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将来のヘッドライナーはどこから来るのか? ポールスター主催のパネルにライブネーション幹部ら登壇

ビジネス 海外

米国の音楽興行業界誌ポールスターが主催するカンファレンス「Pollstar Live! 2025」で4月16日、ヘッドライナーに関するパネルディスカッションが行われた。 

デル・ウィリアムス氏(ダニー・ウィマー・プレゼンツ、グローバルタレント責任者)は、ヘッドライナーの定義は従来から変わらず「チケットの売上をけん引し、情熱を創出。その日1日を演出する」アクトだと説明。ジョナサン・アズ氏(カルチャー・コレクティヴ創設者兼CEO)は、売り上げ可能性だけでなく、ハイプ(旬で勢いがある)かも考慮し、ジャクリーン・レイノルズ=ドラム氏(クリエイティブ・アーティスト・エージェンシー、ミュージック・エージェント)も務めるのに適切な時期を知ることなど「意図的であることが鍵」だと主張した。 

キーリー・モシマン氏(ワッサーマン・ミュージック、エージェント)は、フェスティバルで務めるときは「イベントを超えた文化的な瞬間を作り出したい」と考えていると説明。ロビー・ブラウン氏(ユナイテッド・タレント・エージェンシー、ミュージック・エージェント)は、タイミングと戦略を踏まえた放送も一役買うと付け加えた。 

ドラム氏とウィリアムズ氏は、アーティストのキャリア目標を考慮することも重要だと提示。米国以外でのカントリーの台頭に大きな役割を果たしたミリー・オリカン氏(ライブネーション、アーティスト開発&グローバルツアー担当シニア・バイス・プレジデント)も、アーティストに非現実的な期待を抱く新人マネージャーが多く、アーティスト、マネージャー、エージェントとで時間をかけて計画を立てることが大切だと述べた。 

ブラウン氏とウィリアムズ氏は、ヘッドライナーの資格を得るには、もはやラジオでのヒットは必要ないと指摘。また「曲やカタログがある」レガシー・ヘッドライナーも十分な余地があるとしている。 

将来のヘッドライナー候補として、ウィリアムズ氏は「マーケティングとブラディングの天才」と評するアイス・ナイン・キルズのスペンサー・チャーナスを挙げた。オリカン氏は、メーガン・モロニーとザック・トップ。ドラム氏はグレイシー・エイブラムスとモシマンを選んだ。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「将来のヘッドライナーはどうなる?売上よりも勢い、文化的な象徴など時代を超えたセオリーについても米カンファレンスで語られたが、ヘッドライナーの資格を得るのにラジオでのヒットは不要(ネットでのバズがあるからだろう)、逆にベテラン勢によるレガシー・ヘッドライナーも十分なチャンス(サブスクで新譜より旧譜の人気があるからだろう)など、ストリーミングとSNS全盛時代のセオリーについても語られた。主催者のポールスターは私も米コンサート市場を調べるとき重宝している。フェスにおける「マーケティングとブラディングの天才」はアイス・ナイン・キルズのスペンサー・チャーナスだとのことだ」 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。