NightOwl 撮影=松本いづみ
NightOwl ラストワンマンライブ『光』 2025.07.28(mon)なんばHatch
「今日は夜明けの日です。最高の夜をご一緒しましょう」
折原伊桜が1曲目「Daybreak」のイントロに乗せて、来たるべき夜明けに向かう夜の始まりを告げる。7月28日、大阪・なんばHatchにて開催されたワンマンライブ『光』をもって、その活動に終止符を打ったNightOwl。2019年8月、折原伊桜、百城凛音、雨夜憧の3人で活動開始。2020年12月、新メンバーとして長谷川嘉那が加入し、2021年10月より現体制で活動スタート。名前通り、“夜”と“梟”を象徴とするコンセプトのもと、「暗い時間にも寄り添える存在でありたい」という想いをもって活動してきた彼女ら。夜明けを告げる眩い光が射し、梟たちが飛び立ったラストライブの様子をレポートする。
NightOwl 撮影=ヨシモリユウナ
終宴の始まりを彩るOP映像が巨大LEDビジョンに流れると、超満員の観客の歓声に迎えられて、長谷川嘉那、雨夜憧、百城凛音がステージに登場。SE「NightCruising」に合わせて踊る各々にスポットライトが当たり、最後に折原伊桜が堂々登場。4人で踊るシルエットから、「NightOwlです、よろしくお願いします」の挨拶でラストライブが幕を開ける。OPナンバーは、結成直後の2020年5月にリリースされた「Daybreak」。“逃げ出したくなるような日々も、前が見えなくて怖い夜も、きっと僕がそばにいるから”と歌う、グループのコンセプトを表したこの曲。これまで伝え続けてきたメッセージを再確認するように、気持ちを込めて歌う4人の歌声が熱く強く響く。
折原伊桜 撮影=ヨシモリユウナ
百城凛音 撮影=ヨシモリユウナ
続いては、「私たちとあなたがいま、確かに生きてるってことを一緒に感じていきましょう」と折原が告げ、観客の熱いコールで始まった「Feel Alive」。4人の気合いに満ちたダンスに振り付けを合わせる観客が、「今日はここに全部置いてく覚悟で歌うから、受け止めてくれますか?」と放つ折原のエネルギッシュな歌声をガッチリ受け止める。NightOwlとファンの信頼と結束が見えたこの曲で強烈な一体感が生まれると、「incubate」、「Precious Time」と初期楽曲が続いた序盤戦。一曲一曲を噛み締め、想いを馳せながらペンライトを振る観客に、「ちゃんと届いてるよ、ありがとう」と折原が感謝を告げる。
雨夜憧 撮影=ヨシモリユウナ
長谷川嘉那 撮影=松本いづみ
艶やかに派手やかに魅せた「宵々夜」で楽しく踊ると、この日最初のMCへ。4人で改めて挨拶と感謝の気持ちを述べると、「せっかくやから」と6年で5回くらいしかやってないという自己紹介へ。久々すぎてどこかたどたどしい自己紹介から、「NightOwlにもいろんな歴史もありました。今日はNightOwlの黄色い女(望月さくら)も来てるそうです。「こんな時もあったから、NightOwlがいま、あるんだよ」というのをパフォーマンスから伝えられたらと思います」と折原が語り、始まった曲は「夜想歌」。2021年4月、長谷川と共に望月が加入(2021年10月に脱退)し、5人体制となったNightOwlの始まりの曲。<回る回る>のフレーズと腕を回す振り付けも印象的なライブ重要曲に、5人時代の思い出や、僕が“完成形”と評した6月のZepp Shinjukuの風景が頭の中で回る回る。
NightOwl 撮影=ヨシモリユウナ
「暁闇」、「After the Rain」と続き、「みなさ~ん! 私たちの最後のアイドル姿、愛してもらっちゃってもいいですか? 私たちも特大の愛を送ります」と長谷川が告げて「渡羽」へ。夜を想像させるダークで妖艶なイメージが多いNightOwl楽曲の中では、少し異色といえるポップなこの曲。アイドル全開、キュートな4人のキラキラしたステージを、大量のしゃぼん玉が飛び交う演出が彩る。続く「Living my day」では巨大風船をフロアに投げ入れ、手を挙げ飛び跳ねる観客と楽しそうな笑顔でのびのびパフォーマンスする4人。湿っぽい雰囲気もなく、全力でステージを楽しむメンバーと全力でそれに応えるファンの盛り上がりを見ていると、「本当に今日で終わりなの!?」とさえ思ってしまう。
NightOwl 撮影=松本いづみ
「夜明けまで、残り少しの時間。ちゃんと握って離さないようにして下さい」と雨夜が告げて始まった「夜明け前」、しっとり聴かせたバラードソング「16進数の海辺」、真夜中の逃避行を歌う「meltblue」と深い夜へ誘う曲が続き、このまま夜が続けばいいのにと思ったライブ中盤。SE「祭梟」からダンサブルな「夜梟」で会場の空気を変えると、「グッドバイバイ」、「ヨルウタゲ」とハイテンポな曲が続き、再び会場が熱を帯びる。LEDビジョンに打ち上げ花火が上がり、会場中が掛け声を合わせた「ヨルウタゲ」でブチアゲると、「みんなまだまだ盛り上がっていけるよね?」と「Be the one」へ。
NightOwl 撮影=松本いづみ
みんなで手振りを合わせて掛け声を挙げて、会場の一体感を生む「Be the one」もまた、ライブ重要曲だった。一節一節、ひと振りひと振りに精魂込めたパフォーマンスを見せる4人、そして「今日は本当に最後の夜ですよ?」と確認し、「これまでの過去イチを出して!」と煽り、熱狂するファンの姿を目に焼き付けるように眺める折原。ああ、「本当に今日で終わりなの?」とさえ思ったが、逆に終わりだからこそ、湿っぽさや寂しさなんか見せてる暇なく、全力で思い切り楽しんでいるんだと改めて思った。
NightOwl 撮影=松本いづみ
これまで何百回と歌ってきた曲の最後のパフォーマンスが、寂しくないわけがない。でも、それよりもNightOwlが歩んできた道やこれまでの活動に誇りと自信をもって、ひとつの悔いも残さず完全燃焼したい。4人のそんな想いや覚悟がこの日のステージに表れているし、ファンはそんな気持ちもちゃんと理解してるのだと気付いた。それに気付いた瞬間、全力で歌い踊り叫ぶ4人の姿に涙が溢れそうになった俺。曲終わりに4人が並んでポーズを決め、「ほんまにありがとう」と告げる折原の声は、少しだけ寂しげに聞こえた。
NightOwl 撮影=ヨシモリユウナ
「これから素敵な人生を歩めるように届けます」と長谷川が告げ、<次に合う時はまた最高の笑顔で>と願いを込めて歌った「Shooting Star」。「一生分の光を一緒に作りましょう」と百城が告げ、会場中の大合唱で始まった「Shining ray」。そして、「これまでいろんなことがあったけど、あなたが一緒にいてくれたから、私たちは未来を歌い続けることが出来ました。今日の夜も越えて、また鮮やかな未来を作っていけるように」と折原が告げて、突き上げるコールに応える堂々としたパフォーマンスを見せた「Beyond the Night」。たっぷり心を込めて一曲一曲を丁寧に届けると、「あと何回歌えるんやろ?と歌ってきたこの曲も、今日が最後です」と折原が語り、始まった曲は「All Night Long」。
NightOwl 撮影=ヨシモリユウナ
彼女らの代表曲といえる「All Night Long」。“All Night Long=夜通しずっと夜が明けるまで”の訳詞通り、辛い夜も苦しい夜も夜通しずっと寄り添ってくれた楽曲だ。夜明けを前として旅立ちを告げる音が広がり、この曲はひとつ役割を終えるかも知れない。でも彼女らは歌う、“You are not alone=あなたのそばにいるよ”と。大丈夫、再び辛い夜苦しい夜が訪れた時、きっとこの曲が寄り添ってくれるから。
百城凛音 撮影=ヨシモリユウナ
百城凛音 撮影=松本いづみ
「私のありのままを応援してくれてありがとう。いつも振り回されてくれてありがとう。わがまま聞いてくれてありがとう。喧嘩してくれてありがとう。私が怒ってもちゃんと聞いてくれてありがとう。こんなめちゃくちゃな私をアイドルで居続けされてくれて、本当にありがとう。みんなのお陰でホンマに後悔のない、最後のアイドル人生を送れました。たくさん愛をくれて、幸せにしてくれてありがとうございます」(百城)
折原伊桜 撮影=ヨシモリユウナ
折原伊桜 撮影=松本いづみ
「2019年の夏からいま、そしてこれからもNightOwlがずっとずっと私の原点です。そんな大切な居場所だからこそ、たくさん信じてくれたからこそ、私は歌で生きていくと心に決めました。私は歌で未来を描いていきます。NightOwlとあなたの希望でい続けられるように。NightOwlで交わした約束を叶えるための人生をこれからも歩んでいきます。今日を越えた夜の後も、また夢の続きで逢いましょう」(折原)
長谷川嘉那 撮影=松本いづみ
長谷川嘉那 撮影=ヨシモリユウナ
「一人じゃないってことをみんなが気づかせてくれて、私は変わることが出来ました。みんなが教えてくれたことを、今度は私が伝えたいと思います。人は一人じゃなかったら、怖くても挑戦し続けられるし。人は一人じゃなければ、笑って生きてられるし。人は一人じゃないからこそ、いろんな夢に向かい続けられる。私の中でみんなはずっとずっと忘れない存在です。だから、みんなも忘れないでいて下さい。私の中でみんなが生き続けるから、みんな一人にはならないからね」(長谷川)
雨夜憧 撮影=ヨシモリユウナ
雨夜憧 撮影=松本いづみ
「私の夢は“誰かの明日への糧になること”でした。私の夢は明確なんだけど、叶えきることがなくて。叶えきったかっていうと分かんないですけど。みんながここにいてくれて、私に意味をくれて。みんなの中にもし、雨夜憧がいるのだとしたら、私の夢は叶ったんだと思います……うわぁ、離れたくねぇ!(笑) 6年間ここが全てで大切だったんですけど、あまり直接伝えて来なかったから。今日、一回だけこの場を借りて言わせて下さい。本当に大好きでした、心から」(雨夜)
NightOwl 撮影=ヨシモリユウナ
それぞれが涙ながらにファンに感謝とメッセージを告げると、ライブはついにクライマックスへ。「辛い夜も愛しい夜もあったからここまで来て、今日は寂しい夜かも知れないけど。この夜もみんなのこの先のお守りになるように、4人で歌います」と雨夜が語り始まった曲は「Dear,Night」。巡り会えた軌跡、広がる道しるべ、止まらない夢。ともに歩んできたメンバー、そしてファンとその歩みを再確認するように、歌とダンスで気持ちを重ねる。さらに「この曲を歌うと本当に終わりが来てしまうってことに気付くので、本当は歌いたくないです。でもだからこそ、ちゃんと私たちの声で最後まで歌い切ります」と百城が語り始まったのは、ラストワンマンの前夜にリリースされた、NightOwlとして最後のリリースとなる「Dear,Light」。
NightOwl 撮影=松本いづみ
NightOwlの軌跡を辿るワードを散りばめて、君に合えた奇跡と愛しい日々を振り返って、たくさんの思い出とありがとう、そしてサヨナラを歌った「Dear,Light」。いまの真正直な気持ちを込めた4人の歌声は本当に清らかで美しく、強く心に響いた。そして、いよいよ本編ラスト。最後は思い切り楽しく終わろうと、4人の明るい曲紹介で始まったのは、「ロンリー・ナイトパレード」。ハイテンションなパフォーマンスに、キャノン砲やしゃぼん玉といった特効も手伝って、とにかくにぎやかで派手やかなステージと、それに負けじと最高潮の盛り上がりを見せる観客が最高にハッピーな空間を作り、本編を締めくくる。
NightOwl 撮影=松本いづみ
本編終演後、ED映像に続いてLEDビジョンに映っていたのは夜明けではなく、星空輝く夜の風景。まだ、夜が明けてないことを示唆する映像に突き上げるようなアンコールの声が起きると、SE「NightHunting」からメンバー紹介の映像が流れ、純白の衣装を着た4人が再びステージに登場。粋な演出に観客が歓喜する中、「アンコールありがとう。あなたに呼んでもらえた夜、もう少し続けてもいいですか?」と折原が挨拶し、「これが私たちの答えです」と「Answer」を華麗に披露。そして、「NightOwl、次が本当に本当の最後の曲になります」と告げると4人が仲良く抱き合い、声を合わせて曲紹介したラストソングは「黎明」。
NightOwl 撮影=松本いづみ
<明けてく夜にどこまでも飛び立ってく>の歌詞が新しい夜明け、新たな旅立ちにあまりにもマッチした「黎明」。会場中が手を振り合わせて歌声を重ね、<僕らの光信じて 煌めく未来へ>と歌う美しすぎるエンディングに夜明けを告げる眩い光が射すと、「いままで本当に本当にありがとうございました。NightOwlでした!」と深々とお辞儀をして、梟たちは飛び立っていった。NightOwlが繰り返し伝えたメッセージは、これからも寂しい夜の力になってくれるし、彼女らの残した楽曲たちがそんな夜に寄り添ってくれるはず。そう、僕も君もひとりじゃない。
取材・文=フジジュン
NightOwl 撮影=松本いづみ
NightOwl 撮影=松本いづみ
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