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「今年の俺達は止まらない!」SAKANAMON、遊び心と実験精神に溢れた『kodomo to otona』リリースツアーファイナルで高らかに宣言

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『SAKANAMON TOUR 2026 “kodomo mo otona mo”』2026.3.6(FRI)東京・Veats Shibuya

1月21日にリリースした7thミニアルバム『kodomo to otona』のリリースツアー『SAKANAMON TOUR 2026 “kodomo mo otona mo”』が3月6日(金)、Veats Shibuyaでツアーファイナルを迎えた。
民放初の乳幼児向けテレビ番組『シナぷしゅ』に提供した「すきなきもちもち」をはじめ、子供向けの楽曲と大人向けの、つまり普段のSAKANAMONの楽曲を藤森元生(Vo.Gt)曰く「ガッチャンコした」結果、『kodomo to otona』は持ち前の遊び心と実験精神がいつも以上に感じられる、ある意味振りきった作品となった。

その楽曲を軸にした今回のツアー。セットリストは一体、どんなことになっているんだろう!? そんなふうに興味津々だった観客も少なくなかったはずだ。演奏する本人達もそれは自覚していたらしい。いきなり1曲目に『kodomo to otona』から「ありありあり」を披露。観客に呪文をかけるように、<ありありありあり>と歌い始めると、シンガロング必至の「幼気な少女」、そして「ありありあり」のチアリーダーという歌詞からの連想なのか、同期で加えたチアリーディング風の女性コーラスがそれこそキャッチーだった「CATCHY」と繋げていき、スタンディングのフロアを一気に盛り上げた直後に藤森が観客に語りかけた言葉がこれだった。

「不思議なミニアルバムができてしまいました! セットリストがおかしなことになってしまったので、そこのところを楽しんでください!」

その言葉に期待がぐっと高まる。そこから立て続けに披露したのが今回のツアーの核心に迫る「鬼」から「うちゅうのかいぶつ」までの6曲だった。SAKANAMONのファンなら、その6曲の並びに彼ららしい遊び心と実験精神がかなり濃い目に表れていたことがわかるだろう。

雅楽の音色も使いながら、おどろおどろしい曲調がいつしかユーモラスでポップに変化していった「鬼」、ポストパンクとプログレを掛け合わせたようなバンドサウンドにナーサリーライム風のメロディーを落とし込んだ「丘シカ地下イカ坂」はともに、遊び心と実験精神という意味では『kodomo to otona』に通じる21年発表のコンセプトミニアルバム『ことばとおんがく』の収録曲。そこに繋げた「すきなきもちもち」はライブ初披露の時に使っていたおもちゃのラッパ、ガラガラ、ぷにぷにの音色を同期で鳴らしながら、この日はよりソリッドな演奏でリズムの力強さを際立たせる。

圧巻は音源のアブストラクトかつアトモスフェリックなサウンドを見事再現してみせた「jellyfish」。アコギを爪弾きながら歌う藤森の両脇で森野光晴(Ba)がサンプラーを操り、木村浩大(Dr)がパッドを連打するという珍しい光景も含め、この日一番実験的だったかもしれない。そして、藤森がエレキを、森野がベースを持ち、「jellyfish」の余韻からそのまま繋げた「追伸」はオルタナロックバンドの矜持とも言える轟音をダイナミックに鳴らす。

続く「うちゅうのかいぶつ」は、ボサノバをSAKANAMON流に咀嚼した曲調もさることながら、藤森のアコギ、森野のエレクトリックアップライトベース、木村のギロというアンサンブルも見どころだったが、それに加え、曲の中盤では藤森と木村によるリコーダーの重奏が飛び出し、観客に快哉を叫ばせた。「jellyfish」といい、「うちゅうのかいぶつ」といい、曲を作った時の遊び心や実験精神を、今度はライブにおける見どころに変えようというメンバー達のチャレンジが頼もしい。

『kodomo to otona』収録のSAKANAMON流のマスロックナンバー「アオイ」は、怒りのラップロックナンバー「ただそれだけ」から「CORE」「乙女のKANJOU」とたたみかけるように繋げ、ロックバンドとしてタフな姿を見せつけた流れでとどめを刺すように披露した。静から動へという変化を雨音のSEも使ってダイナミックに演出しながら、最後は轟音の演奏とエモーショナルな歌とともにライブバンドとしての底力を見せつけていった。

そして、ライブはいよいよ佳境を迎える。「今日は僕らの最強パワーを持ってかえってもらって、みなさんの生活の糧にしていただければと思ってます! みなさん、受け取ってくれますか? 後半戦行きます。よろしく!」

森野が上げた声に応えるように藤森がリードリフを奏で、なだれこんだのは「光の中へ」。「行くぞ!やるぞ!」という木村の声が響き渡り、観客が拳を振り始める。ロックバンド賛歌とも言える、このアンセミックなロックナンバーは、藤森が歌いながらバッキングのリフに加えるカッティングやフィンガーピッキングで奏でるボサノバ風のフレーズも聴きどころだ。ライブでこの曲を演奏する藤森を見るたび、歌いながらよくもまぁそんなテクニカルなプレイができるものだと感心させられる。ファンキーなロックンロールの「UTAGE」から繋げた「とのさまとファラオ」は、藤森が演奏している森野と木村にそれぞれ殿様のかつらとファラオの冠を被せるという遊び心も見どころだった。

そこからラストスパートをかけるように「SECRET ROCK’N’ROLLER」になだれこみ、シンガロングで観客の気持ちを一つにすると、SAKANAMONらしいアンセミックなロックと思わせ、<あなた>に歌いかけながら、藤森が聴き手の気持ちにぐっと踏み込んだことを思わせる歌詞が新しい「unique」、メンバー全員で渾身の演奏を繰り広げた「ハロ」と繋げ、まさにクライマックスという言葉がふさわしい盛り上がりを作り上げていった。

「unique」を演奏する前に「こんなミニアルバムを作れるようになったのも、18年間続けてきたからかなと思っております。ポンコツな3人組でございますが、我々が唯一、子供の頃から自信を持って、これは確かだと思えるものが音楽です。音楽には子供の頃から支えてもらいました。これからも音楽とは一緒に楽しくやっていこうと思っております」と語った藤森は続けて、「みなさんとも一緒に楽しくやっていきたいので、好きな音楽をずっと続けていきます!」と宣言すると、早速、新たなツアーを発表した。20年にコロナ禍で中止になった『LANDER』のリリースツアーのリベンジとなる『SAKANAMON 全国“着陸”ワンマンツアー〜今度こそ君の街まで〜』を6月~7月にかけて開催するという。

「今年の俺達は止まらない!」森野によるそんな言葉から始まったアンコールは、さらに2曲、「ミュージックプランクトン」と「TOWER」を披露した。ダンサブルなポップソングの「TOWER」では、藤森自ら腕を振って、ワイプを求めながら、ダメ押しするように観客にシンガロングさせたのだが、「私は大人だって思う人だけ(歌って)!」「今度は、私は子供だって人!」と巧みに観客を導いていた藤森が最後の最後に観客の歌声を一つにする時に言った言葉が、「子供も大人も!」ーー今回のツアーのタイトルだったのだから思わずニヤリとせずにいられなかった。

狙ったのか、たまたまだったのか、そんなところも見どころだったと思うが、もう1つ、「jellyfish」と「追伸」を演奏した直後に「楽しんでいますでしょうか?」と恐る恐る観客に尋ねた藤森が、「アオイ」を演奏しおえたあと、よほど手応えを感じたのだろう。開口一番、「楽しいね!」と言い放った時のかっこよさもまた、この日の見どころだったことを最後に付け加えておきたい。

取材・文=山口智男 撮影=ニイミココロ

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「Musicman大学」は世界の音楽業界の最新トピックスを解説。講師は『音楽が未来を連れてくる』の著者、Musicman編集長・榎本幹朗。「Talk&Songs」は月間500組ものアーティストニュースを担当するKentaが選ぶ、今聴くべき楽曲と業界人必聴のバズった曲を解説。

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