「Spotifyで昨年5万ドル超を稼いだアーティストは2万人」 Blueprint報告書

AIを活用したWeb3の音楽プラットフォームを手がける米国のBlueprintMusic.aiは5月21日、新たなトレンド、経済シフト、AIが音楽制作、配信、収益化に与える影響を四半期ごとに深堀りするレポート「Global Music Industry Outlook」の初回を発表。国際レコード産業連盟(IFPI)、英国の音楽専門コンサルティング・ファームのMIDiA、Music Business Worldwide(MBW)、Blueprintのプラットフォームからのデータを基に、世界的な音楽消費の構造的転換などについて分析した。
この中で、「2024年にSpotifyで5万ドル以上を稼いだアーティストは、数百万人中わずか2万500人に過ぎない」「ストリーミングは欧米で減速するも南半球で急増」「1再生当たりの支払いは、Spotifyが0.003ドル、YouTubeがそれ以下。アーティストが生き残るには数百万の再生回数が必要だが、多くは数百も稼げない」「ストリーミングユーザーの80%以上が、Apple OneやAmazon Primeのようなバンドルサービスを選ぶようになり、プラットフォームのロイヤリティーが再定義された」などの見解を示した。
同社はこのレポートの目的は、未来予測ではなく、現在地を知るためだと説明。破綻した状態が続いてきた音楽産業をアーティスト中心に再構築することが自社の使命としている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「Spotifyで昨年5万ドル超を稼いだアーティストは2万人(BluePrintMusic.ai調べ ※取り分は契約形態による)。ということはApple Music、YouTube Music、Amazon Primeなどを入れると2万人ぐらいはサブスクでざっくり言って年10万ドルぐらいの稼ぎを得た、あるいは4万人ぐらいはサブスクで5万ドル稼いだという見方もできるが、長年課題になっているように基本無料のあるSpotifyはどうしても再生あたりの支払いは薄くなる。またサブスクは「広く薄く」が基本のビジネスモデルなので、「狭く深く」をライブ以外のオンラインでも出来るモデルが必要だというのはSpotifyの日本上陸前から私は連載で書いてきた。現在、スーパーファン・プラットフォームがその役割として期待されているが、スーパーファン・プラットフォームの対象となるアーティストは既に「広く薄く」が出来ているタイプが多く、5000人ぐらいのスーパーリスナーがアーティストを支える新しいプラットフォームが必要になっていると私は考えている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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