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vistlip 結成19年目を迎えるバンドの新たな挑戦、アルバム『DAWN』から聴こえるメンバーへの信頼

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今年2026年7月7日に結成19年目を迎えるvistlip。20年近くもの間、オリジナルメンバーのままバンドを続けてこられた理由を尋ねると「お互いがお互いの曲をリスペクトし合いながら、音楽に対して自然と良い距離感を保っていることくらい」という答えが返ってきた。そんな彼らが通算9枚目のアルバム『DAWN』を4月1日にリリースする。その制作エピソード、本作を携えた全国ツアーへの意気込み、そしてバンド結成記念日となる7月7日の恒例ライブの構想を、Yuh(Gt)と瑠伊(Ba)に訊いた。

――アルバムのリリースは前作『THESEUS』から1年3ヶ月ぶりになりますが、その当時から今作『DAWN』の構想はあったんでしょうか? それとも作りながら徐々に固まっていった形ですか?

瑠伊:後者ですね。それぞれが自由に今、作りたい曲を作って、選ばれたものたちに智(Vo)がコンセプトをつけてまとめてくれた形です。

Yuh:年間スケジュールを立てたときに、ツアーのタイミングでアルバムも出したいということになって、ツアーの日程から逆算する形でリリース時期も決まったんですよ。

■ここ数年メンバーに対して指定が多くなりがちだったので、今回はみんなに任せてみたら予想もしていなかったリターンが各所に散りばめられていて、すごく面白かったです。(瑠伊)

――なるほど。では、収録13曲のうち3曲の作曲を手掛けている瑠伊さんは、どんな曲を作りたいというイメージがあったんでしょう?

瑠伊:何年か前から“今まで作ってこなかったものを作る”というテーマが、個人的にあるんですね。今回の場合、自分の中での新しさに挑戦したのが「Figure」や「Last Order」で、例えば「Last Order」ではドラムンベースの要素を入れたかったんですよ。今まで全く触れてこなかったジャンルなので、そのへんを勉強しつつ、vistlipの中期頃に作っていたポップな曲の要素を掘り起こしていこうと。2026年の最新の瑠伊が作るポップ×ドラムンベースみたいなテーマで作っていきました。 

Yuh:この曲は1つ裏話があって。アウトロまではもともと自分が好きな感じの奏法だったりコード感を使ってるんですけど、全部のレコーディングが終わったあとに「アウトロの尺が変わったからギターソロを追加してほしい」と言われて、そこだけ後から追加したんですよ。元のアウトロは15秒とか20秒くらいだったのが、突然1分半くらいになったので、フレーズの引き出しを新たに探らないといけなかったのは大変でしたね。

瑠伊:それ、僕もメチャクチャびっくりしました! 元はアウトロにギターリフがついていて、ドーン!と曲が終わってたんです。ただ、僕が個人のスケジュールで歌録りに行けなくて、智に任せたら、Tohya(Ds)と話した結果「このリフいらないかも」ってことになったらしくて。だけど、それを排除したらアウトロが短すぎるということになり、じゃあ、と長くすることになったみたいです。なので、僕も仕上がりを聴いて「違う尺になってる!」とびっくりしました。

――結果、とても可愛くてオシャレなドラムンベース曲に仕上がったとは思いますが、作曲者として、違う尺になったことに異論はなかったんですか? 

瑠伊:いや。ここ数年、メンバーに対する「こう弾いて」とか「こう叩いて」という指定が、僕、割と多くなりがちだったんですね。なので、バンドの良さを改めて深掘りしたいなと考えて、今回はフレーズしかり、音色しかり、何にも言わず、みんなに任せてみたんです。そしたら、予想もしていなかったリターンが各所に散りばめられていて、完成形を聴いたとき、すごく面白かったですね。

Yuh:瑠伊の曲って、例えばジャズっぽかったり、もともとオシャレな感じが多いんですよ。そういった瑠伊らしさに新しい要素が入ってきたのは面白いし、自分的にも弾きごたえがあったというか。自分がvistlipでは使わないだろうと思っていたギターや音色を、結果的に使うようになったので、ギタリストとしての幅も広げられましたね。

Yuh(Gt)

Yuh(Gt)

――それこそ「Figure」は、ピアノやブラスを用いたジャジーな要素も強くて、瑠伊さんらしいオシャレ感のある曲ですよね。

瑠伊:ここ5年くらい“ジャズ×○○”みたいなテーマを掲げて、リリースごとに1曲ずつ書いているんです。で、前回やったのが“ジャズ×ロック”みたいなものだったので、さらに違う方向のロックをやってみたかったんですよ。イメージとしては、ちょっとスピード感があって、ジャズなのに音色がゴリゴリしているような曲ですね。

Yuh:そういう曲って作るのは難しいはずなのに、ジャジーにラウドっぽいギターリフも交ざって、ちゃんとロックでヘヴィな曲になっているのがメッチャいい。それこそ僕のギタリストとしてのキャラクターも踏まえた上で、vistlipだからできる唯一無二な楽曲に仕上がったなと思います。 

――間奏でもジャズとロックの掛け合いが印象的でした。

瑠伊:そこは、それぞれの楽器だったり、メンバーにスポットが当たるポイントが欲しかったんですよ。長尺のドラムソロにギターソロ、あと、海(Gt)にはラップで目立ってほしくて、それぞれにフォーカスできるセクションを作りました。

――そういう意味でも、ジャジーだけれどバンドの曲という意識が強いですよね。もう1曲の「ドクガエルとアマガエル」は、とにかくタイトルのインパクトがすごい。

瑠伊:この曲だけ書き下ろしではなく、前作アルバム『THESEUS』のときに書いていた曲をブラッシュアップして、再提出した結果、採用されたという形です。そしたら「どんなテーマで書いたらいいと思う?」というテーマ募集が、智からあったんですよ。で、オケまで仕上がった状態の曲を聴いたときに、なんとなく毒を持った蛙の鮮やかな色合いと、なんだか水っぽい感じが浮かんだんで、冗談交じりで「毒蛙」って送ったら、そのまま採用されて。「毒蛙」のワンワードから、こんなにオシャレで切ない歌詞になるんだ、さすがだな!と感心しましたね。 

――タイトルの毒々しさと曲調のポップ感に、相当ギャップがありますよね。

瑠伊:今回の3曲の中では、一番“THE 瑠伊”みたいな楽曲になった気がします。ちょっとR&B要素というか、シティポップ感のある曲は過去にも結構出してきたので、その最新版みたいなイメージですね。

Yuh:個人的には、そのシティポップ感プラス、ちょっとファンクっぽさを出したかったので、ガチガチに固めるのではなく、ライブっぽい感じで弾きました。サビとかも全部ノリで、楽しくラフに弾けた曲でしたね。最近の瑠伊曲は、そういうのが結構多くて、ガチッとコードを弾くことが僕のパートにはなかったりするんです。

 

――一方、Yuhさんの曲で今回アルバムに収録されているのが、ラストの「Drawing Dawn」ですね。

Yuh:はい。候補曲の段階では、もう少し僕の曲もあったんですけど、今回、僕から出した曲が全部バラバラの曲調だったんですね。その中で、今回のアルバムに合うものを……ということで並びを考えながら削っていくうちに、この曲のみになりました。

瑠伊:ホントにいろんなジャンルの楽曲があって、ハードなのもありましたし、8分の6拍子もありましたし。今回は収録されなかったけれど、楽器隊まではレコーディングした曲もありますね。8分の6の曲とか、あんまりウチにはない感じだったんで、弾いてて面白かったです。

――そんな中で選ばれた「Drawing Dawn」は、アルバムのラストを飾るにふさわしい壮大感のある曲になっていますが、Yuhさんはどんなことを考えながら作っていったんでしょう? 

Yuh:むしろあまり考えず、ラフに作っていきましたね。デモ段階では1コーラスしかなくて、普通にポップな曲だったくらい。だけど採用されてフル尺を作るとなったときに、ライブで楽しいだけの曲にはしたくなかったんです。ちゃんと展開をつけて、ギターソロが終わったあとのDメロとかでは、ファンの子と歌うセクションを自分的には入れたくて。そういう曲って今までのvistlipになかったけれど、往年のバンドってファンと合唱して曲に入っていったりするじゃないですか。そういう曲に憧れのある世代でもあるんで、また新たなスタートというものを想像しながら作っていった結果、本当にラストにふさわしい曲になって良かったです。

――ちなみに採用が決まった段階で、この曲をアルバムの最後にしようというのは決まっていたんですか?

Yuh:いえ、その段階では何も。ただ、曲順に関して言うと、リード曲の「未明」が1曲目、この「Drawing Dawn」がラストというのが最初に決まって、間の曲を埋めていく感じでした。

瑠伊:「未明」から始まる絵も見えたし、「Drawing Dawn」で締まるイメージもあったので、そこに対しては全く異議はなかったですね。

Yuh:その2曲に関しては、智としても歌詞の世界観が他の曲とは違ったみたいで、智とやり取りをする中で「とにかく『Drawing Dawn』はすげえ良い歌詞を書くから」とも言われました。出来上がった歌詞だけを見たらバラードみたいな印象で、その段階ではレコーディングが終わっていなかったから、この歌詞が曲にどう乗るのか楽しみでしたね。

――独特なワールドの歌詞を書く印象が強い智さんが、驚くほどストレートにファンに対する思いを綴っていて、私はちょっと感動しました。

Yuh:きっと今後も残していきたい曲という思いが智にあったから、なおさらそういった内容だったり、方向性になったんでしょうね。

 

――一方、Tohyaさん作曲の「未明」は静かな始まりを感じさせる曲で、まさに幕が開いていく景色が見えましたが、対照的にベースはかなり低音で押せ押せですよね。

瑠伊:フル尺のデモで、サビからバンドインするのを聴いたとき、すごく力強いというか、踏ん張って立っているようなイメージを感じたんです。それを自分のサウンドに落とし込みたいなと考えたときに、ああいう音作りになって。ミックスが上がってきた段階では、もう少し綺麗にまとまっていて、聴きやすい感じになっていたんですけど、とにかく力強さを表現したくて「もう一踏ん張り欲しいです」といじらせてもらいました。 

――Yuhさんのギタープレイもテクニカルで、とても“らしさ”が発揮されている曲だなと感じました。

Yuh:プロデューサーに「リード曲はMVにもなるから、視覚的にも目立つトリッキーなプレイをしてほしい」という提案をいただいたんです。なので、間奏はデモから倍の長さにして、得意のタッピングで弾き倒してみました。最大限の魅せるプレイをしたかったのと、一瞬落ちて壮大になる感じ、始まってまた駆け抜ける感じを表現したかったんですよね。

――実際、YouTubeに公開されているMVのショートVer.では、Yuhさんのギターソロがバッチリフィーチャーされていますよね。ちなみに、MV撮影はどんな感じだったんでしょう?

瑠伊:僕からすると、すごく迷惑をかけてしまった撮影でした。その時期、ちょうど個人で舞台に出演していたので(2026年2月『ReAnimation ~THE ORIGIN~』)、昼間は動けなかったんですよ。なので僕のスケジュールに合わせてもらって、夜中の撮影になったのが申し訳なかったです。ただ、僕がずっと熱望していた監督と5年ぶりくらいにご一緒できたのが嬉しくて! 仕上がりを見ても質感とかがすごく好きで、良いものができたなと思います。

Yuh:僕は今回のMVでアイマスクみたいなものを着けてるんですよ。そういう特異というかミステリアスな感じを出すことで、「この人、なんだろう?」って気になってもらえればなと。そこからvistlipのホームページやSNSを見に来て、興味を持ってもらう導入口になるように、今後、世に出るものに関しては、このスタンスでいってみようかなと考えているんです。

――あれを着けたままだと見えにくいとか、演奏しにくいってことはないんですか?

Yuh:見えにくくはあるんですけど、全然見えてます。去年、目の近くを怪我したときに、アイマスクっぽいものを着けてライブをやったことも何回かあるんですよ。そこからヒントを得て、コスプレ衣装とかを作ってる知り合いに改良したものを作ってもらいました。ただ、ライブでどうするかは気分次第なので、常に着けているとは限らないかもしれません。

■19周年の七夕は18周年の終わりでもあり、20周年に向けての新たなスタートでもあるので、みんなにお祝いしてもらいつつ、改めて走り出す日というイメージです。(Yuh)

――本作を引っ提げたツアー『Drawing Dawn』は4月18・19日の札幌公演からスタートしますが、同名タイトルになっている「Drawing Dawn」の歌詞から察するに、ファンとの繋がりがフィーチャーされるものになりそうな予感もしますね。それこそ合唱とか。

Yuh:まぁ、「Drawing Dawn」の合唱に関しては僕が勝手に言ってるだけなんで、どうなるのかわからないですけど。今まではアルバム制作の際に、ライブ感というものを意識していた部分があったのが、今回はより“作品”というところを考えて作ったイメージが強いんですね。もちろん、6曲目の「Bedtime Story」は前回のシングル「UNLOCKED」(2026年1月リリース)の収録曲で、もうライブでもおなじみの曲ですから、ライブ感に対する意識が残ってはいるんですよ。ただ、だからこそ5曲目に「Close Your Eyes.」というSEが追加されて連作になったことで、アルバムに違和感なく入り込めた感があるんですね。

――SEの「Close Your Eyes.」がついたことで色っぽいムードが出て、作品力が増してますよね。

瑠伊:ここ数年Tohyaが入れ込んできているエスニック調なフレーズが使われていて、おかげで雰囲気がグッと引き締まって良いですよね。同じTohya曲で言うと、10曲目の「Wait for Me,My Ghost」もライブで映えそうだし、お気に入りの曲です。「Tohyaって、こういう曲書くよね!」っていう感じがして、絶対アルバムに入れたかったんですよ。

Yuh:僕も「Wait for Me,My Ghost」はすごく好きで、特にカッティングの音色に自分が影響を受けてきたものをアウトプットできたのは楽しかった。そうやって作品として突き詰めていった曲たちがライブでどうなるのか、未知数なんですけど楽しみではあります。

瑠伊:ウチってアルバムツアーになると、バンド側もファン側もちょっと硬くなってしまう傾向があったんですよ。コッチもかっこつけすぎちゃうし、そのシリアスな空気にファンも吞まれてしまうというか。ただ、前々作の『M.E.T.A』(2022年3月リリース)のあたりから、徐々に良い方向になっていって、楽しいツアーが作れるようになってきているんです。しかも、前回も前々回も東名阪の3本だけだったのが、今回は8都市も回れるので楽しみでしかないですね。

瑠伊(Ba)

瑠伊(Ba)

――そして7月7日には恒例の周年ライブがZepp DiverCity(TOKYO)で行われますが、ちょうど結成19周年になる今年は20周年へのスタートとも解釈できるわけで、そこは意識してますか?

瑠伊:もちろん意識してます。やっぱり20周年って、すごいと思うんですよ。なので、それを迎えるにふさわしいバンドに残り1年ちょっとで成長しなきゃいけない!っていう、焦りではなく意気込みは、すごくありますね。

Yuh:僕も、完全に20周年に向けての意識しかしてないです。19周年の七夕は18周年の終わりでもあり、20周年に向けての新たなスタートでもあるので、みんなにお祝いしてもらいつつ、改めて走り出す日というイメージですね。 

――ここで伺いたいのですが、20年間オリジナルメンバーのままバンドを続けるって、並大抵のことではないと思うんです。それを叶えられた秘訣や秘密って、いったい何なんでしょう? 

瑠伊:うーん、僕らは“続いた”バンドしか経験してないんで、それが当たり前という感覚なんですよね。10代の頃はともかく、ある程度大人になってからは脱退とか解散というものを経験していないので、わからないんですよ。

Yuh:続けようとして続けているわけじゃないというか、延命を目的に活動しているわけでもないですし。もちろん、今までいろんなことがあったし、きっと今後もあるとは思うんです。ただ、やりたいことは自分たちでやれる環境ではあるし、やりたい音楽がそれぞれ違うのも最初からわかっているので、音楽性の違いもクソもない。お互いがお互いの曲をリスペクトし合いながら、音楽に対して自然と良い距離感を保っていることくらいでしょうか。

――なるほど。きっと5人全員の懐が深いんでしょうね。

Yuh:うーん、わかんない。

瑠伊:深いときも、浅いときもありますよ。ただ、今は浅い時期だなというのを肌で感じて、じゃあ深く言おうかなとバランスを取り合っていたりするところはあるのかもしれない。

――そこも20年一緒にいたからこそですね。さて、20周年に向けて、我々はどんなvistlipを見られそうでしょうか?

瑠伊:今まで19年フレッシュな気持ちで突っ走ってきたんで、ちょっと貫禄出しちゃおうかなとは思ってます。僕、個人的には。 

Yuh:僕も若手の子とかを見ると「ヤバい、いつまでもフレッシュでいちゃダメだな」って感じることもあるんですよ。実際、曲も含めて大人っぽさを見せられるようになってきているとは思うので、そこは磨いていきたいですね。20周年に向けては、いろいろ僕らもプランがあるので、本当に楽しみにしていてください。

取材・文=清水素子

 

 

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