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【2025年米ビルボード年間アルバム・チャート】テイラー・スウィフト「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」で通算5作目の首位、集計対象は1週のみ

チャート ビルボード

2025年の米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard200”は、テイラー・スウィフトの「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」が年間1位に輝いた。

「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」は、昨年の年間チャートを制した前作「ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント」から約1年半ぶり、通算12作目のスタジオ・アルバムで、週間チャートでは2ndアルバム「フィアレス」(2008年)から本作まで11作連続、再録プロジェクトの4作を含めて通算15作目の首位を獲得した。

年間チャートでの首位獲得は2年連続、通算5作目で、TOP10にはデビュー作「テイラー・スウィフト」から本作「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」まで、12枚すべてのスタジオ・アルバムをランクインさせている。

以下、各年の年間チャートの順位

オリジナル・アルバム

・1st「テイラー・スウィフト」:2008年/5位
・2nd「フィアレス」:2009年/1位、2010年/7位
・3rd「スピーク・ナウ」:2010年/9位、2011年/2位
・4th「レッド」:2012年/4位、2013年/2位
・5th「1989」:2014年/3位、2015年/1位
・6th「レピュテーション」:2018年/1位
・7th「ラヴァー」:2019年/4位、2023年/9位、2024年/9位
・8th「フォークロア」:2020年/4位
・9th「エヴァーモア」:2021年/4位
・10th「ミッドナイツ」:2022年/4位、2023年/2位、2024年/10位
・11th「ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント」:2024年/1位、2025年/6位
・12th「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」:2025年/1位

再録盤

・「フィアレス(テイラーズ・バージョン)」:2021年/33位
・「レッド(テイラーズ・バージョン)」:2022年/5位、2023年/17位
・「スピーク・ナウ(テイラーズ・バージョン)」:2023年/11位
・「1989(テイラーズ・バージョン)」:2024年/2位

上記の通り、「フィアレス」「スピーク・ナウ」「レッド」「ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント」の4作がそれぞれ2年連続で年間TOP10にランクイン、「ラヴァー」「1989」(再録盤を含める)、「ミッドナイツ」の3作は3度(3年)年間TOP10入りを果たしている。

2025年10月3日にリリースされた「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」は、アルバム・チャート“Billboard200”史上最高の4,002,000ユニットを獲得して、10月18日付で1位に初登場した。なお、本年度の集計期間は2024年10月26日付から2025年10月18日付までなので、本作は集計期間最終週の1週(10月18日付)のみの記録で年間チャート1位を獲得したことになる。この前代未聞の記録は、67年の歴史をもつアルバム・チャート“Billboard 200”において前例がない。

本作は、次年度(2026年)の集計期間に入った2025年10月25日付以降も首位を独占していて、11月29日付のチャートでは7週目に記録を更新した。各週のユニット数も高記録を維持していて、来年の年間チャートでも上位のランクインが予想される。

アルバムがNo.1デビューを飾った10月18日付のチャートでは、本作からのシングル「ザ・フェイト・オブ・オフィーリア」もソング・チャート“Hot 100”で1位に初登場。アルバムと並行して11月29日付まで7週間連続で首位を獲得している。

先述の通り、昨年の年間1位を獲得した前作「ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント」も、今年の年間チャートでは6位に、2年連続でTOP10入りした。本作は、昨年4月に16曲を収録した通常版、その直後に15曲を追加したデラックス盤のデジタル・ダウンロードとストリーミング「ジ・アンソロジー」が解禁されたが、同年11月末にデラックス盤のフィジカルがリリースされたため、12月14日付のチャートで約4か月ぶりに返り咲き、通算16週目の首位を獲得。翌週も首位をキープして、首位獲得週を17週に塗り替えた。

多角的なアプローチで記録を塗り替えているテイラー・スウィフトの躍進は、まだまだ止まりそうにない。

惜しくも3作連続の年間首位獲得は逃したが、今年5月にリリースされたモーガン・ウォーレンの4thアルバム「アイム・ザ・プロブレム」は、年間チャートで2位にランクインした。

「アイム・ザ・プロブレム」は、5月31日付のチャートで初動493,000ユニットを記録して1位に初登場。以降8週連続、計12週間首位を獲得して、初登場から16週間連続で10万ユニットを突破した。

週間チャートでは3作連続で首位を獲得。以下は前2作の各記録で、どちらも年間チャートで1位を獲得している。

・2ndアルバム「デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム」(2021年リリース)
週間チャート:10週間首位獲得
年間チャート:2021年/1位、2022年/3位、2023年/5位、2024年/8位、2025年/14位
集計期間終了まで248週間チャートイン

・3rdアルバム「ワン・シング・アット・ア・タイム」(2023年リリース)
週間チャート:19週間首位獲得
年間チャート:2023年/1位、2024年/3位、2025年/7位
集計期間終了まで136週間チャートイン

上記の通り、前作「ワン・シング・アット・ア・タイム」は今年の年間チャートで7位に、3年連続でTOP10にランクインした。なお、同じアルバムが4年連続で年間TOP10入りしたのは「デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム」が史上初のタイトルで、いずれのアルバムも息の長さを物語る。

また、2018年4月にリリースしたデビュー・アルバム「イフ・アイ・ノウ・ミー」も、2020年の年間チャートで29位、2021年が36位、2022年が35位、2023年が34位、2024年が58位、今年は79位に、6年連続でランクインしている。

「アイム・ザ・プロブレム」からは、週間チャートで1位を獲得した「ラヴ・サムバディ」「ホワット・アイ・ウォント feat. テイト・マクレー」をはじめ、計9曲がソング・チャート“Hot 100”でTOP10入りする快挙を達成。そのうちアルバムのリリース前に発表された先行シングルは5曲あり、アルバムがリリースされてからシングルカットされる以前までのプロモーションと形態が変わったのも、近年のチャートの傾向といえる。

年間チャート3位にランクインしたのは、シザの「SOS」。本作は、2022年12月9日に23曲を収録した通常版がリリースされ、同年12月24日付で1位に初登場した後、2023年3月4日付まで非連続で通算10週間の首位を獲得。その後も上位にランクインし続けて、2023年の年間チャートでは3位、2024年の年間チャートでは6位に、2年連続で年間TOP10入りした。

今年に入って息を吹き返したのは、2024年12月20日にデラックス盤に位置づけられるアルバム「LANA(ラナ)」がリリースされたからで、2025年1月4日付のチャートでは22か月ぶりに1位に復帰し、首位復帰までのブランクをチャート史上最も長い記録に塗り替えた。集計期間最終日(10月18日付)のチャートでは9位にランクインしていて、合計148週間チャートインしている。

今年に入って「SOS」のポイントが上昇したのは、デラックス盤のリリース効果に加えて現地時間2月9日に開催された【第59回NFLスーパーボウル】ハーフタイム・ショーでのパフォーマンスによる反響も大きい。メイン・アクトを務めたケンドリック・ラマーとのデュエット曲「Luther」は今年最長の13週間1位を獲得して、年間チャートでは2位にランクインする大ヒットとなった。

その「Luther」を収録したケンドリック・ラマーのアルバム「GNX」は、年間チャートで4位にランクイン。2024年12月7日付で1位初登場した後、11週間連続でTOP5にランクインして、先述のハーフタイム・ショーに出演した直後の2025年2月22日付で2週目の首位を獲得した。週間チャートでは6作目の首位獲得、年間チャートでは2017年の年間首位を獲得した「ダム.」に続く2作目のTOP10入りとなる。

また、ケンドリックは現地時間2025年2月2日に開催された【第67回グラミー賞】で、主要部門の<年間最優秀楽曲賞>と<年間最優秀レコード賞>の2冠を達成。アルバムが返り咲いた2月22日付のソング・チャート“Hot 100”では、受賞曲の「ノット・ライク・アス」も29週間ぶりに首位復帰を果たした。同曲は「GNX」に収録されていないが、アルバムからは「Luther」の他にも「tv off」(最高2位/年間15位)、「squabble up」(最高1位/年間20位)の3曲が週間チャートでTOP3入り、年間チャートでTOP20入りするなど、今年を代表する大活躍を遂げた。

年間アルバム5位にランクインしたサブリナ・カーペンターもまた、今年を代表するアーティストの一人で、本作「ショート・アンド・スウィート」(最高1位)に続き、今年8月にリリースした最新作「マンズ・ベスト・フレンド」も、週間チャート2作連続で1位を獲得。「ショート・アンド・スウィート」からは「エスプレッソ」(最高3位/年間12位)、「プリーズ・プリーズ・プリーズ」(最高1位/年間50位)「テイスト」(最高2位/年間19位)の3曲、「マンズ・ベスト・フレンド」からは「マンチャイルド」(最高1位/年間38位)、「ティアーズ」(最高3位)の2曲が、それぞれが週間チャートでTOP3入りしている。

昨年8月に発表した「ショート・アンド・スウィート」も、今年2月に5曲の新曲を追加したデラックス・バージョンをリリースしたことで、3月1日付で2位に再浮上し、6月まで粘り強くTOP10にランクインした。

年間8位にランクインしたのは、プエルトリコのシンガー、ラッパーのバッド・バニーの「DeBÍ TiRAR MáS FOToS」。リリースは今年の1月5日で、1月18日付のチャートで2位に初登場。翌25日付のチャートで1位に到達した後、週毎安定したユニット数を獲得して上半期のチャートではほとんどの週でTOP10にランクインした(集計期間までのランクイン総週は40週間)。

1位を獲得した1月25日付のソング・チャート“Hot 100”では、「DtMF」(2位)、「BAILE INoLVIDABLE」(3位)、「NUEVAYoL」(8位)の3曲がTOP10入り。アルバム・チャート“Billboard 200”でのTOP10入りは通算7作目で、年間チャートのTOP10入りは、2022年の年間首位に輝いた「Un Verano Sin Ti」(年間42位)に続く2作目のタイトルを獲得した。

バッド・バニーは、現地時間2026年2月8日に開催予定の【第60回NFLスーパーボウル】ハーフタイム・ショーに出演が予定されていて、次年度のチャートでも本作が再ヒットすることが予想される。

惜しくも主要部門の受賞は逃したが、先述の【第67回グラミー賞】にノミネートされたビリー・アイリッシュの「ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト」は、年間チャート9位にランクイン。リリースは2024年の5月で、翌6月1日付のチャートで2位にデビュー。最高位は2位どまりだったが、10月まで上位をキープして2024年の年間チャートでは11位にランクインした。

今年の集計期間に入ってからは、グラミー効果で2月にTOP5復帰し、3月のチャートまで非連続でTOP10にランクイン。8月にはアナログ盤がリリースされたことで再びTOP10入りし、集計期間終了まで上位を維持した。

年間チャートでは、2019年のアルバム・チャートを制したデビュー作「ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?」に続く2作目のTOP10入りで、本作からは「バーズ・オブ・ア・フェザー」が今年の年間5位にランクインする大ヒットとなった。

同グラミーで主要部門の<最優秀新人賞>を受賞したチャペル・ローンの「ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス」は、年間10位にランクイン。2024年の年間チャートでは18位だったため、TOP10入りは今年が自身初となる。

2024年6月22日付で初のTOP10入りした後、同年8月24日付で最高位となる2位まで到達。9月22日にはリリース1周年を記念した各フィジカルがリリースされたことで、再び2位にジャンプアップした。今年に入ってからは、グラミーの受賞スピーチと「ピンク・ポニー・クラブ」のパフォーマンスが話題を呼び、2月15日付のチャートで6位に再浮上。集計期間終了までは計81週間ランクインした。その「ピンク・ポニー・クラブ」も年間チャートで10位に、ソング(Hot 100)でも初のTOP10入りを果たしている。

チャート常連のヒップホップ勢は、タイラー・ザ・クリエイターの「クロマコピア」が11位、ドレイクとパーティネクストドアのジョイント・アルバム「$ome $exy $ongs 4 U」が12位、プレイボーイ・カルティの「ミュージック」が19位にランクイン。R&Bシーンからはザ・ウィークエンドの「ハリー・アップ・トゥモロウ」が17位、カントリー・アルバムに挑戦したポスト・マローンの「F-1トリリオン」は18位に、それぞれTOP20入りを果たしていて、いずれのアルバムも週間チャートでは1位を記録している。ラップ勢では、ジェリー・ロール(20位)やビッグXザプラグ(21位)、ロッド・ウェイヴ(29位)が大健闘した。

ドレイクは、2021年から2024年まで4年連続、2012年から10年間(通算8作)年間チャートでTOP10入りしていたが、今年は惜しくもランク外となった。ジョイント・アルバムからは、ドレイクのみのパフォーマンスによる「Nokia」が最高2位を記録。年間チャートでは24位にランクインした。最高位に到達した4月19日付では、宿敵のケンドリックと1位、2位を独占する初のチャート・アクションも話題に。昨年はドレイクとケンドリック・ラマーのビーフが大きな反響を集めたが、本作は一連の騒動以降ドレイクが初めてリリースしたアルバムということでも話題を呼んだ。

今年の話題作といえば、年間チャート13位にランクインしたNetflixのアニメーション映画『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』のサウンドトラックもその一つ。リリースが夏だったため年間TOP10には届かなかったが、週間チャートでは登場12週目の9月20日付で1位に到達している(通算2週)。映画の大ヒットを受けて、本作からは4曲がソング・チャート“Hot 100”でTOP10入り。そのうち「Golden」は8週間1位を記録して、年間チャートでは25位にランクインした。8月30日付のチャートでは、4曲が同時(同週)にTOP10入りするサウンドトラック史上初の快挙も達成。K-POP関連のアーティストによるアルバム、またアニメーション映画としても異例のブレイクとなった。

今年ブレイクした新星勢のアルバムも、上位に多数ランクイン。「ザッツ・ソー・トゥルー」(最高6位/年間14位)で注目されたグレイシー・エイブラムスの2ndアルバム「ザ・シークレット・オブ・アス」(最高2位)は15位、「ア・バー・ソング(ティプシー)」が2年連続で年間TOP3入りしたシャブージーの「ホエア・アイヴ・ビーン・イズント・ホエア・アイム・ゴーイング」(最高5位)は22位、週間アルバム・チャートで自身初のNo.1タイトルを獲得したテイト・マクレーの「ソー・クロース・トゥー・ワット」は23位、10週間首位を記録した大ヒット曲「オーディナリー」(年間7位)を収録したアレックス・ウォーレンのデビュー・アルバム「ユール・ビー・オールライト、キッド」(最高5位)は26位に、それぞれ週間チャートでTOP5入り、年間チャートではTOP30入りを果たしている。

中堅では、【第67回グラミー賞】9部門にノミネートされたチャーリーxcxの「ブラット」(最高3位)が24位、デラックス版「ブライター・デイズ・アヘッド」のリリース効果で返り咲いたアリアナ・グランデの「エターナル・サンシャイン」(最高1位)が28位、今年の年間チャートを制した「ダイ・ウィズ・ア・スマイル with ブルーノ・マーズ」収録のレディー・ガガの7thアルバム「メイヘム」(最高1位)が30位にランクイン。収録曲「ドリームス」がSNSでバイラル・ヒットしたフリートウッド・マックの「噂」(1977年リリース)が25位、60年近いキャリアを誇るエルトン・ジョンのベスト・アルバム「ダイアモンズ~グレイテスト・ヒッツ」が35位にランクインしているのも面白い。

昨年に続き、種類別のCDやアナログ盤、ボーナス・トラックの異なるダウンロード・アルバムなど、複数形態を駆使する作品が多く、デラックス版の再リリースで上位に返り咲く傾向も引き継がれた。モーガン・ウォーレンやシザ、バッド・バニーのアルバムのように曲数が多く、ストリーミング再生数が安定しているアルバムが上位をキープしやすく“持続力”がものを言う一方で、チャートイン1週で年間1位を記録した「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」のように、瞬発的に大ヒットするアルバムもあった。形態やリリース戦略が多様化するなかで、アルバムの存在感はなお健在であることを示した一年だったといえる。

Text:本家一成

◎【Billboard 200】2025年年間チャートTOP10

1位「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」テイラー・スウィフト
2位「アイム・ザ・プロブレム」モーガン・ウォレン
3位「SOS」シザ
4位「GNX」ケンドリック・ラマー
5位「ショート・アンド・スウィート」サブリナ・カーペンター
6位「ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント」テイラー・スウィフト
7位「ワン・シング・アット・ア・タイム」モーガン・ウォレン
8位「DeBÍ TiRAR MáS FOToS」バッド・バニー
9位「ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト」ビリー・アイリッシュ
10位「ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス」チャペル・ローン

集計期間:2024年10月26日付~2025年10月18日付チャート

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