w-inds.2025年を総括するオフィシャルレポートが到着 2026年3/14からはいよいよ25周年イヤー突入
2026年に25周年を迎えるw-inds.―――――。2024年から新旧織り交ぜたライヴを創り上げ、共に歩んできてくれたファン達と一緒に過ごした歴史を丁寧に振り返りながら、25周年に向けての階段をゆっくりと一段ずつ登ってきた今、ついに25周年の時を迎えることになる。こんなにも大切にアニバーサリーイヤーを迎えるアーティストが他にいるだろうか? きっと彼ら以外、居ないだろう。足掛け3年。彼らが大事に周年イヤーに向けて歩んだのは、ここまで共に歩んでくれたファン達への感謝の気持ちそのものであったに違いない。
2021年に新体制になったとき、一度は立ち止まりそうになった自分達が居たからこそ、その後ろ向きな想いを拭い去り、前を向かせてくれたファン達の存在がどれほどまでに大きく尊いものかということを、彼らは知っているのだ。2人は今、“とにかくみんなの喜ぶことをしたい。みんなの為に歌いたい”と言う。その想いは、2026年に届けられることになるーーーーー。
2025年もあとわずかとなった中、彼らは11月14日に生配信を行い、2026年3月14日の神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールを皮切りに、「w-inds. 25th Anniversary Best Single LIVE TOUR 2026 “GOLDEN SINGLES”」と題した全国11都市でのライヴツアーを発表した。このライヴツアーは、彼らのその時々の代表曲となってきたシングル曲を中心にセットリストが組まれるツアーになるというから、ファンのみならず足を運びたいと思えるツアーになることだろう。
ここでは、そんな25周年イヤーを目の前にしたw-inds.の2025年と、25周年を迎える為にあった過去のライヴからの流れを振り返ってみようと思う。2025年に慶太と涼平と最初に顔を合わせたのは、2024年7月13日の埼玉の初日を皮切りに、国内外・追加公演含め18公演で行われた「w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”」の最終地点であった1月17日の横浜パシフィコ横浜大ホールでのことだった。2024年から2025年に渡り、年を跨いで届けられたツアーだったこともあり、最初に見た2024年7月28日に行われたNHKホールでのライヴが随分と昔のことの様に思えた感覚だったのだが、それは単純に年を跨いだからだったのではなく、全く違うライヴかと思う程の成長を感じたことも、はっきりと覚えている。
そしてその後、2人とゆっくり話をしたのは、3月26日にリリースされた16枚目のオリジナルアルバム「winderlust」の音源インタビューのとき。ライヴの感想を伝える流れで、25周年を前に“Nostalgia”と銘打ったツアーを目論んだ意味を訊いた。慶太はその問いに“自分達だけでは辿り着けなかった今や、25周年という一つの大きな節目を大事にする為に、そこに向けて大事に向き合いたいからこその第一歩であった。25周年に向けて新たなリリースも交えながら、過去のw-inds.にも最新のw-inds.にも向き合いながら、25周年目に迎えたらいいなと思ってる”と答え、涼平は“1年はあっという間だから、25年の歴史を振り返るには足りない。「w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”」をまわっても振り返り切らないから、”Nostalgia”ではやれなかった曲も網羅出来たらという想いで「w-inds. FAN CLUB LIVE 2025″Nostalgia:Echoes”」という場所も作った”と答えた。つまり、2人は25周年目に向けて”Nostalgia”で助走をつけたというのだ。
また、話を聞いていくうちに、彼らが”Nostalgia”で自らの原点に立ち返ってみようと思えたのは、25周年という節目だけではないことを知ることになった。それは、2023年に開催したツアー「w-inds. LIVE TOUR 2023 “Beyond”」、更には2022年に開催したツアー「w-inds. LIVE TOUR 2022 “We are”」にまで遡ったものだった。2人は、2022年の「w-inds. LIVE TOUR 2022 “We are”」、2023年の「w-inds. LIVE TOUR 2023 “Beyond”」、2024年の「w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”」という新しい体制になってからのツアーは、自分達の新しい可能性や在り方、どういうパフォーマンスをしていったらいいのかを探し求めてきた3年間だったと言い、ツアーを通して改めて自らがw-inds.というグループと向き合った時間を過ごした中で、徐々に光が見える様になり、前向きな気持ちになっていった心情の変化が、2025年のツアー「w-inds. LIVE TOUR 2025 “Rewind to winderlust”」に現れていったのだという。彼らの中で、その全てが25周年を迎える為のなくてはならない時間であり、この時間があったからこその“現在”であり、全ての経験こそが必要不可欠であったと2人は声を揃えて語ってくれた。
2021年11月24日にリリースされた14枚目のオリジナルアルバム「20XX “We are”」は、2人になって初めてのアルバムであり、一言で言い表すのであれば、ジャンルレス。w-inds.のサウンド面(作詞・作曲)の全てを担ってきた慶太は、常に最先端をキャッチし、それをw-inds.の楽曲の中に落とし込み、アルバムとしてのトータルバランスを考えて構築してきたのだが、このアルバムでは新体制になったことへの想いが強く影響していたのか、これまでのw-inds.にはない楽曲達にチャレンジしていることが伺えた1枚だった。もっとわかりやすく言うのであれば、“世の中のダンスシーンの流行りを取り込む”ことではなく、“今やりたいこと、やるべき曲を追求する”といったところだ。そんな慶太の提案に全信頼と共感を寄せていた涼平も、全く同じ考えだったという。
そんな“新体制の基盤作り”ともなった「20XX “We are”」をリリースし、ファン達の反応を直に目にした彼らは、翌年の3月14日にリリースされた15枚目のオリジナルアルバム「Beyond」を作り上げたのだ。「Beyond」は、「20XX “We are”」で振り切ったおかげで、いろんな気持ちを超えて制作に挑めた1枚であったという通り、デビュー当時からw-inds.の楽曲を手掛けてきた、葉山拓亮、松本良喜、今井了介といった作家陣に楽曲提供を依頼した楽曲が収録されていた、実に印象的な作品だった。彼らが何の迷いもなくそこに立ち帰れたのは、“慶太が作るw-inds.의 音楽”というものが確立されたことの証明だったと言える。彼らはきっとこれを期に、ここで、過去と現在を同居させることに対することに抵抗や特別感を抱く感覚がなくなっていったのだろう。当時、“今のw-inds.というものをしっかりと確立させてくれたからこそ、自分達もちゃんと過去の自分達に敬意を持ってそこに立ち帰ることが出来た”と語っていた言葉が、それを物語っている。
そんな想いこそが、翌年の「w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”」へと繋がっていったのだろう。そして、2025年の3月にリリースした16枚目のアルバム「winderlust」。このアルバムを聴いた時に感じたのは、「w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”」を観た時ととても近い感覚だった。その感想を受け、2人はこう答えた。
「自分でも感じる。やっぱり最初に話した様にどうしても過去に縛られたくない自分達が居たから、もがいてた感じもあったから。そういうのが一切なくなって向き合えたんだよね」(慶太)
「”Nostalgia”やって再確認出来たところだったと思う。w-inds.の形が新しくなることになったとき、w-inds.を続けていくのか、どうするのか?っていう話も出たんですよ。そんな中で、ここで止めてしまったら、過去に生んできた作品をw-inds.として歌うことはなくなってしまうんだなって考えたとき、作品を終わらせてしまうことや、応援してくれてきたみんなの思い出まで無くしてしまうんだなって思ったら、絶対にそんなことしちゃいけないって思ったんだよね。そこの想いがすごく強くあって。そんな気持ちをここまでのツアーで形にできたからこそ、新たに自分達と向き合えたことで、「winderlust」が生まれたんだと思う」(涼平)
まさに「winderlust」は、2人の言葉通りの意図を感じ取れる1枚に仕上がっていた。彼らは、頑張って前を向こうとしていた時期を乗り越え、自然と前向きな気持ちになれたのである。そして、2025年7月5日の埼玉を皮切りに全国12ヶ所14公演で行われた「w-inds. LIVE TOUR 2025 “Rewind to winderlust”」で、これまで以上に振り切った、最高のw-inds.のステージを魅せてくれた。それは、最新の彼らである「winderlust」と過去を同居させ、それらを実に素晴らしい配置で届けた現時点でのw-inds.の集大成であった。それは、ライヴ中、“w-inds.、今が一番カッコいいって言っても過言ではないかも”と思えた程に、最高の輝きを感じた瞬間の連続だった。
透明な光がステージから客席に向けて強く照らし付けられる中、それぞれの個性を活かした黒を基調としたスタイル違いのクールな衣装を身に纏い、ニューアルバム「winderlust」の中でも特に刺激の強い「Zip It」から幕を開けたライヴは、3曲目には早くも「try your emotion」、6曲目には「ブギウギ’66」と過去曲を挟み込んで、新旧を双方の魅力を最大限に活かした流れは、とても潔く、清々しいステージだった。客席から一際大きな歓声とクラップが湧き上がっていた7曲目に届けられたアグレッシブなダンスチューン「Who’s the Liar」では、25周年の完成形が見えていた。
毎回、慶太と涼平が主体となり、スタッフと共にセットリストは決められていくのだというが、“ライヴは生物”という言葉がある様に、ライヴは発信側の彼らだけでのテンションはなく、集まったオーディエンスと共に作っていくものであることから、届ける土地が違えば面白い程に盛り上がる楽曲やタイミングも変わってくるのだ。もはや2人は、そんな違いを手放しで楽しみ、その先のセットリストの選曲の参考にしている様で、この日も、「Who’s the Liar」で毎回確実な手応えを感じていることをオーディエンスに伝えていた。これは本人達的にもライヴを実際にやって直に掴んだ感覚だったのだろう。彼らは“「Who’s the Liar」が成長できたのは、みんなが曲を育ててくれたおかげ”だと言った。オーディエンスは、その2人の言葉をとても嬉しそうに抱きしめていたのだった。共に歩んできたことへの喜びだったことだろう。
このライヴでは中盤にそれぞれのソロ曲が披露されたのだが、慶太、涼平それぞれのソロは、より一層新体制になってからの2人の成長を物語るものでもあった。怪しげで激情的なインダストリアルナンバー「ORIGINALISM」をワイルドに届けた慶太と、透き通るような声質を活かし、アンニュイな空気感を漂わせ感情を吐露した「The End of Waiting」を幻想的な表現力で届けた涼平。2021年の11月24日にリリースされた14枚目となるニュー・アルバム「20XX “We are”」(2人体制になって初のシングル「BeautifulNow」も含む)から彼らは2人でリードヴォーカルを担うことになったのだが、根っからの慎重派である涼平は、自分がメインで歌うことに対してかなり消極的であった。これに対し、全てのプロデュースを手がけていた慶太は、デビュー当時から涼平の歌唱スキルを高く評価し、もっと歌っていくべきだと見抜いていたとあって、かなり強く涼平の背中を押していたのである。涼平にとっては手探り状態ではあったが、さすがは慶太が見抜いていただけのことはある。誰もが認める絶対的なスキルを持つ慶太と共に歌っても、全く引けをとらない見事なまでのリードヴォーカルを聴かせてくれたのだ。今となってはすっかり“ツインヴォーカル”が定着し、2人だからこその強みをw-inds.の新たな武器としているが、その裏には涼平の大きな努力と、涼平の魅力を最大限に引き出した慶太のプロデューサーとしての導きがあったからこその結果である。
ちなみに、この「ORIGINALISM」も「The End of Waiting」も、このツアーの中でソロ曲を届ける為に慶太が作曲した楽曲であり、「The End of Waiting」は、その中から(10曲程あったのだとか)涼平が選んだ1曲であったという。2人体制になってからの初のアルバムももちろん、既存曲に関しては歌割りも振付の立ち位置も全て1からインプットし直した上で臨んだツアーこそも、相当手探りであったに違いないし、ファンのみんなとも新体制という意味では初めての対峙であった故に、常にファンファーストの心を大切にしている2人にとっては、いろんな角度からファン達の心情を考えたであろうことで生まれた心配や不安要素もあったに違いない。しかしながら、2人体制になってからわずか4回目にして、ツアーの為に楽曲を作るまでのこだわりと糊代が備わっていたことに、驚きと感動を隠せなかったことも、ここに記しておこう。
「もう2人で活動する様になって何年も経ちましたが、いろんな想いがありながら必死で前を向いてきました。でも、今、とても自然体で自分達の音楽をみなさんに届けられているんじゃないかなと思います。みんなも日常的に辛いことがあると思うけど、いつか本当に自然に前を向ける日が来ると思うので、諦めず、無理せずに頑張ってください」(慶太)
そんな慶太の言葉から繋げられた「One more time」は、この日、この瞬間の為に作られた楽曲だったと言えるほどに、オーディエンスを惹きつけていたことも、とても印象深い景色として記憶に残っている。
“全て上手くいかない そんな時もyou make me shine 君といれば何も怖くない この先に何があっても 湧き上がる想いの全て 果てないVisionを描いて 想像を超えた未来へ”“ありのまま たとえ弱い自分も受け入れて 本当の強さはその先に感じるから”
そう歌われるこの曲の歌詞は、彼らがこの3年でリアルに感じてきた想いそのものである。慶太と涼平は、そっと隣に寄り添うかの様に、どこまでも優しい歌声でオーディエンスをあたたかく包み込んだのだ。この気持ちの全てこそが、2人は今、一番大切にしているものであり、“とにかくみんなの喜ぶことをしたい。みんなの為に歌いたい”と願う意味なのだ。
また、今回のツアーは3本の海外公演も開催された。10月4日に香港、11月20日に広州、11月25日に上海、11月29日に台湾でライヴを行ったのだが、11月20日の広州公演は「w-inds. LIVE TOUR 2025 “Rewind to winderlust”」の海外追加公演として行われた公演であり、単独公演では初めて訪れた場所でもあったのだ。多くのアーティストが日本での知名度と海外の認知度が比例しないもので、日本のアーティストが海外でライヴを成功させるのは何大抵なことではない。しかしながら、w-inds.の場合のアジアでの知名度と人気は素晴らしく高く、集客も日本と変わらない会場をソールドアウトさせる勢いを持っているのだ。初めての単独公演でもあった広州公演では、既存曲の全てをオーディエンスが共に日本語で歌って声を重ね、初めてパフォーマンスされる「winderlust」の曲達になると1番は真剣な眼差しで見つめて曲をどう盛り上げていくかを研究し、2番からは既存曲と同じ温度で共に歌いながら、どんな特効よりも最強な客席からの歓声を加えて各曲を本当の意味での完成形へと導いていたのだった。
結成当時、なかなか日本のメディアの露出に恵まれなかった彼らが、その現実をマイナスと受け取るのではなく、“自分達のできることを精一杯で頑張ればいい”というプラスの思考に切り替え、早くからアジアに向けての活動を開始したり、作曲面でも慶太が海外の楽曲流行の傾向を探究し、持ち前の楽曲センスを更に磨き上げていったことが現在の結果に繋がっているのだろう。2004年に初の海外単独公演を台湾で開催して以来、コツコツとアジアに足を運び、ライヴを重ねてきた実績こそが、今の彼らを作ったのだ。しかしながら、海外公演の追加公演とは、実に素晴らし過ぎる現実である。
2026年は目の前。25周年という大きな節目となる1年は、w-inds.もw-inds. crewもきっと、お互いの存在を改めて大切に感じることができる時間になるに違いない。2026年3月14日の神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールを皮切りにスタートする全国11都市でのライヴツアー「w-inds. 25th Anniversary Best Single LIVE TOUR 2026 “GOLDEN SINGLES”」と25周年の今のリアルな想いが詰め込まれた新たなアルバムを楽しみにしているとしよう。2026年がw-inds.とw-inds. crewにとって、素敵な1年でありますようにーーーーー。
文章:武市尚子
ライブ写真:宮脇進
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