神戸市、音楽ホール計画を中止 削減した85億円を文化・芸術振興策等に使用

ビジネス

神戸市は4月21日、新・神戸文化ホール整備基本計画策定時から様々な状況の変化があったことを踏まえ、音楽ホールの整備を中止し、雲井通5・6丁目地区再整備のⅡ期の中ホールを各種コンサートにも対応できるよう、音響面の向上や神戸市室内管弦楽団・混声合唱団のレジデント機能も確保するなど、機能面を充実させることを発表した。

また、Ⅰ期の大ホールの練習場機能を十分に確保したまま、大練習室を身近な発表の場や集会など区民ホール利用にも対応できる多目的室として、座席の設置など機能の向上を図る。これにより、大中2つのホールにおいて、現文化ホールが担ってきた機能・役割を継承するとともに、オンライン配信や映像技術など、最新技術の積極的活用により、これからの多様な利用形態に対応し、勤労会館が有していた区民ホール的機能も確保する。

音楽ホールの見直しによる財政効果は30年間で85億円と見積もっており、このうち、20億円はwithコロナ、postコロナの文化・芸術振興策や文化ホールの機能向上のために使用し、残る65億円は緊急コロナ対策・財政健全化のために使用する方針だ。

新型コロナウイルスの出現により、世界中の風景は一変した。文化芸術活動も例外ではなく、新しい生活様式への対応が求められる中、様々な活動が制限されるなど、大きな影響が及んでいる。

しかし、新しい生活様式は、デジタルでの動画配信などいずれ迎える時代を先取りしたものになっているものもある。このような「withコロナ時代」においても文化芸術の灯を絶やさぬために、文化振興施策の見直しを実施し、新たな施策を展開することとなった。

文化芸術分野に携わる関係者からの窮状の訴えとして、ライブハウス等や民間ホールからは「公演が激減し、落ち込んだ利用の回復も見込めず、危機的な状況が続いている。また、公演に欠かすことのできない舞台技術関係者(音響・照明・映像等)の仕事も危機的な状況」、アーティスト等からは「国や自治体などが提供する補助金等の申請手続きが煩雑で慣れない作業に苦慮している。適切な補助金の紹介や各種申請手続き等をサポートしてくれる人や専門的な相談窓口が欲しい」との声が上がっていた。

神戸市は「この取り組みを通じて、神戸の文化芸術の灯を守っていきます」とのこと。

関連タグ

関連タグはありません

オススメ