シャザム・チャートに初登場したアルバート・ハモンドの「安らぎの世界(The Air That I Breathe)」という曲

コラム 高橋裕二の洋楽天国

この曲何ですかのシャザム・チャート。ホリーズの「安らぎの世界へ」という曲が直近で12位に初登場した。曲を書いたのは「カリフォルニアの青い空」が大ヒットしたアルバート・ハモンド。50年程前に書かれた。

アルバート・ハモンドのデビュー・アルバムに納められていた曲を、イギリスのバンド、ホリーズがカバー。アメリカで1974年にヒットした(ビルボード・シングル・チャート最高位6位)。そしてこのホリーズを最新映画『ゴジラvsコング』が使用(シンクロ)した。映画を観た若い層は全く知らないだろう。投資ファンドや音楽出版社が古い楽曲を買う理由がここにある。

この曲については面白い話がある。

女性シンガー・ソングライターのラナ・デル・レイが盗作問題でレディオヘッドともめていると音楽誌SPINが報じた。2018年の事。

ラナ・デル・レイのアルバム「ラスト・フォー・ライフ」に収録されている「ゲット・フリー」。発売直後からレディオヘッドの1993年の曲「クリープ」に類似していると、著作権を管理するワーナー/チャペル音楽出版は気づき、ラナ・デル・レイの代理人と交渉に入った。

ところがラナ・デル・レイがツイッターで発信したコメントが波紋を呼んだ。いわく「私はクリープから何も影響されていないが、レディヘッドが著作権印税の100%をよこせと言ってきたので、40%でどうかと言った。でも100%じゃないと駄目だと言っている」。

何も影響されていないのなら、どうして40%を支払うと言ったのだろう。これに対してワーナー/チャペルはレディオヘッドが100%などと言ったことは無いと反論。

ところがレディオヘッドの「クリープ」がそもそも盗作だった。「クリープ」はバンド・メンバーのトム・ヨークが作曲した事になっている。ところが1974年、ホリーズが歌い、全米シングル・チャートで6位になった「安らぎの世界」に似ていると指摘され、「安らぎの世界」の作詞作曲者であるアルバート・ハモンドとマイク・ヘイゼルウッドを作家クレジットに加え、著作権印税を支払った。

盗作騒ぎは裁判に持ち込まず、作家にクレジットし、印税を払う。これが最近のやりかた。

高橋裕二の洋楽天国記事提供元:洋楽天国
高橋裕二(たかはし・ゆうじ)
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