ka-yu
ka-yu THE LIVE -August 2025-
2025.8.30 新宿LOFT
晩夏にして猛暑日となった新宿の地を、いっそう熱く燃え上がらせた男。それは激しくベースを弾きながらも歌い倒し、しゃべくりまでやってのけるka-yuその人であった。
かのJanne Da Arcに在籍していた頃から、ソロプロジェクト・DAMIJAWや、松本和之名義での個人活動も行ってきた彼が、2024年から本格化させたka-yuとしてのソロ活動をここに来てよりフルスロットル状態へとシフトチェンジした理由は、きっと今年1月の誕生日に“知命=50歳”の節目を迎えたことが大きかったのではないかと推察している。
今年2月から5月にかけては、4ヶ月連続でシングル「ひとりじゃないから」「最後のKiss」「Motto!」「紫陽花」を発表。また、それを受け5月から8月にかけて4ヶ月連続でのライブが敢行されることになった一連の流れは、いよいよソロアーティスト・ka-yuの描く音楽世界が拡がりをみせていくことを意味していたはず。
しかも、トピックスはそれだけにとどまらない。なんと、シングル「紫陽花」ではkiyo(ex.Janne Da Arc~現Nicori Light Tours)がアレンジとキーボードを手掛けることになったうえ、6月の『ka-yu THE LIVE -June 2025-』にはWyseやKamijoをはじめとしてさまざまなアーティストのライブ現場で活躍中のドラマー・shuji(ex.Janne Da Arc)がサポートメンバーとして参加したため、いわゆるジャンナーもしくはダルカーと呼ばれるJanne Da Arcファン界隈が色めきたつ事象も発生。
もちろん、ka-yuが90年代から着実にキャリアを積み上げてきて今に至っていることは間違いないものの、孔子による論語において“50歳になると人は自らの天命をあらためて自覚する”とされている知命の節目に際して、彼はまさに今こそ何をなすべきか、そしてこの先に向けて何を果たしていくべきか、ということを実際の活動をもって体現しているような気がしてならない。そうした中、このたび8月30日には『ka-yu THE LIVE -August 2025-』が新宿LOFTにて開催され、実質的にこれは4ヶ月連続リリース&ライブを総決算する場となっていたと言っていいだろう。
「こんにちは、ka-yuです! みなさん、土曜日の新宿にお集まりいただきありがとうございます。そして、今日の僕はメガネをしてるんですけどね。実はものもらいが出来てしまって凄い腫れてるんです。まぁ、これでも薬でマシにはなってるんですけど。言うても僕、ヴィジュアル系じゃないですか(笑)。さすがにノーメイクで人前に出るのは裸で出るくらい恥ずかしいので、メガネをしてやっております。ということで、次の曲をやる前にメガネをちょっとだけ拭かせてください(笑)」(ka-yu)
こうして笑いをとりつつも、本人いわくメガネを使用してのライブは何かと“見づらい”ばかりか、汗がたまって目に入りやすくなって“痛い”という二重苦だったらしいのだが、1曲目からアッパーな曲調に煽られていきなり場内がヘッドバンギング祭りとなった「ダーミー城の吸血悪魔を愛したダリア(哀)」(DAMIJAW)を手始めにして、今宵のパフォーマンスではそうしたハンデの類いを感じることは一切なく、むしろこれまで以上にダイナミックで表情豊かな熱演ぶりを拝むことができた。
もちろん、今回のライブではセトリの随所に最新シングル曲たちも全て織り込まれており、ドラマティックなエモさを感じる「ひとりじゃないから」、疾走感あふれるサウンドとキャッチーなメロが融合した「最後のKiss」、骨太で豪快なロックンロールナンバー「Motto!」、繊細で美しいバラード「紫陽花」と、我々はそれぞれに異なるテイストを堪能することが叶ったわけだ。良い意味で、ka-yuのコンポーザーとしての才覚はJanne Da Arc時代からずっと変わらないということなのかもしれない。
なお、そんなka-yuの生みだす楽曲たちを今回のライブで活き活きと演奏してくれていたのは、ka-yuとはソロ活動を開始した当時からの仲でありギターだけでなくコーラスまで鮮やかに決めてくれる原田喧太(Gt)、元NoGoDの技巧派ギタリストにして個性の強いプレイを展開するKyrie(Gt)、Omega Drippをはじめとする各バンド活動と並行してZIGGYや長渕剛まで多彩なライブ現場でも活躍しているCHARGEEEEEE…(Dr)という超強力布陣。演奏そのものの切れ味はすこぶる鋭いが、それでいてMC中には和気あいあいとした雰囲気をみせてくれるのもこのメンツの面白いところ。
かくして、本編ラストを曲の合間に会場内から盛大な“ka-yuコール”が沸き起こった「AOBUSA」(DAMIJAW)で締めくくり、そのあとのアンコールでは今後に向けた発表もka-yuから直接オーディエンスに向けて伝えられることに。
「今後の予定ですが、12月12日に50歳最後のライブ『ka-yu THE LIVE -December 2025-』をSHIBUYA REXで行います。そして、1月21日には梅田クラブクアトロにて51歳の誕生日ライブ『ka-yu THE LIVE -January 2026-』を行いますので、みなさんよろしくお願いします!」(ka-yu)
これに加え、ちょうど秋の頃に似合う『ka-yu THE ACOUSTIC LIVE』を9月15日に福島、10月18日に山梨、11月3日に石川、11月24日に岡山にて開催することもインフォメーションされたのだが、ダブルアンコールの場面で選曲されていたのは観客たちが再びの熾烈なヘドバン大会を繰り広げてみせたヘヴィでワイルドな「Warning~その先は…破滅!~」(DAMIJAW)。晩夏にして猛暑日となっていた新宿の地は、それ以上の勢いで熱く燃え上がることになったのだ。
熱き夏と知命の節目を経て、実りの秋にも似たさらなる充実の日々を歩みゆくka-yuのここからが、ますますの輝きをみせていくことは約束されたも同然。ミドルエイジど真ん中にあってなお伸び盛りのソロアーティスト・ka-yuが、ここからさらに何をしでかしていってくれるのかが楽しみでならない。
取材・文=杉江由紀 撮影=Toshio Kawabata
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