトップバッターに相応しいバンドもいないだろう。
3曲続けたところで、ワイングラスを掲げ「ようこそBUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2023へ。本来、我々吸血鬼は陽の光は苦手なのだが、水分補給は忘れずに、まずは開催を祝して乾杯といこうか!」とヴァンパイアジョークを交えつつ、集まったファンも気遣う完璧なMCにも心が掴まれる。
まさに吸血鬼なカバー曲「STAND PROUD」から「Janus」「ピエロ」と曲数を重ねるたびにさらに激しく、そして身をよじるようなツインギターのユニゾンの音色に恍惚としてしまう。楽曲だけじゃない、Fantôme Irisの魅力がここに凝縮されていた。
Morfonica (c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
ゴシックな雰囲気から繋いだのはMorfonica。挨拶代わりにデビューシングル「Daylight -デイライト-」でいつもの「ごきげんよう、Morfonicaです」を披露すると「今回は新曲を持ってきました!」と、2曲目から初披露楽曲を投下する気合いの入りよう。そんな「カラフルリバティー」も非常にコール&レスポンスしやすく、曲の2番からしっかりと順応し、声が出ていたことにも驚いた。続いてメンバー紹介を挟み「今日はロックフェス!という事で攻め攻めなモニカのセトリを持ってきたよ〜」と七深、「この調子で声出して!次も新曲です!」と透子が口火を切ると「ALIVE」のカバーを初披露し、場内も大盛り上がり。勢いに乗ったそのまま「flame of hope」で続くと完璧なコーレスで一体感を高めていく。「まだまだモニカの曲が聴きたいって人は、7月から東名阪ツアーがあるので……」と告知も挟んだところで最後に「誓いのWingbeat」を披露した。
Morfonica×Liella! (c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)ARGONAVIS project. (c)2022 プロジェクトラブライブ!スーパースター!! (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
今回、ロックフェスの面々の中にスクールアイドルが参加していることで、ここでしか生まれないコラボが実現した。続いては“Morfonica×Liella!”として、まさかの「WE WILL!!」をMorfonicaが演奏し、Liella!のメンバーが登場するサプライズで大いに盛り上がった。モニカアレンジされた「WE WILL!!」はよりエモーショナルで、2番からはモニカが歌唱したりと譜割りも非常に興味深く、最後は倉田ましろと澁谷かのんが背中合わせでサビを歌い上げる姿に胸が熱くなった。
Peaky P-key (c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
続いてはD4DJからPeaky P-keyが登場すると「Let's do the ‘Big-Bang!'」で一気に土俵を掌握。声出しはもちろんのこと、全員で踊れる曲というのもまた、特に今日のような野外フェスでは一体感が生まれていいなと感心させられる。また、少しずつ日も傾き始めてクラブサウンドが映える時間帯になってきたのも、絶対王者が引き寄せるツキの良さを感じさせる。
「Let us sing “Peaky!!”」「CYBER CYBER」「Gonna be right」と波状攻撃は止まる事を知らず、間にしのぶのスクラッチタイムもあり、スキルもしっかりとアピール。「響奏メリーゴーランド」はビッグルーム感もあり、野外フェスで楽曲の100%以上の魅力を感じられた。「OVERWHELM!」ではアニメのライブ回の映像から入る演出も非常によく、またラテンナンバーで夏っぽさを感じられた。「最後に最高のカウントダウン出来ますか?」と「電乱★カウントダウン」でバッチリ盛り上げたところで「それじゃ響子、あとはよろしく!」と愛美と高木美佑だけを残し、他のメンバーがステージを後にしていく様子に少しざわつく会場。
(c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)ARGONAVIS project. (c)2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 (c)2022 プロジェクトラブライブ!スーパースター!! (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の3名が「繚乱!ビクトリーロード」と共に乱入してくると、場内のボルテージもさらに跳ね上がり、ドンドンと曲中に出演者が増えて最終的には、“虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会×山手響子×犬寄しのぶ×青柳椿×桜田美夢×チュチュ×倉田ましろ”というとんでもないコラボが実現した。これは本当にすごいことで、筆者自身、脳内がバグり続けたまま、気付けば終わってしまった。
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 (c)2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
興奮冷めやらぬまま、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が登場。今回は中須かすみ役の相良茉優、優木せつ菜役の林鼓子、天王寺璃奈役の田中ちえ美の3名が代表して出演した。「TOKIMEKI Runners」から始まり、「CHASE!」「ドキピポ☆エモーション」とソロ曲が披露された。特に「ドキピポ☆エモーション」では、璃奈以外の2人もポンポンを持って登場し、チアのように応援していたのも3人での出演ならではで良かった。その後、「Just Believe!!!」「ダイアモンド」と、もちろんかすみんもソロ曲を歌唱し、改めて自己紹介をしつつ、今回のコラボを振り返った。ライブも折り返しを過ぎ、「Colorful Dreams! Colorful Smiles!」そして「NEO SKY, NEO MAP!」で締めくくる構成も良かった。日中はずっと曇りがちだった天候も、彼女たちが傘を取り出すと夕日が差し込んできたのが何より最高の演出だったと思う。
燐舞曲 (c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
20分間の休憩を挟み、後半戦の一番槍となったのは燐舞曲だった。「ARCANA」「KiLLiNG ME」とロックフェスらしい選曲を続け、「カレンデュラ」で「燐舞曲、はじめます」とお決まりのセリフが飛び出すと「名前のない怪物」「unravel」とカバーで盛り上げていく。
「まだまだ盛り上がれますか〜!」「騒げ、ブシロック!」と激しく煽り文句を入れつつ、まるでMVのような美しい映像と繊細なカメラワークで世界観を構築していた。どの瞬間を切り取っても画になるのはさすがだし、だからこそ4人が揃った久々のステージは喜びもひとしおと言ったところだろう。
「BLACK LOTUS」の頃には、陽も落ちてきてペンライトの光が鮮やかになってきた。「ラスト、新曲いきます」とだけ言い残し「-World Etude-」を披露して鮮やかに去っていった。そう、燐舞曲が見せる舞台はいつだって鮮やかなのだ。
Liella! (c)2022 プロジェクトラブライブ!スーパースター!! (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
続いてはLiella!が登場。「ビタミンSUMMER!」でガラリと空気を変えた所で、改めて自己紹介に。残念ながら体調不良のため、唐 可可役のLiyuuが欠席となったが、それ以外の8人は勢揃いし、賑やかなステージを展開していく。「実は私たちの中に、ここ山梨県出身のメンバーがいるんですよね!」と鬼塚夏美役の絵森 彩が紹介されると、この雄大な富士山を眼前に地元へ凱旋できた事への喜びを語った。「今から初披露の“あの曲”をやっちゃいますよー!」と「MIRACLE NEW STORY」を披露し、「揺らぐわ」「Day1」とクールな楽曲で続けて彼女たちの奥深い魅力を感じる。「もう終わりだなんて思ってないですよね?」「冷えてきたから汗は拭いて、水分補給も忘れずに!」「もっとアツくなれますか?いけますか!」と「Second Sparkle」を披露し、さらにクールでありアツいLiella!を印象付ける。最後は「TO BE CONTINUED」と短い時間をまさに駆け抜けるような全力のステージが繰り広げられた。
GYROAXIA (c)ARGONAVIS project.(c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
気付けば辺りは夕闇に包まれ、終わりの時が近付いている事を感じさせる。続いてはfrom ARGONAVISよりGYROAXIAが登場し、「NEW ERA」「Freestyle」と立て続けに披露していく。「これからのステージ、みんなでダンスフロアにしてくれよ」と「GETTING HIGH」そして「DANCING PARANOIA」とスモークをガンガンに焚き上げ、白と赤のレーザーが点滅すると、場内もペンライトで赤一色に染め上げられ、宣言通りのダンスフロアに様変わりした。
「みんな調子どう!楽しんでますか?」とここでようやくMCが入る。
「俺たちも思ってた100億倍最高だよ!」とこの日を待ちわびていた事を語った。「MANIFESTO」で応戦開始し、激しいコール&レスポンスのやりとりが交わされる。「この曲で最後です。この曲が皆さんの心に火を灯しますように」と「IGNITION」を披露。最後まで熱量高くアツい演奏を繰り広げ、ステージを照らすライト越しに去っていくシルエットが大きく写り、完全燃焼したその姿は“エモーショナル”以外の言葉では言い表せなかった。
RAISE A SUILEN (c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
この日のトリを務めたのは、RAISE A SUILENだ。1曲目の「EXPOSE ‘Burn out!!!'」はメンバーのみならず、客席からも全力のシンガロングで、ZEPP以上の規模感でこの声量でのコール&レスポンスが起きる事に感動だし、最高以外の何物でもない。挨拶代わりのソロパートのリレーがあり、「UNSTOPPABLE」そして皆で歌って踊れて楽しい「灼熱 Bonfire!」では振り付けの指導も簡易でわかりやすくなっており、外部のロックフェス行脚の成果が出ているような気がした。「Repaint」「HELL! or HELL?」ともっと激しく、もっとカオスに、突き抜けるような演奏と虹色に輝くステージはラストに相応しい神々しさすら感じた。
(c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)ARGONAVIS project. (c)2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 (c)2022 プロジェクトラブライブ!スーパースター!! (c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
「次で最後の曲です。今日イチの声で暴れなさい!R・I・O・T!」と叫ぶと、ステージ上にはこの日のキャストが全員集合。「さぁラスト!キャストも皆も1つになろう!全力で声出せ!」と全員で「R・I・O・T」を歌い上げた。まさかこの曲がこんなにも大団円な曲になるとは思ってもなかったし、これもフェスならではのおもしろい部分だ。絶対に今日の「R・I・O・T」を体験した人にしか、この感覚は味わえないと思う。全9組が揃うには広いとは言えないステージの上で、わちゃわちゃと、時に和気藹々としながら笑顔で歌った「R・I・O・T」で約5時間のステージは幕を閉じた。
(c)BUSHI Photo 福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
ブシロードコンテンツのコニファーフォレストといえば定番の花火が最後に打ち上がり、ひと足先に夏の到来を感じる野外フェスとなった。声出しOKでのライブとなったこともあり、やはり屋外ということで、その開放感たるや想像以上だ。念願のブシロードコンテンツによるロックフェスが開催された事に意義があると感じたし、もし来年以降もあるのであれば、より良いフェスになっていくことを願うばかりだ。なぜならば、バンドリ!を筆頭にしたブシロードのロック系コンテンツはまだまだ拡大を続けている。また新たなバンドも生まれている。だから、期待してしまうではないか。今回はラブライブ!シリーズとのまさかのコラボに湧いたが、ロック×他コンテンツとのコラボなんて、おそらくこの場でしかありえないだろう。ブシロードが抱える他コンテンツとバンドサウンドのコラボを勝手に夢見て、今回は筆を置こうと思う。
レポート・文:前田勇介