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JUJUの世界をさらに深く大きく広げたアルバム『The Water』を携えたホールツアー最終日、“JUJUの日”の東京公演を振り返る

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JUJU

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JUJU HALL TOUR 2025 The Water
2025.10.10 東京・国際フォーラム ホールA

10月10日の“JUJUの日”、東京・国際フォーラム ホールAで『JUJU HALL TOUR 2025 The Water』のファイナル公演を観た。7年振りのオリジナルアルバムのリリース、待望のオリジナルアルバムツアー、そして10月10日はJUJUの日。JUJUと、その歌に心癒され、その生き方に励まされてきたファンの思いとが、一つに繋がる日。今年もまた、素敵な夜になりそうだ。

ステージ前に下りた薄い紗幕、揺れる水と流れるしずく、美しい青、アンビエントな音像、静かに語るポエトリーリーディング。水のようにあるがままに形をかえて生きていけたなら。「The Water –Prelude」の幻想的なオープニングを経て、幕の向こうでJUJUがそっと歌いだす。つづくバラード「こたえ」でファンの心をぐっとつかむと、パステルカラーの色彩に包まれた「ミライ」、力強くビートを刻む「こたえあわせ」へ。弦カルテットを含むバンドの、ゴージャスかつしなやかに演奏に乗せて、沁み入るように歌が届く。鮮やかな青いドレス、青いヒールが目にまぶしい。

「東京のみなさま、こんばんは、JUJUです。10月10日のこの日にみなさまとお会いするのを、とても楽しみにしておりました」

第一声は、おしとやか。だが次第に口調がくだけて、“水”をテーマにしたニューアルバム『The Water』を語る言葉に熱がこもるJUJU。このツアーの選曲も“水”がキーワードで、アルバムからの軽やかなシティポップ調の「春の嵐」に加え、雨の音に導かれた「桜雨」、弦とピアノの壮大なバラード「空」と、過去曲もまた水や空気の気配を濃厚に含んでみずみずしい。桜の花びらを映し出す映像、JUJUが光の中に浮かぶような照明など、歌の世界を際立たせる舞台効果も素晴らしい。

「私には、みなさんと一緒にいる時にだけ感じられる“The Water”があるんです。今から、そのゾーンに突入します」

“The Water”とは、汗や涙に象徴される水の成分だけでなく、人と人とのふれあいの中で生まれる水のような何か。JUJUらしい言い回しだが、聴けばよく伝わってくる。「やさしさで溢れるように」は、観客全員のクラップと手振り、そしてJUJUにマイクを向けられての大合唱で一体感いっぱいに。心の繋がりが目に見えるような、とても幸せな空間。

さらにベースソロをはさんでシーンは一変、「Bet On Me」「STAYIN’ ALIVE」「What You Want」「WATCH WHAT YOU BE」と、ダンサブルなアップチューンを連続投下してぐんぐん飛ばす。「STAYIN’ ALIVE」でのキャノン砲、「What You Want」のポップでカラフルな映像も、盛り上げ効果抜群だ。

メンバーの名前をビジョンに映しながらソロ回しで盛り上げる、スマートなメンバー紹介を経てライブは中盤へ。アルバムの中から、平井堅と松任谷正隆がJUJUに贈った「ぐらぐら」は、しっとり濡れて艶っぽく、アダルトな歌謡R&Bの魅力たっぷりに。さらに「幻火」「一線」「愛の嘘」「いいわけ」と、ミドル/アップテンポの曲を連ねてぐんぐん引き込む。弦カルテットの華麗な響きが、しなやかでグルーヴィーなバンドサウンドによく映える。

「ありがとうございます。どうですか、みなさんと一緒にいる時にだけ感じられる“The Water”はありましたか。私はたくさん感じられました」

デビュー当初は、ライブと書いて“こわい”と読んでいたが、今はライブと書いて“だいすき”と読むようになりました。「そうさせてくれたのはみなさんです」と、しみじみと語る言葉に重なり合う、包み込むようなあたたかい拍手。デビュー21年目を迎えて、なお進化中のJUJU。その原動力になるのはファンの声援、拍手、愛情、そして水のような何か。

「JUJUに出会ってくださった、すべての“あなた”に、この気持ちを届けられたら嬉しいです。みなさんは、みなさんにとっての大好きな“あなた”を思い浮かべながら聴いてください」

まばゆい光に包まれた荘厳なバラード「YOU」は、JUJUからあなたへの心からの贈り物。曲を締めくくる素晴らしいロングトーンから、この歌に込めた思いの強さがにじみ出る。そしてライブの終わりを飾る「The Water」は、会場いっぱいのコーラスと手振りと共に、強く優しくあたたかく。それはアルバム『The Water』のメッセージを余すことなく伝えきる、全体が一つのドラマのように構築された濃密な時間。

そしてアンコールでは、嬉しいお知らせが聞けた。来春、 Request Cover シリーズ最新作となるアルバム『昭和洋楽 純喫茶JUJU『時間旅行』produced by松任谷正隆』のリリースと、『JUJU HALL TOUR 2026 純喫茶JUJU『時間旅行』 演出:松任谷正隆』の開店決定。JUJUに歌ってほしい、昭和の時代を彩った洋楽の名曲は、オフィシャルHPで現在募集中(10月31日まで)。「スナックJUJUのママが行方不明なので、私が純喫茶をやります」とJUJU。どんなお店になるのか、リリースと開店が今から楽しみだ。

アンコール1曲目の「ハリシア」は、JUJUを支え続けるファンに向けての思いを綴った、アルバム『The Water』の中でも特別に大事な1曲。《I wanna be your super star》という歌詞を、「スーパーマーケットのように私の歌を日常使いしてほしい」と言い換えて紹介するところが、いかにもJUJUらしい。私はあなたのスーパーになりたい。寂しくなったら、疲れたら、声が聴きたくなったら、いつでもいらっしゃい。

さらに「花」「小さな歌」を歌い、たっぷり3時間近くのライブは幕を下ろした。頼れるバンドメンバーをもう一度紹介し、会場のすべての方向へ拍手を贈るJUJU。7年振りのオリジナルアルバム『The Water』は、JUJUの世界をさらに深く大きく広げてくれた。来年はまた新たなステージが待っている。JUJUの歌を日常使いしながら、次に会える日を楽しみに待とう。

取材・文=宮本英夫 撮影=キセキミチコ (KISEKI inck)

 

 

@musicman_nusicman