羊文学、グラミー賞受賞アーティストwet legの来日公演に登場 国境も世代も超えた圧巻のステージ・レポート
昨年リリースしたアルバム「Don’t Laugh It Off」を携え、本日から「SPRING TOUR 2026」がスタート。2026年の活動を本格的にスタートさせる、羊文学。その公演を目前に控えた2月18日、豊洲PITにて開催された英国出身のグラミー獲得インディー・バンドであるwet leg(ウェット・レッグ)の2度目となる来日公演のゲストとして登場した。
会場はソールドアウトしているだけあって、開演前からごった返し。海外から足を運んだと思われる人々や、長年洋楽ロック愛していそうなリスナー、もちろん若い世代など、幅広いオーディエンスが集結。ふだん日本語の楽曲に親しんでいない人も多いせいなのか、腕組みしながら開演を待つ姿もチラホラと見受けられた。
その空気のなかで会場が暗転し、ステージ上に立つ塩塚モエカと河西ゆりかが照らされる。全身黒のコーディネートでお互い向きあいながらギターとベースを力強く掻き鳴らす姿に、それまでクールな表情をしていた人も圧倒されていた様子。筆者も久しぶりに彼らのステージを拝見したのであるが、放つオーラが余計な思考を停止させられるというか、その世界にグッと引き込まれてしまうパワーを感じた。
また、サポート・ドラムとして参加しているYUNAとのアンサンブルも息がぴったりな印象で、20年発表の「mother」をオープニングにパフォーマンス。UK出身バンドとの共演ゆえに、この選曲だったのかもしれないが、90年代当時のシューゲイズを連想させるサウンドに、親密さを感じている様子であるのはもちろん、ビジュアルからするとスマートな音楽を響かせそうな印象であるのに、その骨太かつ切れ味の鋭い音の圧に驚愕している様子がうかがえた。
続く最新アルバムに収録された「doll」では、ガレージ・ロック的なスピード感とキメの粗いサウンドを展開。あらゆる邪念を取り払い、音楽に没頭させるような引力を感じさせるエモーショナルなパフォーマンスに、会場のボルテージはさらに上昇。開演前はほとんどの人がコートや上着を着用していたが、この楽曲が終えた頃にはほとんどの人がそれを小脇に抱えながら魅了されていた様子。そして、楽曲が終了すると歓声が響き渡ったのだ。
バンドの演奏力の凄まじさを感じさせたオープニング2曲に続き、こちらも最新アルバムからの「いとおしい日々」を披露。インディーズ時代を連想させる軽やかなサウンドでありながらも、進化を感じさせる塩塚と河西が織りなすハーモニーや紡ぎだすグルーヴに、身体を揺らすオーディエンスが多数。(会場内はとんでもない蒸し暑さになっていたものの)歌詞・日本語を理解できない人も心地よい春の景色、もしくはいとおしい何かを想像していたのではないだろうか。
続く20年発表の「砂漠のきみへ」でも美しいコーラスを響かせながら、終盤ではノイジーなサウンドに変化。スリリングなサウンドで、観客をさらに彼らの世界へと導いたなか、海外公演でも人気の高い「Burning」をパフォーマンス。イントロからまさに<燃え上がる>ようなバンド・サウンドを轟かせ、観客は興奮状態へ。また照明も楽曲の展開にあわせた演出になっており、サビの部分では開放感というか、祝祭的なムードに。多くの人が身体というか魂を燃やして彼女らの演奏に釘付けになっている様子が伝わってきた。ゆえに、演奏後には大歓声が巻き起こっていたのだった。
続く23年発表の「honestly」では、彼女らの誠実な姿が伝わってくるパフォーマンスを披露し、彼女らを世界に導いたTVアニメ「呪術廻戦」第2期「渋谷事変」ED主題歌「more than words」へ。これまでの披露曲以上にクリアに力強く響く塩塚のボーカルと、思わず足踏みしたくなるようなグルーヴを展開し、言語や世代などの枠を超えた一体感を会場に生みだしたのだった。
パフォーマンスするごとに盛り上がりをみせてきたが、彼女らのステージは終盤に突入。最新アルバム収録のメロディアスなナンバー「愛について」を披露。シンプルで温かみの伝わるサウンドと美しい旋律に、会場(もしくは世界)が優しくなった雰囲気に。いつまでも没入していたい陶酔感に包まれたのだったが、ラストの「Addiction」にて再びエモーションが炸裂。シューゲイズやグランジなどを連想させるバンド・サウンドからは、彼女らのプリミティブな衝動が伝わってきたというか。どういう環境においても、自身の信じる音楽(バンド・サウンド)を追求していくという力強いまなざしを感じ取ることができたのだ。
40分という短い時間であったものの、彼女らの逞しさ、現在を充分に感じることができたステージだったと思う。彼女らも充実を感じていたのであろう、パフォーマンス中はストイックな表情であったが、笑顔を浮かべて観客からの歓声や拍手に応じていた。
そのステージ後に登場したwet legのパフォーマンスは、音楽に対するストイックさを感じさせながらも、より祝祭感が伝わる構成に踊りまくる観客が多数。これは羊文学が、熱狂をもたらした余韻が大きく影響されている部分があるのかも。途中のMCでは、彼女らも羊文学の演奏に魅了されたのか「so sweet」と絶賛。また(おそらく)終演後のバックステージで仲良く撮影した画像をSNSに投稿するなど、親交を深めた様子だ。今後の共演にも期待したい。
まもなくスタートする全国ツアーでは、さまざまなステージを経てさらに進化し力強くなった彼らを余すところなく体感することができるだろう。今夜感じた祝祭的なムードも、ステージのどこかに散りばめられているのかもしれない。
昨年、日本武道館2daysと大阪城ホールを含む過去最大規模のアジアツアーと初のヨーロッパツアーを行うなどグローバルな舞台へと活躍の場を広げている羊文学。
3月25日に新曲「Dogs」(Netflixシリーズ「九条の大罪」主題歌)が配信リリース。
3月29日には日本武道館公演を収録したライブ・フィルム「Hitsujibungaku Asia Tour “いま、ここ(Right now right here.)” at日本武道館」(劇場版5.1ch)を全国47都道府県の映画館で一夜限りの一斉上映が決定。
フォトグラファー:Boris Halas
ライター:松永尚久
ポッドキャスト概要:
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