オリコン2015年年間音楽ソフトマーケットレポート発表、総売上額が前年比0.2%減の2,866.9億円

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オリコンは、「2015年年間音楽ソフトマーケットレポート」(対象期間::2014年12月29日~2015年12月27日)を発表。音楽ソフト総売上額は2,866.9億円で、対前年同期比99.8%となった。

※以下、売上金額は売上枚数に定価・希望小売価格(税込)を乗じて算出。

【全体売上】

過去5年間の音楽市場年間売上額の推移
シングルとアルバムのオーディオソフト、音楽DVDと音楽Blu-ray Disc(以下BD)といった音楽映像ソフトを合わせた音楽ソフトの2015年の年間総売上の状況は、売上額が2866.9億円で前年比は99.8%と微減。売上枚数は1億210.6万枚で前年比は97.2%となり、金額、枚数ともに減少となった。

音楽ソフト市場は、音楽映像ソフトでの伸長に合わせて2012年に一度は上向くことになったが、それ以降は減少が続いており、当年含めて金額および枚数ともに3年連続の売上減となった。

主力メディアの切り替えが数年来続いている音楽映像ソフトは、BD売上の拡大がDVD売上の減少を補い、前年並みから微増の売上規模を維持。これに対してCDを中心とするオーディオソフトはシングル売上で前年の売上規模を維持したものの、売上額に占める割合の高いアルバム売上での減少が響いた。

オーディオソフトの2015年の年間売上は売上額が2139.7億円で前年比は99.1%。売上枚数は9154.8万枚で前年比は96.9%となった。一方、音楽映像ソフトの年間売上の売上額が727.2億円、前年比は101.7%。売上枚数が1055.8万枚で前年比は100.3%である。

盤種毎の状況では、シングルの売上額は604.4億円で前年比は100.8%。売上枚数は4451.8万枚で前年比100.9%となった。当年も「僕たちは戦わない」「ハロウィン・ナイト」などのヒットが生まれたAKB48を中心に、乃木坂46などの躍進も市場をけん引した。

アルバムは売上額が1535.4億円で前年比は98.5%と微減。売上枚数は4703.0万枚で前年比は93.4%とやや厳しい状況となった。1月にAKB48の『ここがロドスだ、ここで跳べ!』や三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの『PLANET SEVEN』、SEKAI NO OWARIの『Tree』などが相次いでリリースされたことで、当年上半期には売上額が前年同期比で101.5%と幸先の良いスタートを切ったアルバム市場だが、年間を通してみると、金額および枚数ともに前年を下回る実績となった。

音楽DVDの年間売上額は424.0億円で前年比は92.5%。売上枚数は681.8万枚で前年比は92.0%だった。これに対して、音楽BDの売上額は前年比118.0%の303.2億円となり、2009年の調査開始以来初めて300億円を突破。売上枚数は前年比120.1%の373.9万枚で調査開始以来6年連続の続伸となった。当年の主力商品のひとつである嵐の『ARASHI BLAST in Hawaii』のDVDとBDの売上比が5.5:4.5と売上差は狭まり、メディアの移行が進んでいることを示す一方、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの『三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2015「BLUE PLANET」』の売上比は7.5:2.5となり、DVDが依然として高いシェアを有していることからも、音楽映像ソフトの主力メディアのシフトは緩やかに進んでいるように思われる。

2015年 音楽ソフト市場全体売上
【ジャンル別シェア】

前年苦戦を強いられた「J-POP」が回復の兆しを見せている。2015年の「J-POP」売上額は2268.6億円で前年比は102.5%。売上枚数は7639.0万枚で前年比は99.3%となった。Mr.Childrenの約2年半ぶり、サザンオールスターズの約9年半ぶりとなるオリジナル盤が発売され、ともに特典付きの高額な商品形態もラインナップされているが、アルバム上位では多くの作品が同様の販売傾向であった。枚数においては前年比を下回っていることからも、特典付き形態を中心とした商品単価の上昇が要因と考えられる。

金額、枚数ともに伸びを見せたのが「アニメ・サントラ他」。売上額は258.3億円で前年比は108.9%、売上枚数の1136.1万枚で前年比は111.6%と全ジャンル中で唯一気を吐いた。その原動力となったのは「アニメ」に関連する商品群だが、なかでも『第66回NHK紅白歌合戦』にも出場したことで話題となったμ’sの『ラブライブ!』や『THE IDOLM@STER』の関連プロジェクトがけん引しており、いずれもアニメや声優を通したアイドル・プロジェクトであることが近年の特徴である。

反対に苦戦したのは「演歌・歌謡」「洋楽」と「ジャズ・クラシック他」の3ジャンル。「演歌・歌謡」は三山ひろしや山内惠介といった次世代勢が台頭してきたものの、全体的には20%近い減少となった。また「洋楽」はワン・ダイレクションやマルーン5らの新作に加え、『ザ・ビートルズ 1』の新装版も発売されたが約25%の減少となった。

2015年 ジャンル別セールス
【メーカー別シェア】

当年、著しい活躍をみせた三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEをha
じめ、Kis-My-Ft2、東方神起、EXILEやSKE48などの売上によってエイベックス・グループがトップを堅守。前年、『アナと雪の女王』のサントラ盤によって底上げされた売上を前述をはじめとするアーティスト作品で補い、4年連続のトップ獲得となった。

また、売上額で約倍増、売上枚数は約45%増となったトイズファクトリーが前年13位から7位に上昇。Mr.Childrenのアルバム『REFLECTION』を柱にSEKAI NO OWARI、BUMP OF CHICKEN、BABYMETAL、でんぱ組.incらの作品が追い風となったようだ。

2015年 メーカー別セールス
【アーティスト別シェア】

アーティストごとに年間総売上額を算出した当欄では、嵐が3年連続でトップ獲得となった。売上規模も昨年の138.2億円から前年比103.7%となる143.3億円を記録。前年同様、音楽DVDの売上効果が最も大きく『ARASHI BLAST in Hawaii』と『ARASHI LIVE TOUR 2014 THE DIGITALIAN』の新作2タイトルを核に、総合アルバムランキングの年間1位を獲得した『Japonism』やシングル「青空の下、キミのとなり」、「Sakura」といった作品売上も貢献した。

三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEのアルバム『PLANET SEVEN』を中心に68.6億円を売り上げ年間3位となった。売上額の前年比は188.9%と伸長を記録している。また、乃木坂46は1stアルバム発表によって、μ’sも認知拡大によってそれぞれ売上を伸ばした。

2015年 アーティストトータルセールス
<オリコンランキング・データ>
音楽・映像ソフトを販売している全国約23,480 店の調査協⼒店(CDショップ、レンタルや書籍などを扱う複合店、家電量販店、コンビニエンスストア、ジャンル専門店、インターネット通販)の店頭、またイベント会場等での販売実績をもとに、全国の週間推定売上枚数を算出。

オリコン調べ(oricon.co.jp

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