三大レコード会社とSpotify、海賊版サイト「Anna’s Archive」に3億2,200万ドルの欠席判決求める
世界三大メジャーレコード会社とSpotifyは3月25日、海賊版グループ「Anna’s Archive」が裁判所命令に違反して数百万件の音楽ファイルを公開したとされることを受け、同グループに対し3億2,220万ドル(約515億円)の損害賠償を求めた。
Anna’s Archiveは2025年12月、Spotifyから音楽ファイル約8,600万件をスクレイピング(ウェブコンテンツから特定のデータを自動抽出)し、トレント形式(分散型ファイル共有システム)で公開する計画を発表。これを受け、原告側は今年1月に提訴し、スクレイピングされたファイルの公開を差し止める仮処分命令を獲得したものの、一部のファイルが公開された経緯がある(Anna’s Archiveは「誤って公開した」として、その後にリンクを削除)。原告側はこれを「仮処分命令に対する露骨な無視」と表現。また、リンクが削除されても、トレントの性質上、ファイルは依然として一般公開されたままだと主張している。なお、Anna’s Archiveは訴訟への応答を怠ったため、2月2日に欠席と認定された。
請求額の内訳は、レコード会社による故意の著作権侵害に対する法定損害賠償の上限額2,220万ドルと、Spotifyによる自社のデジタル著作権管理(DRM)技術の回避行為に対するデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく損害賠償3億ドル。原告側は、この損害賠償請求額を「極めて控えめな」ものだと説明している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
三大メジャーとSpotifyが3億2,220万ドル(約515億円)の損害賠償を求めた。それでも原告側が「極めて控えめ」と表現するのは、標的がSpotifyだからだ。NapsterなどP2Pが音楽産業を壊滅させた2000年代、Spotifyは「合法的に手軽に聴ける環境」を提供することで海賊版の需要を実質的に消滅させた救世主として登場した。その「解決策」から書籍の海賊版で知られるAnna's Archiveが音楽ファイル8,600万件をスクレイピングし、AIの学習データとしての二次利用も視野に入る形で再配布した——歴史が一周した感がある。トレントで一度流通したファイルは技術的に回収不能だ。リンクを削除しても、データは世界中のサーバーに分散したまま残り続ける。それが「控えめ」の意味だ。グーグルへのインディーズ連合の提訴と合わせると、音楽データの「流出→AI学習への転用」というリスクの連鎖が見え始めている。音楽業界が直面するデジタルの脅威は、多層化している。ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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