レコーディング三者協議会(ref) 設立記念座談会

インタビュー スペシャルインタビュー

左から:大野祥孝氏、内沼映二氏、椎名和夫氏
左から:大野祥孝氏、内沼映二氏、椎名和夫氏

東京音楽事業者連盟、日本音楽スタジオ協会、演奏家権利処理合同機構MPNが、新団体「レコーディング三者協議会」(通称:レコーディング フォーラム)を2013年1月に設立した。この新団体設立を記念して、各団体より、東京音楽事業者連盟理事長 大野祥孝氏、日本音楽スタジオ協会会長 内沼映二氏、演奏家権利処理合同機構MPN理事長 椎名和夫氏が参加し、座談会を行った(司会は大崎志朗氏)。新団体設立に至った経緯や、それぞれの団体が抱えている問題、三者が一体となってできることについて語っていただいた

レコーディング三者協議会
[2013年4月23日 / レコーディング三者協議会にて]

プロフィール
大野祥孝(おおの・よしたか)
東京音楽事業者連盟理事長/株式会社新音楽協会常務取締役


19才の頃までバンドでキーボードを担当。バンド解散後は音楽の様々な仕事を経験する。
ある時、知人の紹介で現在の株式会社新音楽協会へ入社、今年で30年目になる。
ミュージシャンのコーディネートを主にタレントのマネージメントや音楽制作を担当。中でも劇中音楽の制作は数多い。

 

内沼映二(うちぬま・えいじ)
日本音楽スタジオ協会 会長/株式会社ミキサーズラボ 会長


1944年 群馬県生まれ
「テイチク」「ビクター」「RVC」録音部を経て、1979年にレコーディング・エンジニア集団の(株)ミキサーズラボを設立。
エンジニアの派遣業とともに、1990 年には自社運営のレコーディング・スタジオ「WESTSIDE」を設立。
また1994年、新たにCDマスタリングセクションの「DISC LAB」をON AIR 麻布スタジオ内に設置。
ジャンルを問わず数多くのアーティストを手掛け、日本では当時先駆的であった、リミックス(12インチ・シングル) の制作を始めるなど、そのキャリアは40年を数える。
1994年から1998年には社団法人日本音楽スタジオ協会の会長を務め、現在に至る。

 

椎名和夫(しいな・かずお)
演奏家権利処理合同機構MPN理事長


1952年東京生まれ。ムーン・ライダースの結成に参加後、スタジオ・ミュージシャン、編曲、プロデュース等の活動に転じ、井上陽水、山下達郎、吉田美奈子、中森明菜、中島みゆき他多数のアーティストのレコーディング、ステージでの演奏や、編曲、プロデュースを担当。1986年駒沢にスタジオ・ペニンシュラ設立。1995年演奏家団体パブリックインサード会(PIT)設立。1998年演奏家権利処理合同機構 ミュージックピープルズ ネスト(MPN)を設立。
現職は、日本芸能実演家団体協議会常務理事・同実演家著作隣接権センターCPRA運営委員、映像コンテンツ権利処理機構aRma理事、文化庁文化審議会著作権分科会委員・同法制・基本問題小委員会委員、総務省放送コンテンツ権利処理円滑化連絡会委員、デジタル時代の著作権協議会「著作権ビジネス研究会」主査など。

 

——2013年の1月に東京音楽事業者連盟(音事連)、日本音楽スタジオ協会(JAPRS)、演奏家権利処理合同機構MPN(MPN)が「レコーディング三者協議会」(通称:レコーディング フォーラム、略称ref)を設立しました。コーディネーター、ミュージシャン、レコーディングスタジオの団体が集まった今までにない協力体系でのスタートとなります。まず、この新団体の設立に至った経緯を新団体の代表でもある、椎名さんからお願いします。

椎名:1998年当時、CDが最も売れた時代のパッケージ売り上げは6000億を超えていましたが、現在は3000億ちょっと。当然ながらレコーディングにかかわる様々な個人、企業、団体が激変にさらされている状況にあると思います。音楽産業も様々に厳しい局面をむかえる中で、エンジニア、プレーヤー、それをコーディネート及びマネージメントする三者が議論したり、あるいは発信したりすることが必要なのでは、というところが最初の発想で、緩やかな枠組みを作り業界の嵩上げにつながればと思い設立しました。

——大野さんはコーディネーターとしてミュージシャンやスタジオの橋渡しをする立場ですが、refの設立についてどう思われますか?

大野:コーディネーター業務として、今まではミュージシャンだけをコーディネートしていたところが多かったんですけど、やはり音楽コーディネート業の多様化というか、手掛ける業務が増えてきたんですね。その中でスケジュール管理が出てきました。そうすると当然スタジオとミュージシャン、レコード会社との調整など、コーディネーターが担うスケジューリングの比重は増えてきます。その中で、起こった問題を実際に話し合う場がなかったので、今回私どもにとってもいい機会だと思います。refを通してみんなが幸せになれるような事を話し合っていきたいですね。例えば録音の仕事じゃなくイベントでもいいですし、時には新人を発掘して、「refが発掘したミュージシャンだ」ということが後々形にのこれば一番理想じゃないかなと思います。

——JAPRSもこれまで音事連やMPNとの接点は多かったと思うのですが、一緒に団体を設立されたということで、内沼さんとしてはいかがでしょうか?

内沼:音楽制作のスタイルが多様化していることもありまして難題は山のようにあるんですよね(笑)。JAPRSだけで解決というのは非常に難しく、それを我々三者で協力しあうrefをスタートできたというのはとても意義があると思います。細かい問題点は多くありますが、少しずつクリアしていければいいかと思っています。

椎名:アメリカでは職業別にギルドやユニオンがあって、それらが連携することによって業界の秩序を形成している状況を何年も横目で見てきました。日本ではユニオンという文化も全然違ったりするのですが、限定的ではあるけどステークホルダーが集まって恒常的な議論ができる場が必要だと感じていました。

——椎名さんの発言にもあったように、音楽市場が落ち込んだことでそれぞれの現場が抱えている問題があります。制作費が極端に少なくなった、レコード会社の制作担当が減り、制作が丸投げされることが増えたため、多種多様なクライアントさんと付き合っていかなければならないなど、悩みは尽きませんね。

内沼:パッケージの売上は減っていますが、配信やライブの売上は多くなってきているので、音楽業界のパイは決して減っているばかりでは無いと思うんですよね。ただ、今後配信の比率がますます上がっていくと思いますが、現在の配信では誰の演奏なのか誰がエンジニアなのか、スタジオはどこなのかという情報が存在しないわけです。とてもまずいなと思うんですよね。音楽の文化は未来に残していくわけですから、データをきちんと残して欲しいかなと思います。

椎名:データの話について言えば、レコーディングの手法が変化した事も影響しています。打ち込み中心のコンピュータから出てくる音でオケが構成されれば、プロフェッショナルなスタジオが必要なくなってしまう。同様にプロフェッショナルなミュージシャンも、マネージメントも必要なくなってしまうような状況がある中で、これからプロフェショナルであるいうことをどのように訴求していくかという課題があります。やはりすぐれた作品を作り出す背景にはミュージシャンでいえば肉体的な努力であったり、知識の学習であったり、エンジニアもそうですよね? 経験から積み上げていく。マネージメントも同じだと思うんですよ。そういうプロフェッショナルなレベルを持った人たちがより良い影響を与えていく必要があるとおもいます。

——大野さんはミュージシャンとクライアントの間に立つ立場ですので、ご苦労も多いと思います。

大野:苦労で言えば、いかに費用を安く抑えるかです。クライアントから「もっと安くならないか」と言われることが圧倒的に多いですね。ただ、安かろう、悪かろうではプロフェッショナルとしてはだめだと思うんです。先ほど配信の話が出ましたが、作品という観点から見ると、昔はアルバムの中から自分のお気に入りの曲を見つけて聴いていたと思うんですけど、今は売り手側が「この一曲聞いてくれ」と出しているので聴く側もそれしか選択肢がないんですよ。今やもうアルバムといった観念がなくなってしまったのかもしれないですね。

——アルバムという概念はすでに微妙なところですね。「いかに費用を安く抑えるか」というお話でしたが、以前は技術や経験など、プロフェッショナルとしての評価が対価に結びついていたと思いますが、今ではそのバランスがずいぶん壊れてきたのかなという感じはします。安さだけを求められることが多くなりましたよね。

椎名:スタジオの料金もどんどん下がっていますし、ミュージシャンも演奏の対価はどんどん下がってきている。レコーディング業界を底上げするためには、こういった課題へ対応しなければいけません。そのヒントとして一つあげられるのが、日本の特殊性として、世界でパッケージが落ち込んでる中、日本はついにパッケージで世界一になった。やっぱり日本人はコレクションするのが好きなんだなと。本当に愛着を感じるものには物として持ちたいというのがあって、それが今後のヒントに繋がらないかなと思ったりもします。一曲気に入ったものを携帯端末でダウンロードして、カラオケで歌える程度に覚えたら後は消しちゃう、ということもありますが、気に入ったアーティストに対してはパッケージを買うという消費行動はまだ廃れていないと思うんです。

大野:使い捨てと言うと自分たちの首を締めてしまいますが、そのような流れが主流となってしまいました。デジタルの演奏は否定しないですけど、やはり、人間が演奏した気持ちのこもったプレイというのは聴いている人を熱くさせる、すごい力のあるものだと思うんですね。ですからrefの活動を通じてそういった音楽をどこかで発信していって、どんどん聴いてもらって、こんな素晴らしい音があるんだということを再認識してもらいたいですね。

内沼:制作費を抑えるために打ち込みがメインになる。それはレコーディングエンジニアにとっても非常にまずい状況なんですよ。昔は毎日、生演奏を録っていたような時代だったので必然的に上達していくと言うか、恵まれた環境だったんですけど、今の若いエンジニアたちは生演奏を録る機会がほとんどないですよね。優秀なレコーディングエンジニアを育てる。そしていい技術を継承していかないといけないんですけど、今はそれができない状況ですよね。将来的な話ですけど、refでそういった勉強会ができればと思います。

大野:演奏する若者たちには「どうしたら音楽でメシが食えるんだろう」と悩んでいる人はいっぱいいると思うんです、彼らに「プロはこういう場所で演奏しているんだ」という所を見せたり、自分がプロになっていった過程を話す場なんかを作っていければ、もっと貢献できるんじゃないかなと思います。

椎名:今はDAWで誰でもスタジオを作れるじゃないですか? 昔はマルチ買うのに何千万、コンソール買うのに何千万。でも今はMacとインターフェースとソフトウェアさえあればできるのでプロとアマのラインも不明確ですよね。

Musicman-NET:世界的に音楽を聴くスタイル自体が大きく変化してきていると思います。日本ではまだ、サブスクリプションやストリーミングが普及していない等の理由から、結果的にCD売上が世界一になっている。しかし、いつまでもそれらのサービスを拒否することはできないと思います。このような状況下で音楽制作のスタイルだけは従来通りのものを守っていこうとするのはなかなか難しいと思うのですが…。

椎名:CDの売り上げが世界一ってことは、それはそれで肯定的に考えたらいいと思うんですよ。一方で、もし守ろうという角度からの話があるとすれば、これは全世界的な課題ですけど、そういったサブスクリプションサービスやストリーミングのサービスで、音楽ビジネスの客単価がどんどん下がっていくという問題があります。インターネットのコンテンツに対してどう対価を払うのか? クリエーターや制作サイドにどう還元していくか?というところの議論はあると思いますね。refに直接関わることではないかもしれませんが、少なくともレコーディングに関わるステークホルダーとして、そういった問題も新しい状況への対応も含め、情報交換の場所を持ちながらやっていきましょうということですよね。座組みは座組みとしての良さがあって、先ほど話しに出たように新人発掘であったり、レコーディング技術の伝承であったり、今は必要とされないかもしれないけど、将来、無くなってはいけない技術もあると思うんですよ。だから何を作って、何を残してゆくのか?ということも、この場を使って議論できるんだと思います。

Musicman-NET:ただ、既に伝統的な録音技術云々に全くとらわれないと言うか、関心すらない若いクリエーターたちが台頭してきているのでは?

椎名:そうですね。でも流行り廃りってあるじゃないですか? 今はサンプリング音源が席巻していますけど、一方でストリングスの需要が上がってきている気もします。フィジカルミュージックが一回りして戻ってくる可能性も当然ながらあると思っています。また、今の若いクリエーターには、先達のミュージシャンに対するリスペクトがしっかりありますから、あまり悲観的には考えていません。refではそれぞれの地の利を生かして若いクリエーターにアプローチしていくことも大切だと思います。

レコーディング三者協議会(ref) 設立記念座談会

——DAWが出てきたことで誰でも音楽が作れるようになってきた。聴き手も、何千曲という音楽を常に持ち歩けるようになった。テクノロジーの発達でずいぶん裾野は広がったと思うんです。ただ残念ながら山の頂の高さが下がってしまったという印象は否めないと思いますが。

椎名:今のところは内側の話で終始していて、今後、外に向かってどういうことができていくのか?っていうのは、正にこれからだと思います。既にそれぞれの立場で色々な活動をしてきていると思うんですけれど、それをrefで一緒に行うことによって、より大きなアプローチができると思うんですよ。

大野:コーディネーター側から参加する意義として、ひとつは新しいルール作りができると思うんです。これまで三者三様のルールはあったんですけど、みんなが納得できる、認め合うルールがなかったんです。このrefに集まることによって、みんなが納得できるルールをオフィシャルにして、それをクライアントに示していく、ということですね。今はこういう時期ですから、みんなでルールをもう一回見直しながら、共有できる部分を作りましょうということもあるんじゃないかなと思います。

——長い間の商慣習の違いは、それぞれの団体で根強くあると思います。それを一緒に考えて変えていくというのはとてもハードルが高そうに思えるんですが、いかがですか?

内沼:実感として、スタジオでの駐車場の利用など、以前よりスムーズに事が運ぶようになったんですよ。これはまずrefの恩恵かなと思うんですけど(笑)。だから色んな面でスムーズな音楽制作の環境が構築できていけばいいかなと思います。

椎名:新しいルールを作ることは自分たちを守る話でもあるわけですよね。1月にできたばかりなのでまだ明確な目標は打ち出していませんが、少しづつ発信していけたらと思います。

——椎名さんが最初にお話されていた、アメリカのギルドやユニオンのやり方で日本の音楽に活用できるようなものは考えられますか?

椎名:すぐ持ってこられるようなものはないですね。ただ、職能別にギルドがあってそれが横の連絡をする時に上手く活用されている。コンテンツの二次利用なんかに関することでも、とても合理的にスムーズにいってることがありますので、業界の中の風通しをよくすることは絶対プラスに働くんですよ。だからそういう意味で屋台骨は根本的に違うんですけども、真似してもいいところはあると思います。音事連さんとMPNの団体間では本当に歴史が長く、ミュージシャンの権利処理に必要なデータを提供していただくなど、様々な協定を昔から結んではきているんです。ただそういう関係にレコーディングスタジオという場所が加わることで、さらに視野の広い議論ができるんじゃないかと期待しています。

大野:音事連の中では今まで喧々諤々「こうでありたい」ということを述べてはいたんですけども、誰に対して提案したらいいのかわからなかったんです。色んな意見が出ていても結局、内向きな話になってしまう。それをこのrefに集まることによって外に向かって発信できるということは、新しい時代の始まりだと思います。

——今まで個別の団体の中での意見や情報が、こういった協議会(ref)の場ができることによって共有されると、それぞれの団体に参加する会員さんたちにもメリットが生まれたりするのかな、と期待するんですけども。

大野:メリットはまだまだ先かもしれないですね(笑)

——大野さんが先ほどおっしゃった、イベントであったり新人発掘はこういう枠組みで可能になるのではないでしょうか?

大野:そうですね。こういう枠組みでないとできないということはないと思いますが、プロフェッショナル・スタジオとプロフェッショナル・ミュージシャンとプロフェッショナル・コーディネーターとが知恵を出しあって録音をした最高の音を私たちが外に発信していく、これが我々の役割じゃないかなと思います。

——内沼さんは生演奏でレコーディングする機会が極めて減っているとおっしゃっていましたね。

内沼:石川さゆりさんのスタジオマスターを一枚ずつ手焼きでCD-Rにした商品が発売されているんです。2曲で8400円もするんですよ。だけどこれが売れている。200枚限定だったにも関わらず500枚以上も売れている。オーディオマニアの人が買っているんでしょうし、年齢的にも上の方が多いと思うんですが、若い人たちにこういった音の良さがアピールできるといいかなと思うんです。世の中に同じようなサウンドが氾濫しているので、生演奏主体の音楽に少しでも興味を持ってくれればいいなと思います。

椎名:我々は音楽産業全体の活性化といっても、ビジネスモデルに直接関わる立場にはいないですが、音楽制作をサポートしていく立場から提案できることは多いと思います。色々なアイデアを出していくことはできる。そういう趣旨なんだと思うんですよ。

——例えばメイド・イン・ジャパンという言葉があるとすれば、メイド・イン・ヒューマンだったり。人が作る高品質なものをアピールしていくことができるかもしれませんね。

椎名:将来へ向かって維持するべきプロフェッショナルクオリティーから色んなチャンスが生まれるわけですよね。

大野:レコーディングスタジオでも全部音が違うじゃないですか“スタジオブランド”の存在はあって然るべきべきなんですよ。

椎名:そうそう、さっき内沼さんもおっしゃってましたけど、アビーロードスタジオの様に、昔だったらアルバムにスタジオ名が書いてあって、それが訴求力になったじゃないですか。配信だとミュージシャンクレジットもなかったり、下手すると作曲家もアレンジャーも書いてなかったりするので、これからはrefのメンバーでデータを正確に記録しておきましょうということなど、どちらかといえばコツコツやっていくタイプの話しになるんですが。

大野:そうですね。例えば著作隣接権を分配するときに、カタログタイトルが必要ですが、その機能を利用して番号を入力すると、作品のクレジット情報が閲覧できるとか、そういったことを提案していくことができると思うんです。氏名表示権を持っている演奏家、エンジニアにも有意義な話しで、そういったところをつないでいくのが私たちコーディネーターの仕事だと思います。

——レコーディング情報の記録はrefならではの役割だと思いますね。まだまだ手をつけていないこと、できることがたくさんあると思うんですけど、最後に、refでどんなことができるのか、ご意見がありましたら。

椎名:シュリンクしつつある産業がお互いを守るために身を寄せたというところで終わらないために、プロフェッショナルとしての矜持を持ち続けるために、情報交換をしながらやっていく意味があると思います。ビジネスモデルは提示できないとしても、ビジネスモデルに付帯するバックボーンは提供できますので、そういった分野で関わっていけると思います。

大野:コーディネーターの立場からは、何年かかるかわかりませんが、ルールを作ることが大事だと思います。今まであったものを壊すことはないと思うんですけど、それに肉付けしていって、今の時代に合ったルールを作っていこうと。それをクライアントの方々に提案するということが第1歩かなと思っています。

内沼:レコーディングスタジオは、ビジネスとして世の中の標準から外れてしまっていた部分があります。そういった部分が少しでも他業種と同じようなルールに近づきたいと思いますね。スケジュールにしても「決定」なのか、「仮押さえ」なのか。言葉の定義も存在しない状況なので、それらのことにひとつずつ向き合っていければいいかなと思います。

大野:そうすれば私たちがミュージシャンの方々をブッキングするときも、その「定義」に合わせようかな、ということになってくると思いますね。

椎名:「キャンセル料はこうです」と発信するとかも、状況を見ながらやっていけたらいいと思います。クライアントに根拠を求められた時に「refで定めている事です」と言えるのも、こういう枠組みのいいところだと思うんですよね。

大野:協定的なものは、共通の利害がないので、提案しやすいと思います。

——初代のref議長には椎名さんが就任されたわけですが、新しい団体を立ち上げることの意義はどうですか?

椎名:refは団体というよりは枠組みです。お互い情報交換しながら風通しを良くしていって、時には言い争える環境ができたことが素晴らしいと思うし、運営も持ち回りなので、3団体それぞれのキャラクターが出て面白いことになるんじゃないかと思いますね(笑)。大変なのはこれからですよ。

——そうですね。今日はお忙しいところありがとうございました。

レコーディング三者協議会(ref) 設立記念座談会
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